ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

平成31年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0121267 更新日:2019年6月29日更新

平成31年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月18日 知事説明要旨

 平成31年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

 まずはじめに、昨年7月より見直し作業を進めてまいりました総合計画についてです。
 総合計画につきましては、11月に計画の見直し素案を公表し、12月定例県議会でのご議論はもとより、市町村やパブリックコメントで県民の皆様から寄せられたご意見等を踏まえながら、必要な修正を加えた上で、先般、改定案としてとりまとめ、新年度予算案と併せて、公表いたしました。
 改定案では、私が県づくりの目標として繰り返し申し上げてきた「住んでよし、訪れてよしの新潟県」を基本理念に掲げ、県民の皆様が、新潟に住んでいることを誇りに思い、これからも住み続けたいと思える、そして、国内外の方々が新潟に魅力を感じ、訪ねてきていただける新潟県の実現に向けて、県民最優先の基本姿勢の下で全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 今議会でお諮りしている新年度予算案においては、この計画案に基づいた政策の体系に沿って重点的な取組を、11の政策パッケージにしてお示ししているところであり、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の第一歩を踏み出す予算として編成したところです。

 その中でも、まずは本県にとって喫緊かつ最重要の課題である「人口減少問題への対応」についてです。
 本県人口は、先般公表された統計によれば、昨年10月1日現在で前年と比べ2万1千人を超える減少となり、ピークだった平成9年の人口から、およそ10%の減少となっています。
 この問題は、本県にとって極めて深刻な課題ではありますが、一方で特効薬のない構造的な問題でもあります。
 人口の減少幅を縮小し歯止めをかけるためには、私としては、中長期的な観点から、県民の所得水準や暮らしやすさの向上に取り組み、若者が魅力を感じる多様な教育や就労の場、そして、安心して子供を生み育てられる環境をつくり出すことが基本であり、本質的な解決策につながる近道ではないかと考えています。
 人口減少が続くことに伴う様々な影響などについて、県全体で危機感を共有し、市町村はもちろん、各界の皆様と連携・協力しながら、11の政策パッケージでお示ししている重点的な取組を中心に、県政のあらゆる分野での政策を総動員して、全力で取り組んでまいります。

 以下、本年の県政の主要課題について、順次述べさせていただきます。
 はじめに、「安全に安心して暮らせる新潟」についてです。
 まず、一段加速した防災・減災対策の推進についてであります。
 近年の、自然災害が激甚化・頻発化する状況を踏まえ、国では昨年12月、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を打ち出しました。
 本県においても、災害から県民の命と暮らしを守るため、国の緊急対策も最大限に活用しながら、今議会でお諮りしている補正予算案と新年度予算案を一体とした対応により、河川改修をはじめとする治水・土砂災害対策などを集中的に実施してまいります。また、治水安全上、特に重要な堤防について専門家による一斉点検を行うなど、災害被害の防止・軽減を図るための事前対応を強化してまいります。
 加えて、災害が発生した場合の通行を確保するため、第一次緊急輸送道路に面した住宅の耐震改修の支援を拡充するなど、災害からの速やかな復旧・復興を図るための事前復興の対策を推進します。
 一方、災害が発生した場合でも深刻な被害を回避し、災害から命を守るためには、ハード面での対策の強化と合わせ、確実な避難行動につなげる住民目線に立ったソフト対策も重要です。
 昨年7月の西日本豪雨の際には、避難勧告等の防災情報が住民の避難行動に的確に結びついていないなどの課題が浮き彫りになりました。
 こうした課題に対応するため、防災意識の向上に取り組むほか、ハザードマップをスマートフォンで閲覧できるアプリの開発などにより情報伝達の迅速化に取り組みます。
 また、河川の浸水想定区域図が未策定の河川について、前倒しで完了させるとともに、農業用ため池など農業水利施設の対象を拡大して地震・豪雨に備えた点検を行い、市町村のハザードマップ作成を支援するなど、災害発生時の適切な避難行動につなげます。
 加えて、地震災害対策を強化するため、最新の知見を踏まえた地震被害想定の調査に着手するほか、災害における救急医療の強化に向けた人材育成を推進するなど、災害が発生した際にも万全な対応がとれるよう取組を強化してまいります。

