ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

平成25年6月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002992 更新日:2019年1月17日更新

平成25年6月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

6月19日 知事説明要旨

 平成25年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、新潟県「夢おこし」政策プランの見直しについてです。
 政策プランは、県の最上位計画であり、県民の皆様の民意を的確に反映するため、知事の任期と整合させ4年ごとに見直しを行っております。今般の見直しにおきましては、昨年10月の知事選挙における私のマニフェストを反映するとともに、現在の社会経済環境や、政策プラン評価委員会からのご意見・ご提言、パブリックコメント等を通じた県民の皆様からのご意見等を踏まえて見直しを行ったところです。
 見直しに当たっての前提となる現下の社会経済情勢については、政権交代後のいわゆるアベノミクスによる経済・財政金融政策により長引く円高・デフレからの是正の動きが見えはじめております。最近、急激な変化に対して調整局面にあるものと考えられますが、依然として、実力以上の円高、地価下落にもみられるようにデフレ状態が続いています。
 先頃公表された本年1月から3月期の国内総生産の速報値は、名目で年率2.2%、実質で4.1%の伸びとなるなど、景気は着実に持ち直していると見られています。県内において、最近の企業の決算をみますと、輸出関連企業を中心に為替差益による損益の改善が見られ、また、本県の昨年度の法人二税は、一昨年に比較し10%以上増加しています。一方で、昨年後半まで続いた歴史的な円高などを背景として本業の本格的な業績回復には至っておりません。また、一般の生活者の立場からは景気回復の実感がまだないという声も多く聞かれるのも事実です。
 政府においては、見え始めた景気回復の明るい兆しをしっかりと実体経済の安定した成長に結びつけ、企業収益の拡大や給与の上昇、それによる消費、そして生産や投資の拡大へとつながる好循環を生み出していくことを期待しております。そのためには、先般発表された3本目の矢である成長戦略で掲げた目標を実現する具体的な道筋を早期に示し、着実に実行していくことも必要ですが、何より重要なのは、ミクロの政策が機能する環境を整えるための金融、財政といったマクロ政策、すなわち円高・デフレからの脱却です。その意味で、消費税増税については、経済が成長軌道に乗ったことをしっかりと見極めた上で必要性を判断すべきです。増税によって景気を失速させることで逆に減収になっては意味がありません。政府には的確なマクロ経済政策を実行するよう強く要望するところです。
 本県としても、企業の設備投資への支援や企業誘致を積極的に推進するほか、健康・福祉・医療関連産業や食品産業、エネルギー関連産業など、新たな成長が期待できる産業の振興を積極的に進めてまいります。
 見直し後の政策プランでは、国のマクロ経済政策がしっかりと機能することとした上で、今後、毎年度の経済情勢を踏まえて見直す前提ではありますが、県内総生産額について名目で年率3%程度の成長を目標として設定したところです。併せて、社会保障給付など所得の移転も含めた県民の生活実感を着実に改善していくため、実質の県民可処分所得の増加を新たに参考指標として掲げて取り組んでまいります。
 その他、今般の政策プランの見直しにおきましては、若者の県外流出の抑制・流入の促進や、少子化に歯止めをかけるための環境整備に重点的に取り組むことを明記したところです。既に、昨年度末に部局横断の人口問題対策会議を立ち上げ、その下に4つのワーキングチームを設置しました。各チームにおいて、それぞれ具体的な検討を行っているところであり、先般、2回目の会議を開催しました。今後、広く県民の合意形成に努めながら、その成果を順次施策に反映してまいります。
 また、同じく本県の喫緊の課題である地域医療の確保、特に医師の確保については、県内の医師の需要数を積み上げることにより、目標を上方修正して取り組んでいくことを明記したところです。
 今後、このプランに沿って、県政を取り巻く環境変化を的確に捉え、しっかりと目標管理を行いながら、「将来に希望の持てる魅力ある新潟県の実現」に向けて取り組んでまいります。

