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平成20年9月定例会(請願・陳情)
陳情 第16号
第16号 平成20年9月4日受理 総務文教委員会 付託
原子力空母など米海軍原子力艦船の安全性の確立を求める意見書提出に関する陳情
陳情者 新潟県平和運動センター 議長 齊藤正美
(要旨)
米国政府及び在日米海軍司令部は、在日米海軍横須賀基地を母港とする通常型航空母艦キティーホークの退役に伴い、原子力航空母艦ジョージ・ワシントンを配備するとし、日本政府も同意した。
原子力空母は、座礁事故や原子炉の緊急停止などの事故を過去に起こしており、ジョージ・ワシントンも5月22日に、たばこの火の不始末から火災事故を起こした。米国政府は、原子炉に問題はないと回答しているが、詳細は不明である。
原子力発電所の建設には厳しい審査がある。本県において、新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎刈羽原子力発電所は、原子力発電所の設備安全性に係る技術委員会、小委員会などが開催され、再開に当たり地方自治体による審査が行われている。原子力発電所の安全性に関して地方自治体の果たす役割は決して小さなものではない。一方、米海軍の原子力空母は軍事機密を盾に取り、国、地方自治体の審査なしに配備されようとしている。今、地方自治体が地域に住む人たちの安全をいかに確保するかが問われている。
NPO法人「原子力資料情報室」は、横須賀港に停泊中ないしは東京湾内を航行中の原子力空母がメルトダウン(炉心融解)を起こした場合の被害を想定した。それによると、原子炉から放出されたヨウ素やセシウムなどが放射能雲となり扇形状で風下に降下し、一帯の住民は被曝(ひばく)し地表は汚染される。急性傷害で死亡するとされる7シーベルトの範囲は、原子力空母から8キロメートル。165キロメートル離れていても、放射能作業従事者の年間被曝限度の0.05シーベルトに達する。距離が離れているとはいえ本県も決して被害が生じないわけではない。チェルノブイリ事故ではチェルノブイリから300キロメートル離れた地点の住民にも避難命令が出た。
8月2日、報道各社は米原子力潜水艦ヒューストンが放射能漏れ事故を起こしていたことを一斉に報道した。これまで、米国側と日本政府は一切放射能漏れ事故はなかったと主張してたが、そのことの信憑(しんぴょう)性が問われることとなっている。
日本での入港地は佐世保、横須賀、ホワイトビーチの3か所となっており、日本の民間港湾に多くの米海軍艦船が入港を繰り返している。本県では2004年以降、6回も米海軍艦船が入港している。米軍は原子力で駆動するイージス艦の開発を進めており、決してよそごとではない。
ついては、貴議会において、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。
- 原子力空母など米海軍原子力艦船の安全性について、納得できる説明を国の責任において行うこと。
- 原子力空母ジョージ・ワシントンの火災について、原因や被害状況、今後の安全対策など、十分な情報公開を行うこと。
- 原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れ事故について、原因や被害状況、今後の安全対策など、十分な情報公開を行うこと。
- 米海軍原子力艦船の安全性が実証できない場合は、日本への寄港を認めないこと。
- 今後予想される米海軍原子力艦船の増加に対しては、日本への寄港を常態化させないこと。