 次に、「安全・安心なまちづくり」についてです。
 近年、本県の刑法犯認知件数は減少傾向にありますが、新潟市西区での事件をはじめ、子供や女性、高齢者などが被害にあう犯罪が多発しており、県民生活を取り巻く治安環境は大きく変化しています。
 県民の身近で発生する犯罪の未然防止や犯罪への死角がない街づくりを進めるため、自治会や市町村が設置する防犯カメラの費用の一部を支援するほか、学校・教育委員会等と連携した子供の見守り対策を推進するなど、地域の防犯力の向上を図ってまいります。
 また、犯罪容疑者の広域での移動や、県民の生命・身体に差し迫った危険がおよぶ事件の早期解決を図るため、車両捜査支援システムを大幅に増設するほか、サイバー犯罪対策の強化を図るなど、犯罪のない安全で安心な社会の実現を目指した取組を強化してまいります。

 次に、「原子力防災対策の推進」についてです。
 先般、万一の原発事故に備え、住民避難の対応に係る個別のマニュアルの整備を進め、「新潟県原子力災害広域避難計画(案)」をとりまとめました。現在、市町村等関係機関との調整を行っており、年度内には、確定させたいと考えております。
 今月6日には、この広域避難計画案を基に、原子力災害対応にあたる職員や市町村等関係機関が参加し、住民避難を想定した机上訓練を行いました。
 この経験を踏まえ、新年度には、住民の皆様や市町村等関係機関も参加する形での実動訓練を行い、そこで明らかになった課題への対応を改めて計画に反映したいと考えております。こうしたプロセスを繰り返すことによって、広域避難計画の実効性を高めるとともに、県だけでは解決できない課題については、必要な対策を国に求めてまいります。
 一方、柏崎刈羽原子力発電所につきましては、引き続き、県民の命とくらしを守ることを第一に、原発事故に関する3つの検証の結果が示されない限り、再稼働の議論を始めることはできないという姿勢を堅持し対応してまいります。
 また、企業局が保管する放射性物質を含む汚泥について、これまで、放射性物質を放出した当事者の責任として、東京電力に引き取りを求め、県として保管してきたところですが、昨年12月に、東京電力から直接の引き取りは困難との回答がありました。引き取り要請から回答まで、長い時間を要したことは遺憾に思います。
 県としましては、保管場所の容量も限界に近づいていることから、周辺住民の皆様の不安も考慮し、法律に則り処分を行うこととし、そのための経費を新年度予算案に計上したところであり、今後は着実に処分を進めるとともに、東京電力に対し、要した費用の負担を求めてまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 拉致被害者やそのご家族はご高齢となってきており、解決に向けてもはや一刻の猶予も許されません。
 このような状況の中、昨年12月に県議会拉致議連が主催された街頭啓発活動には私も参加させていただき、県民の皆様に、拉致問題を風化させないため声を上げ続けることを強く訴えさせていただいたところです。
 また、今月末に2回目の米朝首脳会談が予定されている中、先日14日に「知事の会」として、菅拉致問題担当大臣にお会いしました。
 その際、米国をはじめとする関係諸国が北朝鮮と個別協議を行う場合に、拉致問題の早期解決を北朝鮮に対して働きかけるよう、政府として要請することを求めてまいりました。
 県といたしましては、今後も国の外交交渉を働きかけるとともに、県民向けの各種集会、とりわけ拉致問題に対する関心が薄れてきている若年層向けの事業として、今年度から始めている大学生を対象にした啓発セミナーをさらに拡充するなど、県民の関心・理解を高める取組を進めてまいります。