 次に、県立学校生徒の自殺にかかる対応についてです。
 平成22年に県立高等学校の生徒が自殺した件について、去る3月25日、県弁護士会から学校に対して、人権救済勧告が出されました。本来は、独立した行政機関である教育委員会が対応すべき問題ではありますが、県としては、県弁護士会から学校が勧告を受けたということを県組織としてしっかりと受け止め、公平・中立な立場で調査・検証を行う必要があると判断したところです。そのため、知事部局に有識者等で構成する調査委員会を設置しました。
 今後、事実関係を具体的に確認、検証していく段階に入っていく際、個人情報の扱いが問題となってまいります。そのため、調査委員会の調査権限や委員の守秘義務を明確にした条例に基づく委員会と致したく、設置条例を提案しました。
 今後、公平・中立な立場から十分な調査・検証が行われ、事実関係が明らかになることを期待しております。
 また、平成24年に自殺した県立高等学校の生徒に関する案件については、教育委員会において原因と背景に係る学校の調査結果を検証するため、学識経験者等の第三者による委員会を設置することとしております。
 また、児童生徒の自殺やいじめなどの問題への対応についての学校や行政への厳しい指摘に対しては、真摯に向き合っていかなくてはならないと考えております。併せて、責任の所在の明確化の観点から、教育委員会制度のあり方を視野に入れた議論も必要ではないかと考えております。

 次に、自殺予防対策についてです。
 本県の自殺者数については、関係者の努力もあって、ここ数年減少傾向にあります。しかし、自殺率を見ると低下はしているものの、平成24年は、厚生労働省人口動態統計によると全国順位でワースト2位となり前年よりも更に悪化しております。
 この危機的な状況に当たり、県民全体で危機意識を共有し、官民一体で一層の取組を進めることとし、去る6月10日に新潟県自殺予防対策推進県民会議を開催しました。これを契機として、テレビ・ラジオ・新聞等による全県的なメディアミックスキャンペーンを展開してまいります。
 こうした取組を通じて、県民一人一人の自殺予防に対する意識や周囲で悩みを抱えている人への気づきや見守り意識の醸成を図り、県民運動としての自殺予防対策を強力に進めてまいります。
 また、自殺には、失業、倒産等の社会的要因や健康問題、家庭問題等の個人的要因など複数の要因が複雑に関係しています。そのため、各分野の専門相談機関が有機的に連携し、相談者の同意を得ながら個人情報を共有し、解決に向け一体的に支援する仕組みを構築してまいります。

 次に、水俣病への対応についてです。
 去る4月16日、公害健康被害の補償等に関する法律、いわゆる公健法に基づく水俣病申請棄却処分をめぐる訴訟の最高裁判所の判決がありました。判決では、現行の昭和52年判断条件の「症候の組み合わせ」が認められない場合でも、総合的に検討した上で、個別具体的な判断により水俣病と認定する余地を認めました。これは、有機水銀中毒の影響を受けて病気になった方々は水俣病であるという基本原則に立ち返った判決であると受け止めています。
 水俣病の被害に遭われた方々は高度経済成長期に私たちが豊かさや快適さを享受してきた一方で公害の犠牲になった方々です。この被害の結果、公害規制が強化され、現在の我々の安全な環境での生活があるということを踏まえれば、この方々を社会全体で支えていくということが必要だと思います。
 新潟水俣病が確認されてから、まもなく50年が経過しようとしているにもかかわらず、解決に至らないことは文明社会の汚点であり、このまま放置すれば、この問題の解決を更に困難なものにするのではないかと危惧しております。
 今回の最高裁判決を受け、県としては、今後の水俣病認定審査にあたり、その判決が示した枠組みを尊重して対応していくこととなりますが、何よりも国において、運用のあり方の見直しだけでなく、早急に患者救済の枠組み全体を見直し、抜本的な解決策を打ち出すべきであると考えております。そのため、引き続き国に対してそのことを強く要望していくとともに、すべての水俣病患者の方々が救済されるよう、取り組んでいくこととしております。

