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にいがた県議会だより第76号(本会議質問1)
代表質問(12月3日)
小林一大議員
(自由民主党)
新型コロナウイルスの影響を踏まえた来年度当初予算の編成方針は
(問) 令和2年度予算については、度重なる補正予算も感染拡大防止と経済活動の両立を図るための対策に終始し、実施予定の事業や行事開催が中止となり、今後予算の組み換え等の必要が生じるものと考える。令和3年度当初予算については、今後、具体的な事業化に向けた議論が本格化していくものと考えるが、現段階でどのような方針で編成していく考えか、所見を伺う。
(答) 新型コロナウイルスの影響が長期化する見込みであることから、今後の感染症の状況や社会経済に与える影響等を見極めながら、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ時代に向けた取組を進めていく必要があると考えている。
9月補正予算では、「ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会を見据えた本県の活性化に向けた施策パッケージ」として、地方分散の促進、産業構造の転換、新たな日常を支える基盤整備等に取り組んだところであり、令和3年度当初予算においても、これらの事業の効果も踏まえつつ、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現に向けた取組をしっかりと進めていく。
併せて、持続可能な財政運営に向けて、行財政改革行動計画の取組を着実に進めていく。
新潟東港のバイオマス発電所建設計画に対する県の協力体制は
(問) 新潟東港工業地帯内に世界最大級のバイオマス発電所の建設計画があるとの報道があった。エネルギー供給拠点としての新潟東港の合目的利用の観点から、また、貨物取扱量の増加という観点からも歓迎すべき計画であり、エネルギー自給や脱炭素社会の率先的実現のためにも、全面的な協力・支援体制を組むべきと考えるが、所見を伺う。
(答) バイオマス発電は、我が国のエネルギー自給や脱炭素社会実現の観点から重要であるとともに、計画が実現すれば、日本海側のエネルギー拠点化にもつながり得るもので、地域の雇用拡大や新潟東港の物流活性化など、本県経済への波及効果も期待しているところである。
立地においては、地元や関係者の理解に基づき調整が図られることが前提であるが、県としては、庁内での協力体制を整え、関連する法令等の手続や港湾の利用などに関する情報提供、関係者との連絡調整及び技術的課題についての相談などを行っているところであり、引き続き、事業計画の熟度に応じて適切に対応していく。
柏崎刈羽原子力発電所再稼働の判断にあたっての議会の役割は
(問) 知事は柏崎刈羽原子力発電所の安全性について、3つの検証の結果に加え、県技術委員会による柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の確認結果と合わせて判断するとの姿勢だが、判断の段階は着々と近づいている。我が自由民主党県議団としても、県議会として重要な判断を迫られることから、全議員を構成員とするエネルギー部会で複数回の勉強会開催や柏崎刈羽原子力発電所の現地視察、福島第一及び第二原子力発電所の現地視察、自由民主党東京都議会議員団との意見交換等を実施するなど研鑽を積み、知事の判断にも役立てていきたいと考えているが、柏崎刈羽原子力発電所再稼働の判断にあたっての議会の役割について所見を伺う。
(答) 一般論として、県議会と執行部とは、いわば県政を推進する両輪として、ともに県政課題の解決に向け協力していくことが重要と考えている。
その上で、再稼働については、3つの検証結果が示された後に議論を始めたいと考えている。検証結果が出た後、3つの検証の結果を、県議会をはじめ、広く県民の皆さんと情報共有するとともに、県議会の意見を踏まえた上で、リーダーとして責任を持って、結論を県民の皆さんに示したいと考えている。
女川原子力発電所の再稼働をめぐる動きについて
(問) 女川町議会、石巻市議会は9月に再稼働を求める地元経済団体などの陳情を採択し、議会としての同意を決定、県議会にも再稼働を求める請願が提出され、10月に賛成多数で採決され、議会の同意を決定している。その後、市町村長会議では一部の首長から再稼働に反対する意見が出たものの、村井知事が一任を取り付けたとのことである。女川原子力発電所の再稼働をめぐる、地元同意の取り付けにいたるこうした動きは、本県の柏崎刈羽原子力発電所7号機をめぐる地元意見のとりまとめにあたり十分参考にすべきものと考えるが所見を伺う。
(答) 本県としては、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の議論は、3つの検証結果が示された後に始めたいと考えている。
なお、それぞれの地域で事情が異なるものの、同じ原発立地県として、今後、宮城県の経緯等について、確認していきたいと考えている。
新型コロナウイルス感染症に関する警報発令について
(問) 11月11日に1日の感染者数が16人となり県は2度目の「注意報」を発令した。入院病床利用者数が34人となり、県独自の発令基準である30人を超えたためと思われるが、その後の新潟市の高齢者施設でのクラスター発生を踏まえれば、「警報」の発令基準を超えたとも思われる。一方で、発令による県内景気へのマイナス効果を懸念する声もある中、発令にかかる所見を伺う。
(答) 本県においては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能とするため、本県の感染拡大状況や医療体制のひっ迫状況などを指標として独自基準を設け、基準に該当する状況が発生した場合は、専門家の意見を伺った上で段階ごとに注意喚起や県民への自粛要請などの対策の実施を判断することとしている。
11月には多数の新規感染者が発生したものの、その多くは南魚沼市の警察署、新潟市の高齢者施設や柏崎市の小学校といった特定の施設を中心としたものであった。加えて、感染経路が不明な方の割合は低い水準におさまっていたこと、感染者のほとんどが軽傷・無症状であり、短期間での退院や宿泊療養施設への移動が見込まれ、医療体制に大きな負荷が直ちにかかることはなかったことから、専門家の意見を伺った上で、注意報による注意喚起を行う一方で、警報による自粛要請などは行わないことを判断したものである。
今後も警報発令の必要性を適時適切に判断し、発令していく。
佐渡汽船の経営について
(問) 佐渡汽船は新型コロナウイルスの影響による輸送需要の低迷などから6月中間連結決算で債務超過となり、通期では38億円の最終赤字となるとの見通しを公表した。県は、令和3年度に向けて支援を検討することとしている上越市分を含む約10億円を支援金などとして予算案に計上している。しかしながら、いま議論が必要なことは、支援額の多寡だけではなく、これまでの経営不振を招いた経営責任をどのように問うのか、経営再建に向けた道筋をどのように描くのかにあると考えるが、所見を伺う。
(答) 佐渡汽船の今期の業績悪化は、新型コロナ感染症の影響が大きく、一概に経営だけの問題とは言えないものの、新型コロナ感染症の拡大前から経営状況は厳しかったことも鑑みれば、佐渡汽船には状況を重く受け止め、更なる経営改善に確実に取り組むことにより、経営責任を果たしていただく必要があると考えている。
経営再建を着実に進めていくためには、しっかりとした道筋を描くことが重要と考えている。佐渡汽船では、金融機関等の関係者と議論を行い、コンサルティング会社を入れて経営改善計画を策定したところであり、県としては、引き続き、地元市や関係者等と連携しながら、経営再建が確実に図られるよう、適切に関与していきたいと考えている。