 次に、「県民すべてが生き生きと暮らせる新潟」の実現についてです。
 はじめに、健康づくりの推進による「健康立県」の実現についてです。
 県民の健康寿命を延伸し、全国トップクラスの健康寿命が確保され、すべての世代が生き生きと暮らせる「健康立県」の実現に向けては、生活習慣病のリスクが高まる「働く世代」はもとより、県民一人一人が自らの健康状態に関心を持ち、健康づくりに取り組みやすい環境を整備することが重要です。
 このため、市町村や医療、教育、産業等の様々な分野の関係機関が連携・協働した新たな県民運動として、「ヘルスアクションプロジェクト」を展開するとともに、企業における健康経営の取組が一層充実するよう、これまでの登録制度を再構築し、「にいがた健康経営推進企業」として登録企業の支援を強化してまいります。
 今年度から取り組んでいる、健康・医療・介護のデータの連携による「にいがた新世代ヘルスケア情報基盤」の構築については、先般、有識者からなる推進委員会において構想案が取りまとめられたところです。引き続き、成案に向けご議論いただくとともに、新年度においては、まずは健診・保険請求データの集約に向けたデータベースの整備を進め、「健康寿命延伸」と「最善のケア・サポート」を実現するための情報基盤の構築に取り組んでまいります。
 また、地域で安心して医療が受けられる医療提供体制の整備に向けて、医師・看護職員の確保の取組を強化してまいります。
 新年度においては、女性医師支援センターの取組を刷新し、女性医師のキャリア形成や出産・子育てからの復職を大学や医療機関、関係団体と連携しながら総合的に支援し、女性医師が働きやすい環境づくりを進めてまいります。
 看護職員の確保・育成については、県立十日町看護専門学校の来年4月の開校に向けた準備を着実に進めるほか、キャリアアップ支援の強化による能力向上と県内定着を図ってまいります。
 また、小児専門医療の充実を図るため、小児がん医療の機能強化を目指す新潟大学医歯学総合病院の、小児がん患者やその家族に対する精神的サポートなどを強化する取組を支援してまいります。

 次に、福祉の充実についてです。
 住み慣れた地域で安心して暮らしていきたいという県民の願いに応えるため、地域における適切な福祉サービスの提供と、それらを担う人づくりに努めてまいります。
 引き続き、市町村が取り組む持続可能な地域包括ケアシステムの構築を総合的に支援するため、リハビリ専門職等を活用した介護予防の取組拡大を促してまいります。
 高齢者に社会参加を促すことは、高齢者の生きがいづくりや介護予防の観点に加え、多様な担い手確保の面からも重要であることから、新たに、高齢者等の就業支援に向けた官民連携のプラットフォームを形成し取組を進めてまいります。
 また、認知症の人が自らカウンセラーとなり、他の認知症の人や家族の不安や悩みを聴く相談支援活動や、若年性認知症の方への就労継続に向けた支援などにも取り組み、認知症の人や家族への支援体制の充実を図ってまいります。
 加えて、今後も大きく不足することが見込まれる介護人材の確保のため、介護の周辺業務を担っていただく元気な高齢者等の新規参入を促進するとともに、介護事業所が事業所間のネットワークを構築し、効率的な人材確保や経営強化につなげる取組を支援し、住み慣れた地域で安心して暮らせる介護の実現を目指してまいります。
 近年、核家族化や地域コミュニティの衰退、女性の社会進出の増加等により、子育て環境は大きく変化し、子育ての不安や育児知識の不足など様々な要因を背景にした児童虐待は、深刻な社会問題となっています。
 県内の児童相談所における児童虐待相談対応件数は年々増加しており、より一層の対応力の向上が必要であることから、児童福祉司等の専門職員の増員や、一時保護所に入所する児童への学習指導の充実などにより、児童相談所の機能強化を図り、援助を必要とする子どもや家庭への支援の充実に努めてまいります。