 次に、本県のエネルギー政策等についてです。
 東日本大震災後、我が国のエネルギー政策は大きな転換点を迎えています。固定価格買取制度の創設もあって再生可能エネルギーの導入拡大が進む一方で、大半の原発が稼働停止する中で、エネルギー資源としての石油や天然ガスの重要性が高まっています。
 県としても、再生可能エネルギーについては、この度見直した政策プランにおいて、本県の平均的な需要電力に相当する発電設備の導入を目標として設定したところであり、この目標達成に向けて積極的に取り組んでまいります。
 この度、東部産業団地において15メガワットと県内最大の発電規模の太陽光発電所建設に着手しました。また、県競馬場跡地についても活用を予定しているところです。さらに、新潟東港近くのいわゆる「11町歩」と呼ばれる県所有の遊休地を活用しての民間企業による発電施設設置も予定しているところです。今後も県有資産の有効活用の観点からも、積極的な取組を展開してまいります。加えて、バイオマスや小水力等、本県に豊富に存在する多様な地域資源の利活用を促進してまいります。
 他方、石油や天然ガスに関しては、我が国周辺海域の海洋エネルギー資源の開発が注目されています。本県近海でも、4月から佐渡南西沖で石油・天然ガスの試掘調査が実施されています。また、今月からは佐渡・上越沖でメタンハイドレートの広域的分布調査が開始されており、今後の開発の一層の加速を期待しているところです。
 重要なことは、こうした好機をしっかりと地域振興に結びつけていくことです。残念ながら現状のシステムではこうした資源開発から得られる直接的な利益は開発事業者に帰属し、地元への恩恵は限定的です。このため、エネルギー資源を有する地元に経済的メリットが還元される仕組みの構築が是非とも必要です。また、災害時の太平洋側のバックアップ機能という観点から日本海側にエネルギー基地を整備することが重要だと考えています。
 こうした点について、先般、日本海沿岸の10府県で構成する海洋エネルギー資源開発促進日本海連合として国に要望を行ったところであり、本県としては、こうした取組を通じてエネルギー供給の拠点化を図り、本県経済のさらなる活性化に結びつけてまいりたいと考えております。

 次に、福島第一原子力発電所事故後の対応についてです。
 国の原子力規制委員会は、先般、原子力災害対策指針を改定し、また、本日、原子力発電所に対する新たな規制基準を示しました。
 改定された原子力災害対策指針については、ヨウ素剤の配付や緊急時のモニタリング等について、具体性に欠ける部分があります。
 規制基準については、福島第一原子力発電所事故がなぜ起きたのか、どこに問題があったのか、例えば、消防車による炉への注水が漏水していたのではないかなど検証・総括がないまま、規制基準が策定されたとしても、安全を確保することにはなりません。
 また、あくまで規制基準は、安全対策の一つの要素であり、むしろハードだけで安全が確保できると錯覚を与えることは有害です。例えば、廃炉が前提となる海水注入等の重大対応の判断を誰が行うのかや現行法に違反する高放射線量率下での作業は誰が行うのか等、基準だけではなく法制度やマネジメントの見直しも必要です。
 実効性のある基準や指針を策定するためには、緊急時に実際に現場で対処する地方自治体の意見を聞くことが重要であり、例えば、アメリカでは原子力規制委員会の委員が公の場で外部の意見を聞くなどの取組がなされております。
 このため、県では、安全管理に関する技術委員会の議論等も踏まえ、去る4月22日、原子力規制委員会に対し、原子力発電所事故の安全対策および住民等の防護対策について、改めて、検討を要請したところです。
 県といたしましては、技術委員会には、引き続き福島第一原子力発電所事故の検証を進めていただきたいと考えております。加えて、原子力防災計画が実効性のあるものとなるよう、引き続き、市町村、関係機関と意見交換するなどの取組を進めてまいります。
 また、今国会で災害対策法制の見直しが審議され、一昨日成立しましたが、大規模・広域・原子力複合災害等へ対応する仕組みをさらに強化することが必要です。このため、先月21日には、衆議院災害対策特別委員会に参考人として出席し、原子力災害対策と自然災害対策の一体化を図る法改正を早急に行うよう意見を述べてきたところであります。
 今後とも県民の安全・安心を第一に対応してまいります。

