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平成22年12月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004005 更新日:2019年1月17日更新

平成22年12月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

12月1日

 平成22年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、県内経済動向と対応についてです。
 県内経済は、猛暑による特需、エコカー等の駆け込み需要などの個人消費や新興国等の需要に支えられた持ち直しの動きに足踏みがみられるなど、依然として厳しい状態が続いています。
 なかでも、輸出関連大企業の取引に依存する電気機器・自動車に関わる下請け中小企業を中心に、行き過ぎた円高が続く中で、先行きへの不安が高まっています。
 このままの円高が定着しますと、大手企業が生産計画を海外にシフトすることにより対応していく中、容易に海外進出できない中小企業にとりまして、深刻な打撃を与えることが懸念されます。
 リーマンショック以降の県内経済の動きを振り返りますと、円高の進行に4か月ほどのタイムラグを置いて、急激な受注減少がみられたところであります。先般、電気機器・自動車関連の下請け企業が集積する燕・三条地域において経営者の方々との懇談会を開き、製造現場の実態をお聞きいたしました。その中で、目先の受注は何とか維持しているものの、総体として、年末以降の受注確保に大きな不安を抱えていることを実感したところであります。
 雇用情勢は、10月の新規求人数が前年同月と比べて8か月連続で増加し、有効求人倍率では前月比0.02上昇する等、持ち直してきていますが、0.58倍と低い水準にあり、依然厳しい状況となっています。
 また、来春卒業予定の高校生及び大学生等の就職内定率は前年の同時期をやや上回っているものの、求人数は厳しかった昨年より減少する等、若年者の就職環境は依然として厳しい状況にあります。
 こうした状況を踏まえて、県としても、企業経営の安定、雇用の確保に向けたセーフティネット対策の更なる拡充・強化や有効需要の創出等、可能な限りの対策を実施してまいります。
 まず、円高とデフレの影響を受けて減少してきた民間設備投資の需要を拡大するため、設備投資に対する金利をマイナスとする支援策を拡充するとともに、年末に向けた企業の資金繰りに支障が生じないよう経営支援策を講じてまいります。
 雇用面では、依然として大学生、高校生の就職が厳しい状況を踏まえ、緊急雇用基金を活用して若年求職者の雇用確保に重点的に取り組むとともに、既卒の就職未定者を含め、大学生向けに就職セミナーや合同企業説明会を実施してまいります。
 また、就職から進路変更する高校生が経済的な理由で進学を断念することがないよう、今年度措置した緊急奨学金を拡充するとともに、特に人材確保が課題となっている看護分野への進学と県内就業を促進するため、修学資金を拡充することとし、それぞれ関係条例の改正案を今議会にお諮りしております。
 加えて、国の経済対策と一体で、子宮頸がん等に係るワクチン接種を促進するための基金を創設するほか、新型インフルエンザの発生に対応するため接種費用を助成するなど、生活の安心確保にも取り組んでまいります。