 次に、「多様な人や文化が交わる賑わいのある新潟」の実現についてです。
 はじめに、「多様な地域資源を活かした交流人口の拡大」についてです。
 昨年の訪日外国人旅行者数は初めて3千万人を超え、政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の4千万人を目標に掲げ取組を強化しています。
 本県の昨年1月から11月までの外国人延べ宿泊者数は対前年比114%となり、特に4月から11月までのグリーンシーズンにおいては、対前年比で143%と全国3位の伸びとなるなど、明るい兆しも見え始めたところです。
 こうした中、多様な地域資源を活用した本県観光の魅力をいかに外国人旅行者に伝え、本県にさらに取り込んでいくかが重要な課題となっており、観光局の独立も踏まえ、取組を強化してまいります。
 具体的には、今後の有望な市場である東南アジア諸国において、現地観光説明会を開催するとともに、観光コーディネーターの活動範囲を拡大するなど、本県観光のプロモーションを強化します。
 また、北京冬季オリンピックに向けて、スキーへの関心が高まる中国や、妙高エリアへの更なる誘客が見込まれるオーストラリアを対象に、「スノーリゾート新潟」を前面に更なる誘客活動と受入体制整備を推進します。
 加えて、新たに宿泊施設等による海外旅行博への出展を支援することにより、官民一体となった誘客活動を強化するほか、首都圏に滞在する外国人旅行者の取り込みに向けた情報発信を強化します。
 今年の秋には、「日本海『美食旅』」をメインキャッチフレーズに掲げたデスティネーションキャンペーンや国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が本番を迎え、2020年冬には、苗場スキー場でアルペンスキーワールドカップが開催されます。
 東京オリンピック・パラリンピックを控える貴重な時期に、これらの取組を最大限活用し、国内外の多くの皆様に本県観光の魅力を発信するとともに、継続的な交流人口の拡大につなげていく必要があります。
 このため、本県観光のブランドイメージをけん引する、集客力のある魅力的な取組を重点的に支援するとともに、本県の上質な食文化と観光拠点、県産品等を組み合わせた新たな観光資源の創出に取り組むほか、観光航路としての可能性を持つ寺泊・小木間で、ジェットフォイルを活用した旅行商品を造成する社会実験を新たに実施いたします。
 また、民間の旅行情報ウェブサイトに、新たに新潟の特集ページを開設し、着地型旅行商品の販売促進に取り組むほか、首都圏や関西圏でのメディアを活用した効果的な観光情報の発信など、売れる商品づくりと新潟らしい観光ブランドの情報発信を強化します。
 さらに、県内初開催となる国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の成功に向けて、万全の準備を進めるとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致に取り組む市町村を引き続き支援するほか、聖火リレーの円滑な運営に向けた準備を進めてまいります。

 次に、「更なる拠点性向上に向けた交通ネットワークの整備」についてです。
 本県が有する充実した交通ネットワークは、本県が日本海側の拠点として発展するための基盤であり、更なる機能強化を図ることが重要です。
 新潟空港については、LCCの就航や好調なインバウンド需要などにより、平成30年度の利用者は昨年度を大幅に上回る見込みとなっています。こうした流れをさらに加速させ、一層の利便性向上につながるよう、新規路線の開設や既存路線の増便に取り組んでまいります。
 国際線については、新規定期便の就航につながるチャーター便の誘致を推進するとともに、定期就航した路線の定着を積極的に支援してまいります。
 また、新潟空港アクセスの向上に向け、本年度から取り組んでいる県内観光地等との二次交通の整備を拡充するほか、新たな需要を掘り起こすための実証実験として、国際線利用者を対象とした駐車場の一部無料化や、県外高速バスの空港乗り入れ、早朝航空便に対応したアクセス整備などに取り組んでまいります。
 港湾については、近年増加傾向にある海外クルーズ船等の更なる誘致に向け、関係自治体との連携を強化し、海外船社への誘致活動を推進するとともに、大型クルーズ船の入港セレモニー等で新潟らしさを存分に感じていただける「おもてなし」を行うなど、選ばれる港となるよう取り組んでまいります。
 さらに、賑わいのある港の実現に向け、本年度に策定予定の万代島将来ビジョンを踏まえ、万代島地区における施設間のアクセス改善等に向けた調査を実施するなど、新潟市と連携しながら、水辺空間の賑わい創出に積極的に取り組んでまいります。
 県内の主要都市間の移動には、鉄道とともに、高速バスが重要な役割を担っています。
 県内の充実した高速道路網を利用した高速バスは、通勤や通学、通院など日常の移動手段として、また、観光やビジネスの足として活用されている一方、人口減少等による利用者の減少や運転手不足などにより、路線の廃止や減便が進んでいます。
 そのため、新年度においては、県民の県内移動の利便性を向上させ、観光客をはじめとする交流人口の拡大を図るため、市町村や民間事業者、学識経験者等による検討会を設置し、都市間高速交通ネットワークのあるべき姿の構築を目指して取り組んでまいります。