 次に、農業問題、及び環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについてです。
 まず、農業問題についてです。本県農業が、更に魅力ある産業となっていくには、所得をいかに増やしていくかが重要です。
 これまでの国の戸別所得補償制度については、価格政策から所得政策へ転換した点は評価できるものの、仕組みが全国一律であることや、非主食用米等へ生産を誘導するインセンティブが弱いことに加え、財源の効率性の面等で課題があったと考えております。
 今後は、農業者が需要や価格動向等に即して、主食用米から非主食用米等へ生産転換できる仕組みを構築する必要があります。また、大規模化や6次産業化など多様な経営努力に対して、地域の実情に応じて裁量が発揮でき、効果的な支援を行うことができる新たな制度を創設すべきです。加えて、地域農業の担い手が将来展望を持って安心して農業経営に取り組むことができるよう、法制化と安定した財源の確保が必要であり、これらについて、国に重ねて要望しているところです。
 政府は、先般、「農林水産業・地域の活力創造本部」を設置し、「農業所得倍増」を目指すと発表しました。この問題への対応も含め政策を着実に具体化し、将来にわたって持続性のある力強い農業を実現していただけることを大いに期待しているところです。

 次に、農業への影響も懸念されているTPPについてです。
 去る4月下旬、日本のTPP交渉への参加について、全参加国との協議が終了し、来月マレーシアで開かれる交渉会合に日本が参加することとなりました。
 これまでも申し上げているとおり、食料安全保障の観点に加え、稲作を中心に育まれてきた日本独自の風土を守るためにも、少なくとも主食である米は関税撤廃の対象から除外すべきです。
 その上で、政府においては、ローカルコンテンツ規制など米国をはじめとする各国の問題点の改善も含め、ルールメイキングに参加し、我が国の国益にかなうよう戦略的な交渉を行うべきです。仮に、国益が実現されない場合には、交渉過程で撤退するべきであり、また、最終手段として国会で承認しないとする環境をつくっていくことも重要です。政府には、こうした点を踏まえて、断固たる姿勢で交渉に臨んでほしいと考えています。
 いずれにいたしましても、まずは、国民に対して、TPPに参加することのメリット、デメリットを明らかにするとともに、交渉内容等の開示については、交渉ごとでありますので、一定の制約があるとは思いますが、できるだけ早く情報の開示と説明を行うことが重要です。先般、これらの観点で、国に対して改めて要請を行ったところです。

 次に、地域医療体制の確保についてです。
 まず、魚沼地域と県央地域についての取組です。魚沼地域においては、新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院の平成27年6月の開院に向け、本年度は、病院長や看護部長等のコアスタッフが着任するなど運営主体である財団の組織体制強化を図ったところであり、今後、財団内に設置した開設準備委員会においてこうしたスタッフが中心となって具体的な運営体制の構築を進めてまいります。併せて、医療スタッフの確保については、U.Iターンも視野に入れ、看護師の先行採用など本格的なリクルート活動を進めてまいります。
 また、県央地域については、本年2月の合同会議での燕労災病院と厚生連三条総合病院との統合再編、公設民営の方針のとりまとめを受け、去る5月16日、県央基幹病院基本構想策定委員会を開催し、基幹病院の具体的な機能・規模や周辺病院との役割分担・連携などの検討に着手いたしました。年内を目標に基本構想を策定することとしております。また、県立加茂病院についても現在地での建て替えを前提に全面改築等検討委員会を同日にスタートさせたところであり、今秋を目処に整備基本計画を策定することとしております。
 県としては、各地域の実態に沿った地域医療の確保に向けた具体的な取組を鋭意進めておりますが、医療環境の充実を図る上で最大の課題として、医師、看護職員の不足対策が求められています。このため、県では、修学資金の貸与や県外からの就業促進、勤務環境の改善支援、看護職員の再就業支援などに取り組んでいます。県外医師を誘致するドクターバンクの取組の成果としましては、首都圏在住の医師が、来月、県内に移住のうえ県立病院で勤務を開始する予定となっています。
 このように、地方政府としてできうる限りの努力を行っていますが、医師不足や医師の偏在解消には、現行の制度、枠組みの下では限界があります。
 本県は、人口10万人当たりの医師数が約191人と全国平均より39人も少なく、自治医科大学の医師配置総合評価で全国で最も医師不足が深刻な県の一つとされています。こうした状況を抜本的に解決するには、医学部の新設等に関する規制緩和や既設医学部の大幅な定員増を可能とするなどの医師養成数増加のための具体的な対策、臨床研修後に医師不足地域での診療を経験させることなどの改革が不可欠です。そのため、先般も国に抜本的な制度改革を強く要請するとともに、本県関係国会議員の皆様にも支援をお願いしたところであり、今後も粘り強く働きかけを行ってまいります。