 次に、去る11月23日に発生した北朝鮮による韓国への砲撃と拉致問題についてです。
 まず、今回の砲撃戦で亡くなられた方々に対し、心より哀悼の意を表し、被害を受けられた皆様方にお見舞いを申し上げます。
 今回、民間人が居住する地域において人的・物的被害が生じていることは、北東アジアの平和と安定を願う本県の立場からも看過できない事柄であり、大変遺憾に思っています。
 県といたしましては、状況の把握に十分努め、県民の皆様の安全を第一に対応してまいりたいと考えております。
 拉致問題に対しても北朝鮮は、誠意ある対応を見せないばかりか、10月6日には朝鮮労働党機関誌の労働新聞が「日本人拉致問題は既にすべて解決済み」と強調する論評を掲載し、平成20年8月の日朝実務者協議での合意は無効との姿勢を示しました。
 こうした中、10月28日に「知事の会」として、国に対し、現在の膠着状態を一刻も早く打開する具体的な行動をとるよう要望してまいりました。
 その後、担当大臣の突然の辞任や北朝鮮による韓国への砲撃という事態が発生したことから、拉致問題が忘れ去られることのないよう、改めて政府に対して要望してまいりたいと考えております。
 また、県民の皆様から拉致問題の関心を持ち続けていただくため、先月15日に、「忘れるな拉致11.15県民集会」を開催し、横田めぐみさんのご両親や曽我ひとみさん、特定失踪者の大澤孝司さんや中村三奈子さんなどのご家族から「一日も早い解決に向けて県民の皆様から引き続き関心を持ち続けていただきたい」と訴えていただきました。
 ご家族の「ただ北朝鮮に奪われた子供を奪還したいだけ。元気なうちにひと目会い、抱きしめてあげたい」という痛切な訴えを聞く度に胸が痛みます。拉致被害者の帰国を待ち望むご家族は高齢化が進み、一刻も早い解決が不可欠です。
 県といたしましては、失われた家族の絆を取り戻すために、今後とも全力をあげて取り組んでまいります。

 次に、農業問題についてです。
 今年の米の産出額は、仮渡金の引き下げに加え、猛暑等による品質や収量への影響により、200億円を超える大幅な減少が見込まれております。県ではこれまで、各地域における緊急相談窓口の設置や、資金繰りを支援するための新たな融資制度の創設等により対応しておりますが、今後も厳しい状況が続くと、農家の営農意欲の喪失につながり、さらには後継者問題にも波及するなど本県農業全体の経営体質が弱体化するのではないかと懸念しております。
 こうした影響の大宗は、国の戸別所得補償モデル対策において非主食用米へ生産誘導するインセンティブが弱いため、主食用米が相変わらず過剰作付けとなるなど、大幅な過剰米の発生が見込まれる中で、仮渡金が10%以上も引き下げられたことによるものであります。
 このため、国の戸別所得補償制度については、米粉用米や加工用米等の非主食用米に生産誘導する仕組みに改善することで、主食用米の過剰作付けを解消し、農家所得の安定につなげる必要があります。
 併せて、多様な地域の営農実態に応じ、地方の裁量が発揮できる仕組みとするとともに、生産規模の拡大や中山間地域等での6次産業化の推進、後継者の確保に資する制度とすることも重要と考えております。今後とも、戸別所得補償制度の改善について、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、米の品質低下については、地球温暖化を踏まえれば来年も猛暑になり得るとの認識が必要です。そして、その低下要因について詳細な解析が必要であると考えております。県内外の専門家等を入れた研究会で原因分析を行うとともに対応を検討し、来年1月を目途にとりまとめを行い、次年度以降の対策に活かしてまいりたいと考えております。
 加えて、農家所得のさらなる向上のため、新潟米ブランドの強化につなげる区分集荷・販売等の取組を促進するとともに、直売など流通過程における付加価値を県内に環流させていく取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 一方、米粉の更なる需要拡大に対応するため、大手メーカーと連携した米粉ビジネスの創出や米粉関連プラントの集積に向けた取組を専門的に行う組織として、先般、「米粉普及推進室」を設置いたしました。また、製粉企業や加工メーカー、食の専門家等の意見を県の施策に活かすため、『うまさぎっしり新潟「食のプロデュース会議」』に「米粉分科会」を設置するなど、推進体制を強化したところであります。今後とも、米粉生産のトップランナーとしての本県の地位を維持できるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定いわゆるTPPについてです。もともと資源もエネルギーも不足している我が国においては、外国から原材料を輸入し、製品を輸出しなければ繁栄は望めません。こうした環境を踏まえれば、基本的にはTPPに取り組むことが必要でありますが、各国固有の権利としてWTOで認められている食料安全保障については例外措置として譲るべきではないと考えております。
 また、懸念される農業への影響については、米など高率関税で保護されている品目がある一方、大豆など国民生活に重要な品目であっても既に無関税の品目や、輸出拡大の可能性を持つ品目もあるなど、その影響度合いは品目によって異なります。
 こうした点を踏まえれば、我が国の主食である米は除外すべきであり、除外が認められなかった場合には交渉から撤退するなどの姿勢で臨むべきと考えております。
 加えて、畜産など他の品目については、関税が撤廃した場合の影響を踏まえ、経営が成り立つようにしっかりとした所得保障の仕組みを構築するなど、戦略的な交渉を行うための精緻な議論が必要であり、今後、国において国民的な議論を行った上で、日本の国益にかなう結論を出すべきであると考えております。