 次に、「活力のある新潟」の実現についてです。
 まず、起業・創業の推進についてであります。
 本県の開業率は全国46位と低迷し、廃業数が開業数を上回る状況にあります。今後、本県経済の活性化を図っていくためには、挑戦しようとする方が多く集まり、起業・創業が次々とわき起こる環境を整えるとともに、事業承継を契機とした経営革新等を後押ししていくことが必要です。
 そのため、金融機関や商工団体、市町村などの支援機関が参加するプラットホームと先輩起業家のネットワークが一体となり、起業意識の醸成から創業後までの一貫した支援を展開するほか、創業希望者の交流の場の設置等を支援します。
 また、事業承継に関する相談体制を強化することに加え、経営革新に向けた計画策定を新たに支援するほか、生産性向上を目的とした設備投資支援事業に起業・創業や事業承継の枠を新たに設けるとともに、起業資金の助成を拡充することにより、資金面での支援を強化します。

 次に、意欲ある企業等への支援による県内産業の活性化についてです。
 人口減少に伴い国内市場の縮小が見込まれる中、県内企業の海外展開への挑戦を後押しするなど、国内外への販路拡大を積極的に支援する必要があります。
 このため、海外での事業経験が浅い企業に対する支援を強化するほか、ベトナム計画投資省内に設置する「新潟デスク」や現地コンサルタントの活用などにより、今後の有望な市場となる東南アジアでの市場開拓支援を強化します。
 加えて、関西情報発信拠点「じょんのびにいがた」のリニューアルに向けた準備を進めるなど、県産品等の情報発信を強化します。
 本県経済がさらに飛躍していく上で、エネルギーは重要なテーマです。
 洋上風力発電の導入を進めるにあたり、導入促進と環境保全等が両立した適地を選定する「ゾーニング」を行うほか、電力の需要と供給を一括制御し、再生可能エネルギー電源の有効利用を図る「仮想発電所」の実証に向け、官民が連携した取組を進めます。また、燃料電池自動車の普及拡大や水素サプライチェーン構想の策定などに取り組みます。
 加えて、これらの事業を円滑に推進するとともに、今後、再生可能エネルギーの導入を更に促進するため、新たにその財源としての基金を創設いたします。
 今後の成長や市場の拡大が見込まれる産業の創出・育成も重要な課題です。
 そのため、中小企業のAI.IoT導入を積極的に支援するとともに、新潟市や関係機関との一体的な取組による航空機産業の集積促進や、産学連携による健康・医療・福祉等の新たな成長分野への参入促進など、高付加価値型の産業構造への転換を図ってまいります。

 次に、「付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現」についてです。
 人口減少局面を迎えた我が国において、主食用米の需要はこれまで以上に減少することが見込まれています。本県農業は、これまで米に大きく依存してきましたが、儲かる農業の実現に向け、経営の幅を広げ、園芸生産の導入・拡大を推進していく必要があります。
 このため、園芸の具体的な展開方向を共有する基本戦略の策定と併せ、大規模産地の育成に積極的に取り組むとともに、ノウハウ取得から本格導入まで、積極的に挑戦する農業者や産地を総合的に支援してまいります。
 また、米については、新潟米基本戦略に基づき、引き続き、主食用米・非主食用米を合わせた米全体の需要拡大を推進するとともに、国内外における業務用米の価格水準に対応できるよう、多収穫・低コスト栽培などへの取組を積極的に支援し、農業者の所得向上を図ってまいります。
 デビューから3年目となる「新之助」は、これまでの取組により、コシヒカリと双璧をなすトップブランドとして、消費者の皆様等から食味・品質への高い評価をいただくとともに、一定の認知を得ることができました。今後は、ブランドの定着に取り組むとともに、コシヒカリと併せて、本県産米への消費者の支持拡大に努めてまいります。
 本年1月には、原発事故後初めて、中国向けに新潟コシヒカリが輸出されました。これを受け、新潟米の安全性、品質の高さを現地消費者の皆様にご理解いただくため、中国での新潟米の情報発信に新たに取り組んでまいります。
 また、県産農産物の輸出拡大を図るため、香港、シンガポールなどの海外主要市場における情報発信に加え、大手小売業者と連携した海外店舗でのフェア開催などにも、新たに取り組んでまいります。