 次に、地方分権改革についてです。
 国では与党が道州制推進基本法案を今国会に提出する動きがあるなど、最近になって道州制導入に向けた議論が高まりをみせております。
 道州制は、国の統治機構の大改革であり、その目的は、画一的な中央集権型システムを改め、地域が多様性の中から生み出す競争力によって、我が国全体の活力を取り戻していくことにあります。そのためには、権限と財源を抜本的に地方に移譲することが不可欠です。
 しかし、現在、与党で準備されている法案は、国の出先機関の原則廃止を含む国の統治機構の再編も明記されず、都道府県の廃止だけが前面に出たものとなっています。地方の自己決定力を高め、迅速に意思決定できる仕組みに変えていく、そういう道州制であれば、大いに推進すべきでありますが、現状は、なぜ道州制を導入するのかの本質論が抜け落ちているように感じております。その結果、国の出先機関が道州の核となり、補助金等で基礎自治体をコントロールする地方分権とは正反対の中央集権型の道州制、あるいは、今後の増税を背景にした効率化ありきの単なる都道府県合併になってしまうのではないかと懸念しております。
 本県としては、全国知事会等と連携しながら、地方分権を推進するための本来の意味での道州制の実現に向けて、今後も国に働きかけるとともに、引き続き政令市との間の二重行政の解消による行政の効率化や役割分担の明確化を進めてまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 北朝鮮は、本年2月に3回目の核実験を強行した後、国際社会の圧力が一層強まる中でも、南北間の不可侵合意の無効化を表明するなど強硬な姿勢を取り続けていました。
 このような北朝鮮の強硬姿勢が続く4月27日に日比谷公会堂で開催された国民大集会には、安倍総理が出席され、「拉致されたご家族をしっかりと抱きしめる日がやってくるまで、私の使命は終わらない。」と強い決意を述べられておりました。私もこの集会に参加し、拉致問題がいかに不条理であるかということや拉致被害者の一日も早い帰国を訴えてまいりました。
 在任中の拉致問題解決を目指す安倍総理は、その後、5月中旬に飯島内閣官房参与を訪朝させるなど、主体的な取組を進めております。一方で北朝鮮も金正恩第一書記の特使を訪中させるなど、状況を打開する動きを見せ始めています。
 こうした状況の中、ご家族の皆さんも、日朝政府間協議の再開に期待を寄せていることから、政府には、拉致問題に精通した安倍総理の下、戦略をもって北朝鮮と交渉を行い、一日も早い拉致被害者全員の救出につなげていただくことを強く望みます。
 県といたしましても、認定の有無にかかわらず、すべての拉致被害者の早期帰国の実現について、政府へ要請したところです。引き続き、ご家族と気持ちをひとつにして、市町村や支援団体との連携を一層強めながら、拉致問題に全力をあげて取り組んでまいります。

