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にいがた県議会だより第65号(本会議質問(5) 教育・文化)
教育・文化
大学入試センター試験の実施時期見直しを国に働きかけるべきでは
問 センター試験は2020年度から「大学入学共通テスト」へと変わるが、試験時期は、これまでと同じ1月中旬に行われる見込みが示されていた。一方、国会で首相は「諸外国の状況を勘案しつつ、仕組みを検討する必要がある」と述べた。
天候による地域格差で生じる受験の不平等は、毎年のように繰り返され、本県受験生が他県と平等に大学入試に挑めるよう、試験時期の見直しの検討を政府に対し強力に働きかけるべきと考えるが、所見を伺う。
答 11月や12月に実施時期を早められれば、天候による格差縮小とともに、インフルエンザ流行期の影響も減ぜられると考えており、趣旨に賛同する。
一方、学習指導要領の内容を終了することが困難になり、現役生が不利になることや、体育祭や文化祭等、教育活動の制限なども懸念される。
首相や文科大臣の答弁も、受験機会の複数化など、様々な可能性を念頭においたものと捉えており、現状としては、文部科学省での議論や国の動向を注視していきたいと考えている。
大学入試センター試験の会場や各交通機関の対応状況は
問 本県を含む雪国県は特に、受験生や保護者、試験関係者のみならず、多くの機関や人が、天候の対策に追われている。センター試験の会場や各交通機関の対応状況をどう認識しているのか、また、これまでの具体的な対応を伺う。
答 大学入試センターは、各高校の所在地を考慮し、学校単位で試験会場の割当てを行っている。また、交通機関の円滑な運行や除雪などについては、会場の各大学が、関係機関に依頼していると認識している。
県の具体的な対応としては、大学入試センターに、試験会場の増設や学校ごとの割当ての配慮について、高等学校長協会が県と協議して要望している。
また、各学校では、試験会場へ余裕をもって向かうよう、丁寧に指導していると聞いている。
医療的ケアを必要とする児童生徒の保護者の負担軽減を
問 医療的ケアを必要とする児童生徒への対応について、国の通知等で留意点が整理された。しかし、人工呼吸器装着児等、特定行為以外のケアを要する児童生徒は、常に保護者が付き添う必要があるなど負担が大きい。人工呼吸器装着児等でも、自発呼吸の有無等による一時待機時間帯の設定や、福祉施策との連携など、保護者の負担軽減につながる対応を更に検討すべきではと考えるが、所見を伺う。
答 国の通知の趣旨を踏まえ、県は、人工呼吸器の取扱いを保護者が行うとしており、自発呼吸や意思表示が困難な場合は、常に管理や見守りを要することから、保護者に大きな負担があることは承知している。
これまで、児童生徒の状況に応じ、保護者の一時待機時間帯の設定の視点を示し、負担軽減を図ってきた。また、保護者が行う用具の準備等に対しても、引き続き、県と学校が連携して負担軽減の取組を進めていく。
なお、国では、今年度から医師と連携した人工呼吸器管理体制の実証や、訪問看護師と連携した人工呼吸器のケアの研究を行い、通知の見直しを行うとしている。
教育委員会としては、国の動きを踏まえ、福祉保健部と連携し、具体的な改善方針を検討していきたいと考えている。
受動喫煙が防げない職場での高校生のアルバイトは制限されるべきでは
問 将来、日本を背負う子供たちの健康を守る事は重要であり、受動喫煙が防げない職場での生徒のアルバイトは当然制限されるべきである。県としてこのような職場へのアルバイト禁止宣言を出すような事も必要と考えるが、所見を伺う。
答 生徒が受動喫煙をはじめ、健康被害が懸念されるような職場でアルバイトをしないよう、学校でも適切に指導されるべきと考えている。
全県立高校について調査したところ、約88%の81校が、条件を付してアルバイトを許可しており、そのうち喫煙可能な店でのアルバイトを明確に禁止しているのは6校だった。
こうした状況を踏まえ、春休みを迎えるにあたり、受動喫煙をはじめ、職場環境を保護者から確認してもらうなど、生徒が健康被害を受けないよう、各県立学校に対して指導していく。
併せて、高等学校PTA連合会などの協力を得ながら、健康被害が防げない職場でのアルバイトをさせないよう、生徒・保護者への周知啓発にも努めていく。
佐渡金銀山の課題への対応は
問 佐渡金銀山の世界遺産登録について、国から「既に世界遺産に登録されている多数の鉱山遺跡と明確に差別化された佐渡金銀山の顕著な普遍的価値を主張すること」が課題として示されたとのことだが、現時点での対応状況を伺う。
答 国から示された課題に対応するため、県・市学術委員会で検討し、文化庁からの助言を受け、改めて登録済みの鉱山等との比較研究を進めてきた。
これにより、世界史的に観て、西欧とは鉱山開発のあり方が異なる稀有な鉱山であることを普遍的価値として整理できたので、3月末に推薦書原案の改訂版を国へ提出する予定である。
道遊の割戸(佐渡金山) ©西山芳一