 次に、県産材の利用促進についてです。
 越後杉ブランド認証材の不適切事案について、先般、県の検証と総括を取りまとめ、公表いたしました。「県民最優先」の視点が欠けていたことを真摯に反省し、二度とこのような事案が生じないよう取り組んでまいります。
 県産材は、これまでの取組により品質向上に一定の成果があったものの、生産量が伸び悩んでいることから、前議会で制定された「新潟県県産木材の供給及び利用の推進に関する条例」を踏まえ、新たに林業事業者における製材用素材の生産拡大や、製材工場及び建築事業者における利用・増産など、川上から川下までの意欲ある事業者の取組を総合的に支援し、県民の皆様から県産材を使っていただけるよう、県産材全体の利用促進に全力で取り組んでまいります。

 次に、「住み続けることができる中山間地づくり」についてです。
 中山間地などの条件不利地域では、高齢化と人口減少により集落規模の縮小が進み、集落機能の低下が見られるなど地域の活力を維持していくことが大きな課題となっております。
 地域で住み続けたいと思う人が住み続けられるよう、市町村とともに住民主体の地域づくりを促進するため、新たに地域振興局を中心としたサポートチームを設置し、地域の話し合い開始から地域活動に取り組む団体の育成・発展まで、地域づくりの段階に応じた支援を全県で展開してまいります。また、団体の地域づくり活動については、クラウドファンデングで資金を調達し、団体に交付するなど支援を充実してまいります。
 加えて、生産条件が不利な中山間地域における農業は、産業として捉えるだけでなく、生業を通じて地域を維持していく観点も重要です。過疎化・高齢化が進む中山間地域で営農継続に必要な人材の確保・定着が進むよう、農業をベースとした生業づくりに取り組む地域を新たに支援してまいります。
 住み続けることができる地域の実現には、それぞれの地域にふさわしい移動手段を確保していくことが重要です。高齢者等の移動手段として、乗り合いタクシーやコミュニティバス等の導入を支援するとともに、新たに複数市町村が連携して取り組むバス路線の運行や、需要開拓のための路線の延伸などの取組についても支援するなど、日常生活の移動手段の確保に取り組んでまいります。

 次に、「県民一人一人が学び、成長し、活躍できる新潟」の実現についてです。
 まず、喫緊の課題である「いじめ問題」については、いじめ対策総点検の結果を踏まえ、体制を再構築することとし、教育委員会に生徒指導課を新設するほか、県立学校に専任のいじめ対策推進教員を配置し、組織的対応を徹底するなど、いじめから児童生徒を全力で守る体制を強化してまいります。
 さらに、いじめ対策等検討会議でのご意見を踏まえながら、自殺予防教育やSNSの適正利用に係る教育プログラムを作成し、実践研究を実施するほか、いじめに対する教員の意識改革と指導力の向上を目的とした研修を充実してまいります。
 また、児童生徒等からの相談体制については、スクールカウンセラーを全ての小・中学校と特別支援学校に配置するほか、県立高校での配置時間を延長するとともに、SNSによる相談時間を延長してまいります。また、新たに弁護士を活用して、学校における法的側面からの相談対応やいじめ予防教育を行う等、取組を拡充してまいります。
 加えて、「いじめ見逃しゼロ県民運動」について、保護者や県民の参加を促進するため、県民サポーターを募集し活動していただくなど、学校・保護者・地域が一体となって「いじめをしない、見逃さない、許さない」という意識の醸成に向けて、取り組んでまいります。
 本県の子ども達一人一人が将来の夢や希望を育み叶えていくためには、グローバル化や技術革新等による社会の変化に対応し、未来を切り拓いていける力を身につける教育を実現していくことが必要です。
 そのため、新学習指導要領を踏まえ、英語教師の指導力向上や高校における英語教育のモデル校指定など、英語教育の指導体制づくりを行うほか、質の高い豊かな教育の推進に向けて教員の資質向上を図る取組を進めてまいります。
 また、地域や産業界等と連携したキャリア教育を小・中・高校の各段階で推進してまいります。

 この項の最後に、教育環境の改善についてです。
 教職員が児童生徒一人一人と向き合い、心を通わせた教育活動を推進するため、市町村教育委員会と連携しながら、学校における働き方改革を進めるとともに、教職員配置の改善や部活動指導員・スクールサポートスタッフの配置の拡充を行う等、教職員の多忙化解消の取組を進めてまいります。
 県立高校普通教室のエアコンについては、昨年の猛暑も踏まえ、生徒の学習環境の改善を図るため、県が未設置の普通教室を含め、整備・更新と維持管理を行うこととし、今後、PTA等の関係者との協議を進めてまいります。
 また、通学路等における児童生徒の安全の確保に向けて、地域と連携した安全マップづくりや防犯教室を通じて、児童生徒の危機回避能力の向上を図るモデル事業を実施するとともに、通学路等に面し、倒壊の危険性があるブロック塀の撤去等を新たに支援してまいります。