 次に、交通問題等についてです。
 北陸新幹線開通に伴い経営分離される並行在来線は、自動車を運転できない学生の皆さんの通学や、高齢者の方々の通院など、特に豪雪地帯の日常生活に欠かせない重要な交通手段です。
 先月、並行在来線の経営会社設立発起人会及び取締役会を開催し、新潟県並行在来線株式会社を設立いたしました。将来に亘って安定的に並行在来線を運営していくためには、沿線地域にとって望ましい運行サービス等について、経営会社が地域の関係者等と十分協議を行い、公共的な利便性の確保と効率的な経営の安定をバランスよく調和させていく必要があります。今後、並行在来線に関する諸課題については、会社が県、沿線三市と調整しながら具体的な検討を進めてまいります。
 また、並行在来線の経営には、多額の初期投資等が予想され、国による新幹線貸付料の返還等が不可欠であります。
 新幹線貸付料について、国から一部開示された情報を分析した結果、JRが国に支払う北陸新幹線の貸付料は年間494億円であることが明らかになりました。公表されているその半額の247億円を前提として試算したところ、本県内における並行在来線の赤字解消相当分は、30年間の累計で、少なくみても780億円になります。
 新幹線貸付料の一部には、並行在来線区間の経営分離によるJRの赤字解消分が含まれているにもかかわらず、国は、改めて地方に並行在来線運営の負担を課すという二重取りの構造になっています。並行在来線の赤字解消相当分は、本来、並行在来線の運営に充てられるべきものであり、国に対しその返還を求めるとともに、併せて、30年間で約480億円と試算される本県の出資に見合う利益増加分の還元についても求めてきたところであります。
 加えて、鉄道建設・運輸整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金は、その大半が国鉄改革に由来するものであり、本来は鉄道支援に活用すべきものです。剰余金を活用して並行在来線の経営等が成り立つ仕組みを構築するよう、先般関係県とともに、国に要望したところであります。
 これまで国は「運行パターンはJRが決めること」としていましたが、開示された情報によれば、国が新幹線貸付料の算定において列車の運行パターンを想定し、新幹線の運行計画に関与しており、このことからも、国の責任において、各県少なくとも一駅に停車する仕組みを実現すべきです。仮にJRの経営に影響を及ぼすのであれば、貸付料を引き下げてでも行うべきであると考えております。
 なお、今回の情報開示請求に対しては、国は一部を不開示としました。本来、医療・教育・福祉・農業等の諸施策に優先して地方が負担金を出す以上、整備新幹線や並行在来線の諸課題について十分議論ができるよう、国は責任を持って情報開示すべきです。
 しかしながら、その後も再度の情報提供要請にも応じていただけなかったことから、先月、一部不開示決定に対する異議申立てを行ったところであります。
 北陸新幹線建設に関する諸課題の解決に向けて、昨年末に当時の前原国土交通大臣と、信義誠実の原則に基づき相互に努力し、1年を目途に結論が得られるよう確認の文書を取り交わしたところです。間もなく1年を迎えようとしていますが、現時点では解決に向けての方向性が見えないばかりか、情報提供すら行われていません。国は、必要な情報提供を行ったうえで、一刻も早く本県の要請に対して具体的な協議を行うべきです。これらがなされなければ、その後に生じる問題の責任は全て国が負わなければなりません。約束の期限内に結果を出していただけるよう働きかけを強めてまいります。