 次に、並行在来線についてです。
 えちごトキめき鉄道では、並行在来線の経営に対する基本的な考え方と方向性を示す「経営基本計画」について、1月に素案を公表して以降、沿線の市民や株主、経済団体等への説明会のほか、2回にわたるパブリックコメントを実施した上で、4月に決定したところです。
 他方、県では、並行在来線に対する出資及び補助その他支援の内容についての考え方を「並行在来線への投資・支援スキーム」としてとりまとめ、先月、沿線3市長と合意に達したところです。
 これらにより、並行在来線の経営基盤の確立と開業後の安定的な経営に一定の道筋がついたところであり、今後は、会社が主体となって、鉄道事業許可の取得をはじめとした開業準備が本格的に進められるものと考えております。
 県といたしましては、広域的な観光利用の促進など、利用客増加に向けた具体的な方策を検討するとともに、沿線市にも、鉄道を利活用したまちづくりや地元における日常的な鉄道利用の促進などへの積極的な取組を求めてまいります。
 また、今後、地元経済界や沿線市民をはじめとした利用者の皆様にも、いわゆる「四セク化」に向けて出資や利用促進活動の実施など、様々な形で鉄道運営に積極的に参画していただきたいと考えております。

 次に、小木・直江津航路等についてです。
 北陸新幹線開業による関西方面との交流の促進に期待しているところであり、関西圏における情報発信拠点を来年度の早い時期にオープンさせることを目標に、準備作業に取り組んでいるところです。
 そうした中で、小木・直江津航路は、関西方面などから佐渡への玄関口として、さらに重要性が高まると見込まれることから、関係者で設置した「佐渡航路確保維持改善協議会」で運航体制の見直しについて協議が進められてまいりました。
 一方で、同航路は、県全体の観光及び物流等において重要かつ欠かすことのできない航路であるものの、赤字航路となっております。そのため、協議会の合意として、県並びに佐渡市及び上越市が、航路の公共性、公益性に鑑み、それぞれの立場で航路を円滑に運航するための支援を協調して行うこととされたところです。
 県としては、協議会の合意等を踏まえ、当面、両市の支援額に見合う一定の赤字補填を行うこととし、本定例会にそのための債務負担行為を提案しているところです。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第81号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額10億4,355万7千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、暴風・豪雪災害からの早期復旧に要する経費を計上するほか、当初予算編成後の事由による重要かつ緊急性のある経費等について計上するものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
 まず、暴風・豪雪災害への対応として、漁港等の復旧に要する経費のほか、消雪遅延による被害を防止するための対策を講じる市町村等の取組を支援するための経費等を計上いたしました。
 その他の経費としては、緊急対策として風しんの予防接種費用を助成するほか、社会福祉施設等にスプリンクラー等の消防用設備の設置を促進するための経費を措置したところです。また、無人自律航空機による災害時の捜索活動や情報収集のための経費を計上したところです。

 その結果、補正後の予算規模は、
 1兆2,596億8,355万7千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第82号議案は、工業用水道事業会計に係る補正予算でありまして、特定被災地方公共団体に係る補償金免除繰上償還に要する経費を計上するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第83号議案は、県立高校の生徒が自殺した案件の調査・検証を行う調査委員会を設置するため、
 第84号議案は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行に伴い、新型インフルエンザ等緊急事態派遣手当を支給するため、
 第85号議案は、警察活動の強化を図るため定員を改正するものです。
 第87号議案は、地方税法の改正に伴い、県民税配当割等の課税対象を追加するため、
 第88号議案は、地域グリーンニューディール基金の設置期間を延長するため、
 第90号議案は、動物の愛護及び管理等に関し、新潟市における条例施行に伴い、同市区域を県条例の適用除外とするため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第92号議案は、財産の取得について、
 第93号議案は、契約の締結について、お諮りするものです。

 次に、第94号から第96号までの各議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
 すなわち、第94号議案及び第95号議案はそれぞれ、平成24年度一般会計補正予算、平成24年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。また、第96号議案は、公立大学法人新潟県立看護大学が徴収する入学料、授業料等の料金の上限を設定したものであります。

 以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

7月5日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案4件は、いずれも人事に関する案件であります。

 第 97号議案は、副知事を選任するため、
 第 98号議案は、人事委員会委員を選任するため、
 第 99号議案は、監査委員を選任するため、
 第 100号議案は、収用委員会委員及び予備委員を任命するため、

それぞれお諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

その他の情報へリンク

平成25年6月定例会議会情報項目一覧へ

新潟県議会のトップページへ