 次に、人口減対策の具体的な事業展開についてです。
 1月末に総務省が公表した平成30年の住民基本台帳人口移動報告によれば、本県は全国45位の約6千9百人と転出超過となっていることから、新年度においても、人口の社会減抑制に向けて、引き続き、若者の県内定着の促進や、U.Iターン者の増加につながる施策を積極的に進めてまいります。
 具体的には、「新潟県U.Iターンコンシェルジュ」やふるさと回帰支援センター等できめ細かな相談対応を行うとともに、移住相談者を本県に呼び込むため、市町村が行う移住体験ツアー等に参加するための交通費を新たに支援してまいります。加えて、首都圏での県内出身者との座談会の開催など継続的な情報発信に取り組む一方、女性や関西圏をターゲットに移住に関する情報提供を強化してまいります。
 また、本県と協定を結ぶ県外大学等の就職支援担当者と県内企業の採用担当者との意見交換会を首都圏で新たに開催するとともに、県外学生と県内企業の首都圏での交流会を拡充するなど、若者の県内就職の促進に向けて、多様なアプローチによる取組を展開してまいります。
 さらに、地方創生推進交付金を活用し、県がマッチング支援の対象とした中小企業に東京圏から移住して就業した方に支援金を給付するほか、U.Iターン起業に対する助成金を拡充することにより、東京圏からの流入促進を強化してまいります。
 また、本県若者の県外への流出は、その多くが大学への進学と大学卒業後の就職の時点で生じています。そのため、きめ細かな修学支援など県内大学の魅力を高める、特色ある取組を支援するほか、来春の国際経済学部設置に向けて、県立大学の施設整備に取り組んでまいります。
 加えて、若者の県内企業への就職を促進するため、産学連携の強化に向けた体制構築や地域産業が求める人材育成に取り組む大学を新たに支援するとともに、引き続き、大学、市町村、地元産業界と連携した県内企業へのインターンシップを推進してまいります。

 一方、自然動態の改善に向けては、希望する人数の子どもを安心して生み育てられる環境づくりが不可欠です。
 そのため、結婚、妊娠・出産、子育ての願いをかなえられるよう、それぞれのライフステージに合わせた切れ目ない支援を進めるとともに、子育てを社会全体で支える機運醸成と体制づくりに取り組んでまいります。
 具体的には、大学生等の若い世代の方に少子化の現状や課題を認識し、自らのライフデザインを考える機会を提供することにより、結婚や子育てと向き合うきっかけづくりを進めるほか、市町村や企業等による広域的な出会いの場の創出への支援や「にいがた出会いサポートセンター」によるマッチングに取り組み、結婚を希望する方の願いをかなえられるよう支援してまいります。
 一方、核家族化や地域コミュニティの衰退、保育ニーズの多様化等子育て環境が変化する中、子どもを生み育てることを地域や職場など社会全体で共に支える体制づくりを推進する必要があります。
 市町村はもとより、地域で活動するNPOや事業者等とも課題を共有し、各々の取組を後押しすることにより地域の子育て力を高めることに加え、新たに、幅広い世代に対し子育てを応援する機運が醸成されるよう取り組んでまいります。
 また、ワーク・ライフ・バランスの推進や従業員の子育て支援に取り組む企業の一層の拡大につなげるため、関連する企業登録制度をハッピー・パートナー企業に一本化するとともに、県の物品等の調達における優遇措置などを拡充し、男女ともに働きやすく子育てしやすい職場環境の実現を図ってまいります。

 次に、新潟の魅力・新潟らしさの再認識に向けた取組についてです。
 新潟のイメージは、米、酒、雪等の限定的なイメージにとどまっており、県内各地域の多様な魅力が、県外はもとより、県民にも共有されていないことが、新潟の魅力を十分伝えきれていないことにつながっています。
 そのため、今後、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現に向けては、県民の皆様が新潟の魅力を改めて考え、気づき、そして積極的に表現していただくことが重要と考えております。
 こうした認識の下で、県民の皆様から主体的に考えていただくきっかけを作るための場や機会を提供し、新潟の魅力・新潟らしさを幅広く検討してまいります。