 この項目の最後に、新潟-ロシア線についてです。
 ハバロフスク及びウラジオストクとの定期航空路が、本年度下期において運休に入りました。本県は、この直行便を架け橋として、ロシア極東地域と長年交流を積み上げてきたところであり、これを維持していくべきではないかと考えています。
 運航が再開される予定の来年4月まで、できるだけ多くの県民の皆さんとロシア極東地域との間で経済、文化、教育等の多様な分野の交流を促進するため、それに必要な運航を確保する予算を今議会に提案したところです。
 今後とも北東アジア地域との人と情報の交流拠点を目指し、取り組んでまいります。

 次に、地域医療についてです。
 先般、医師不足の現状を把握するため、厚生労働省が初めて実施した「病院等における必要医師数実態調査」の結果が公表されました。
 調査結果によると、全国で約2万4千人もの医師が不足しており、地域や診療科による偏在があることも浮き彫りになりました。本県では、現在勤務している医師数の約22%に当たる591人もの医師が不足しているという実態が明らかになりました。全国的に見て下から数えて7番目の医師不足県であり、極めて憂慮すべき状況にあります。
 医師不足を解消するため、近年、既存医学部の定員増が図られております。本年度の全国における定員は3年前と比較すると1,200人余の増となっておりますが、全国の医師不足数を補うには及ばず、加えて、地域における医師養成数は偏在したままであることから、このままでは更に地域間格差が拡大する懸念すらあります。
 このため、先般、本県同様に医師不足問題を抱える静岡県、茨城県と共同で、文部科学大臣に対して医学部新設等に関する規制緩和などについて要望を行うとともに、政府主催の全国知事会議の場で、菅総理に対して意見を申し述べたところであります。
 県民が安心して暮らせる地域医療を守っていくため、抜本的な医師確保対策に引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、医療環境の整備についてでありますが、県央地域の救命救急センター及び併設病院等について、去る11月25日に第7回目の「合同会議」を開催したところです。救命救急センターの機能、規模、センターの診療に従事する医師数について、救急搬送実態などを踏まえて検討を進めているところであり、救命救急センター及び併設病院等のあるべき姿について、本年度中を目標に方向性が整理できるよう、今後とも話し合いを進めてまいります。

 次に、高齢者福祉についてです。
 高齢化の進展に伴い、本県においても、高齢者世帯が大幅に増加しております。昭和60年には総世帯数に占める高齢者世帯の割合が4.4%だったものが、平成17年には13.9%に増加し、15年後には約4分の1が高齢者世帯になると推計されています。
 こうした中で、高齢者に関わる認知症、虐待、孤独死、介護などの様々な問題が増加していくことが予想されます。この夏、全国的に高齢者の所在不明問題が大きな社会問題となり、改めて、行政が地域の高齢者の状況把握や見守りに努めていくことが求められる契機になりました。
 介護保険制度が創設されてから10年になりますが、家族介護の負担は決して軽くなく、要介護高齢者に対する支援はもちろん、介護家族に対しても行政や地域からの支援が必要です。
 要介護や一人暮らし等の高齢者が増加する中で、高齢者や介護家族を社会の中で孤立・無縁化させないことは、安全・安心で心が通い合う社会をつくる上で、大変重要なことだと考えております。
 県といたしましては、高齢者の見守り・介護者支援体制の整備に向けて全庁的な検討会を設置したところであり、今後、地域ネットワークの構築や情報の共有、在宅福祉の充実等の課題に対する対応を検討してまいります。

