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にいがた県議会だより第67号(本会議質問(2) 県民生活、福祉・医療、農林水産)
県民生活
新・尾瀬ビジョンに対する所見は
問 尾瀬サミットで、12年ぶりに尾瀬の目指す姿と方向性を示す「尾瀬ビジョン」が改定された。
尾瀬の豊かな自然を後世に残していく必要があると考えるが、新・尾瀬ビジョンに対する所見を伺う。
答 今回のサミットで、改めて尾瀬の自然のすばらしさを認識した一方で、平成29年度の入山者数はピーク時に比べて半数以下の約28万人となっており、尾瀬に対する関心が薄れてきているとも感じた。
「新・尾瀬ビジョン」の実現に向け、全関係者が連携して取り組むことで、尾瀬への関心を引き上げるとともに、環境の保全と適正な利活用を進め、尾瀬のすばらしい自然を持続的に保全し、次世代につなげていきたいと考えている。
尾瀬の様子(写真提供:一般財団法人魚沼市観光協会)
福祉・医療
中条第二病院の役割と、厚生連への対応方針は
問 県では、厚生連と協議の上、平成28年度から、中条第二病院の事業損失額に対して、新たな制度を創設し、運営継続を支援してきたが、十日町・中魚沼地域で唯一の精神科医療を提供する中条第二病院の役割に対する所見と、厚生連への今後の対応方針を伺う。
答 中条第二病院は、十日町・津南地域において唯一の精神科医療を提供する公的病院として、公益性の高い医療サービスを担っていると認識しており、県は厚生連に対し、引き続き病院の存続に向け、最大限の努力を続けるよう要請した。
なお、厚生連では診療所化に向け、入院患者の転院調整が行われていると聞くが、これらの対応は、患者や家族など関係者の理解と信頼が何よりも重要と考えている。
いずれにしても、十日町・津南地域における精神科医療の安定的な提供に向け、医師の配置も含めた今後の経営展望等を聞ながら、引き続き可能な支援を検討していく。
社会的養育体制の充実に向けた取組は
問 児童福祉法は、家庭で適切な養育を受けられない場合の代替養育は、里親など家庭と同様の環境を原則とし、また、「新しい社会的養育ビジョン」では、家庭養育原則を実現するための里親委託の推進など、社会的養育体制の充実が提言されている。今後、法やビジョンに示された社会的養育体制の充実に向けて、どのように取り組むのか、所見を伺う。
答 家庭で適切な養育を受けられない子どもに対し、これまでも、家庭と同様の環境である里親家庭での養育を優先した支援に努め、平成29年3月末時点の里親委託率は42.4%と、全国で最も高い。
しかし、児童福祉法等で示された充実した社会的養育体制実現に向けては、さらに里親を増加させると同時に、里親家庭での質の高い養育が必要となる。
そのためには、里親制度への理解を深める取組と併せ、里親が安心して養育にあたれるよう、研修や児童相談所による支援などの取組を充実していきたいと考えている。
児童相談所と警察の情報共有は
問 児童虐待の相談、対応件数は増加し、被害者が死亡する深刻な事件も起こる中での対策強化として、児童相談所と警察の情報を全件共有する県もある。本県として検討などは行っているのか、状況と方針を伺う。
答 児童虐待相談対応件数が大幅に増加し、また、全国で深刻な事件も起こる中、児童相談所と警察の連携のさらなる強化は重要な課題と認識している。
これまでも、国の通知等に基づき情報共有を行ってきたが、必要な情報が迅速かつ確実に共有され、協働して必要な支援が適切なタイミングで行えるよう、対象とする情報の具体的基準や共有のあり方等を取り決める協定の締結を検討している。
なお、情報の全件共有については、児童相談所への相談のちゅうちょなどを懸念する意見もあり、その効果や影響を見極めながら、慎重に対応を検討していく必要があると考えている。
農林水産
園芸導入の課題と対応は
問 稲作主体の農家にとって、園芸作物導入は作付けのノウハウがなく、水稲に比べ気象による影響が大きいため、導入を踏み切りづらいのではと考える。
園芸導入の決断には、導入前の経営指導や導入後の丁寧な営農指導が不可欠と考えるが、園芸への参入意欲を喚起するための課題と対応について所見を伺う。
答 稲作農家の多くが園芸導入に踏み切れずにいるのは、園芸生産のノウハウに乏しいことなどに加え、稲作との作業競合や、初期投資への不安などが課題と考えている。
このため、稲作農家が導入しやすい品目選定や栽培技術のマニュアル化などとともに、初期投資を抑制するため、育苗ハウスなど既存の稲作経営資源の活用を推進している。
また、大型機械導入や集出荷作業の共同化など、園芸に参入しやすい産地の条件整備を支援し、稲作農家が園芸に取り組みやすい環境を整え、参入を促進していきたいと考えている。
大型コンバインによるえだまめ収穫作業
越後杉ブランド認証材に係る問題の検証と総括を行うべきでは
問 長年にわたり越後杉ブランド認証制度の運用に問題があり、また結果として問題発覚から7年も改善されず放置されたことは県の組織的対応に問題があったと言わざるを得ない。問題を把握したら迅速に対応できる体制づくりに向けて、この問題を徹底的に検証し、責任の所在を明確にしてしかるべき対応を行わなくては、組織マネジメント体制の構築はない。この間題の検証と総括を行うべきと考えるが所見を伺う。
答 県民に信頼される県政を組織的に運営していくためには、この不適切事案が生じた経緯や原因を曖昧にしてはならない。
問題の所在をしっかりと検証して総括し、二度とこのような事案が生じないよう、真摯に取り組んでいきたいと考えている。
目的に沿った森林整備の促進を
問 本県林業は、急な斜面の森林から切り出すコストが高く、外国産木材の影響による木材価格の低迷で、深刻な状況にある。また、杉林整備を適切に行わなければ、倒木被害や山地災害の危険性が高まると考える。県民から森林整備に関心を持ってもらうには、経済林や保安林だけでなく、観光林や学校林など多目的に分けて県が指定し、権利関係も調整した上で、目的に沿った整備を促進してはどうかと考えるが、所見を伺う。
答 利用目的に応じた森林の整備を進めることは重要な視点であると認識している。
本県では、市町村が森林法に基づき、利用目的や、期待する機能などにより区域設定した森林整備計画を定め、それぞれに応じた整備を推進している。
県民のニーズに沿った森林整備が促進されるよう、市町村に対し、計画策定の指導・助言や、情報提供、技術的支援などに努めていく。