 次に、平成31年度当初予算編成の考え方と今後の財政運営の方向性についてご説明申し上げます。
 先般、公表した財政運営計画における中期財政収支見通しでは、2023年度までの5年間で、平均して毎年度約220億円の財源不足が見込まれ、このまま何ら手立てを講じなければ、2021年度には財源対策的基金が枯渇することが見込まれています。
 こうした厳しい財政状況を踏まえ、平成31年度予算編成においては、選択と集中をこれまで以上に徹底することを基本に、マイナスシーリング等により財源の確保に努めるとともに、国庫補助金、有利な地方財政措置が見込まれる地方債を活用することにより、後年度を含む県負担を抑制するなど、今後の財政運営を見据えた対応を行ったところです。
 しかしながら、地方交付税等が当初の想定を超えて大幅に減少することが見込まれることから、不足する財源については、財源対策的基金からの繰入れを増額することにより対応することといたしました。
 以上、申し上げました、平成31年度一般会計予算は、総額1兆2,597億1千万円となり、平成30年度予算に比べ、総額で1.7%増となったところであります。

 今後の財政運営において、財源対策的基金が枯渇するといった厳しい状況を回避するためには、これまで以上の歳出・歳入両面からの抜本的な改革が急務であり、本県の人口動態や歳入規模に見合った歳出構造への転換を早急に進め、収支均衡を図る必要があります。
 そのため、新年度においては、財政改革推進会議を設置し、外部有識者からもご意見を伺いながら、庁内一丸となって歳入歳出改革の検討を進め、県としての具体的な行動計画を策定するとともに、持続可能な財政運営に向けて、全力で取り組んでまいります。

 次に、今議会に平成31年度当初予算と併せて上程されました平成30年度補正予算に関する議案等についてご説明申し上げます。
 第71号議案は一般会計補正予算でありまして、総額495億4,345万4千円の追加補正についてお諮りいたしました。今回の補正は、国の補正予算等に対応した経費について計上するものであります。
 なお、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、平成31年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を26億9,800万円計上しております。

 以上、補正についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の平成30年度予算規模は、
1兆2,981億7,370万2千円となります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第49号議案は、県立十日町看護専門学校を設置するため、
 第53号議案及び第54号議案は、テクノスクール及び農業大学校の授業料を改定するため、
 第68号議案は、警察署の新設・廃止に伴い、警察署の名称等を変更するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであるほか、第24号議案をはじめとする各議案において、消費税率の引上げに伴い使用料等を改定するための条例改正についてお諮りしております。

 次に、第69号議案は、財産の取得について、
 最後に、第70号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

2月27日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案28件について、ご説明申し上げます。

 第76号議案は、平成30年度一般会計補正予算でありまして、総額584億7,089万1千円の減額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、道路除雪費の所要額を措置するとともに、職員給与費に係る過不足額を計上したほか、地方創生の取組の推進に必要な経費や、補助事業等の内定見込み、事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。

 この結果、補正後の予算規模は、
1兆2,397億281万1千円となります。

 また、第77号から第94号までの各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、その他の主な条例案件等について、ご説明申し上げます。
 まず、第96号議案は、地方税法の改正に伴い、自家用乗用車に対する自動車税の税率の引下げなどを行うため、
 第99号議案は、電気自動車等の普及促進に向けた自動車税等の軽減措置の期間を延長するため、
 それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。

 最後に、第103号議案は、契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月11日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案5件について、ご説明申し上げます。

 第104号から第108号までの各議案は、平成30年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たり、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては726億5,421万円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、既に歳出予算と同時に議決をいただいております公共事業予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、1,174億1,566万3千円となった次第であります。
 何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月19日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案は、人事に関する案件であります。

 第109号議案は、教育長を任命するため、お諮りいたしました。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

その他の情報へリンク

平成31年2月定例会議会情報項目一覧へ
新潟県議会インターネット中継のページへ<外部リンク>
新潟県議会のトップページへ