 この項目の最後に、新潟水俣病についてです。
 去る10月21日、新潟水俣病第4次訴訟の原告被害者と被告国・昭和電工との間で、和解に向け基本的合意に至りました。これまで真摯に協議を重ねてこられた皆様のご苦労が実を結んだものと思います。
 新潟水俣病の被害者は、私たちが豊かさや快適さを享受してきた一方で発生した、公害の犠牲者として長年にわたり苦しみや痛みを抱えてこられました。この基本的合意を契機に、救済の道が開かれたことは、一つの区切りであると受け止めております。
 今後、和解成立に向けて進むことになりますが、早期に和解が成立することを願うとともに、県といたしましても、和解内容が円滑かつ迅速に実施されるようできる限りの協力をしてまいります。
 今後とも、被害に遭われた方々の苦労の上に、より安全な社会が構築されたことを踏まえ、感謝の気持ちをもって社会全体で支えていく仕組みを構築し、もって誰もが安心して暮らすことのできる地域社会を実現してまいりたいと考えております。

 次に、教育問題についてです。
 全国で、いじめを苦に小中学生が自ら命を絶つ本当に痛ましい事件が続いています。
 本県では、「いじめ見逃しゼロ」を掲げて、学校・家庭・地域社会が連携した取組の中で人と人との絆を深め、子どもの社会性を育てる「深めよう絆県民運動」を展開しているところです。
 各学校においては、いじめはどの学校においても、どの子どもにも起こるものという意識を常に持ち、目を逸らすことなく、いじめを早期に発見し、早期に対応ができる体制を構築することが極めて重要であり、引き続き「いじめ見逃しゼロスクール」運動を展開してまいります。
 群馬県等で起こった今般の痛ましい事件についても、他山の石として各学校や各教育委員会が即応するよう、緊急会議を開催して県内の全ての教育長、学校長に改めて適切な対応を徹底するよう要請したところです。
 今後とも、学校・家庭・地域が一体となって社会全体で子どもたちを育む取組を進めながら、教育をめぐる様々な課題に対して迅速に対応し、安心して子どもたちを育てられる教育環境づくりに努めてまいります。

 この項目の最後に、県立大学についてです。
 昨年度の開学以来、地域の中核となり活躍する人材の養成や、研究を通じた地域貢献を、自主的かつ弾力的に行っていただいているところです。
 このたび、大学において、平成25年3月の第1期生の卒業を視野に、大学院設置の本格的な検討を行うこととなりました。県といたしましては、社会や時代のニーズを見極めながら、今後の対応について検討を行ってまいりたいと考えております。

次に、地域主権改革等についてです。
 現在、地域主権戦略会議において、一括交付金化の制度設計に向けた検討が進められています。10月の戦略会議で各府省が一括交付金化に応じるとした補助金は、221件約3兆3千億のうち僅か3件28億であることが明らかになりました。国土交通省においては、ミシン目や国費率が入り、これまでの補助金と何ら変わらない、社会資本整備総合交付金約2兆2千億円をもって措置済みという回答でした。
 一括交付金については、地域主権戦略大綱の閣議決定前に霞ヶ関文学による神野試案の修文がなされ、概算要求でも別枠とされなかったことから、その実現を強く危惧していたところです。
 こうした中、11月の国と地方の協議において、来年度は都道府県を対象として5,000億円、平成24年度には市町村も対象に1兆円強とする政府方針案が示され、その後の戦略会議において「地域自主戦略交付金」として正式に決定がなされました。
 しかしながら、使途を制限することなく地方の裁量がどの程度拡大されるのか、具体の制度設計が不明確な点もあり、引き続きその状況を見極めてまいりたいと考えております。
 なお、県といたしましては、真の一括交付金化が実現するまでの間の暫定的な措置として、現行の補助金の使途等を弾力化することによって、地方の裁量を一定程度向上させることも検討する必要があることから、国庫補助金交付要綱のモデル的な改善案を作成したころであります。今後、全国知事会とも連携し、モデル案が採用されるよう国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 次に、原子力発電所についてです。
 5号機の安全性について、技術委員会において、これまでの号機と同様に慎重に議論していただきました。その結果「起動試験に進むことに安全上の問題はない」との評価結果の報告を受けました。
 また、柏崎市、刈羽村からも、運転再開を認めるとのお考えをいただきました。
 私は、これらを踏まえ、去る11月17日、5号機の運転再開を了承いたしました。
 東京電力に対しては、安全・安心を第一とする不断の努力を積み重ねていくよう、要請しています。
 なお、先般、7号機の使用済みの制御棒の一部に、微細なひびが確認されました。また、同じく7号機のタービン建屋内で、水漏れが発生しました。
 県といたしましては、これらのトラブルに関しても、東京電力に調査結果の報告を求め、安全性について技術委員会等で評価していただくとともに、東京電力に対して、安全に十分配慮し、慎重に作業を進めるよう要請しております。
 いずれにいたしましても、今後とも、県民の皆様の安全・安心を第一に、対応を進めてまいります。

 次に、震災からの復興についてです。
 去る10月23日で中越大震災から6年が経過しました。震災の記憶を決して風化させることなく、この大きかった被害を乗り越え、誰もが元気に安心して暮らすことのできる地域に再生し、発展させていくために最大限の努力を払い、力強く前に進んでいこうという思いを強くしたところです。
 被災地では、これまで復興への懸命な取組の中で、県内外の方々との交流が広がり、地元特産物の直売や農家レストラン等、地域の特色を生かした新たな取組も生まれています。
 今後は、さらに地域の発展につながっていくような仕組みづくりを進め、被災したこの地域に住み続けることができ、若い人たちも入ってくるという可能性に果敢にチャレンジする取組を支援し、そうした取組がモデルとなって県内に広がっていく姿を目指してまいりたいと考えております。
 被災地の新たな発展のためには、今後も地域の実情に応じた様々な取組を継続して支援し、展開していく必要があります。その支援の要となる復興基金については、10年で直ちに終了とするのではなく、引き続き必要な機能については存続させたいと考えております。
 こうした取組や方針を含め、新たな発展に向けた様々な施策について、今年度中に策定を予定している第三次復興計画において、基本的な方向を明らかにしてまいりたいと思います。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第141号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額242億8,359万2千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、現下の経済・雇用情勢を踏まえ、国の経済対策と一体で実施する緊急的な事業や、職員給与費等について過不足額を計上するとともに、当初予算編成後の事由による重要かつ緊急性のある経費等について計上するものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
 まず、国内外の起業家による県内での小規模創業支援を強化するほか、地場産業の受注確保に向け商工団体等が提案する効果的な取組への支援を強化するための経費等を措置したところであります。
 また国の経済対策関連として、第2次救急病院や県立学校の耐震化を促進するための経費や道路・河川の防災対策に要する経費等を計上いたしました。
 加えて、平成23年度事業に係る発注の平準化や起工準備期間の確保に加え、不測の災害等に対応するため、いわゆる「ゼロ県債」を設定したところです。
以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の予算規模は、
 1兆2,565億2,983万2千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第142号から第147号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、職員給与費の過不足調整等に伴いそれぞれ補正するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第148号議案は、県知事の権限に属する事務の一部を市町村長に移譲するため、
 第149号議案は、新潟県並行在来線株式会社へ職員の派遣を行うため、
 第151号議案は、県立養護学校を県立特別支援学校に改称するとともに、手まりの里分校及び駒林分校を本校化するため、
 第152号、第153号及び第155号の各議案は、先ほどご説明いたしました奨学金及び看護職員修学資金について所要の改正を行うため、
 第154号、第157号及び第158号の各議案は、国の経済対策に伴う基金の新設並びに既設の基金の実施期限を延長するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第159号議案は、公立大学法人新潟県立大学に対する校舎建物等の財産の出資について、
 第160号議案は、当せん金付証票の発売について、
 第161号議案及び第162号議案は、市の境界変更について、
 最後に、第163号議案は、新潟県立大学の定款の改正について、お諮りいたしました。

 以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

12月17日

 ただいま上程されました議案は、人事に関する案件であります。

 第164号議案は、教育委員会委員を任命するため、お諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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