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令和4年6月定例会(陳情第23号)
第23号 令和4年5月27日受理 総務文教委員会 付託
沖縄を「捨て石」にしない安全保障政策を求める意見書提出に関する陳情
陳情者 辺野古を止める!全国基地引き取り緊急連絡会 代表者 高橋千洋
(要旨)米軍統治下におかれた沖縄が日本国憲法の適用を求めて日本に「復帰」して今年で50年になる。しかし沖縄では、今なお、憲法が定める基本的人権が脅かされている状況が続いている。この国の米軍専用施設の70%以上が国土面積0.6%の小さな沖縄に押しつけられており、この沖縄差別というほかない政策が、沖縄県民の命と尊厳を激しく傷つけているからである。戦争の脅威が身近に感じられる今、沖縄を「捨て石」にするかのような安全保障政策は、断じて許されるものではない。
沖縄県民は、選挙や県民投票を含むあらゆる民主主義的方法を通して、このような政策の是正を求めてきた。2019年の辺野古県民投票でも、県民は明確に基地の押しつけにNOを示した。しかし、日本社会はその声を無視し続けており、国連の人種差別撤廃委員会も、このような基地の集中を「現代的な形の人種差別」として政府に問題解決を求めている。(2010年4月6日、国連文書番号CERD/C/JPN/CO/3-6)。
歴史を振り返れば、日本は、琉球を併合して以来、とぎれることなく沖縄を犠牲にする国策を続けてきたと言える。沖縄戦では沖縄を「本土」防衛のための「捨て石」にしたが、戦後も同様の構図を維持するからである。サンフランシスコ講和条約では、「本土」は平和憲法のもと主権を回復するが、沖縄は「本土」から切り離され、米軍基地の島とされた。この時期、基地のない平和を願う「本土」の世論を背景に、多くの基地が「本土」から沖縄へと移設されて行ったことを私たちは忘れてはならない。沖縄が日本に「復帰」した後も、沖縄の基地負担割合はむしろ高まった。そして、現在も、県民の民意を無視した辺野古新基地建設が強行され、南西諸島(琉球弧)全体の軍事化が進められている。
私たちが認識すべきは、このような沖縄を差別する国策を支えてきたのは「本土」の日本人だということである。主権者である私たち日本人は、民主主義のプロセスを通して、このような沖縄差別を継続してきた。したがって、私たち「本土」の日本人の一人ひとりこそ、この問題の当事者であり、責任者である。安全保障は国の専権事項などという逃げ口上はもはや通用しない。
私たちは、これまでの差別的な政策を沖縄県民に謝罪し、国策を方向転換させなくてはいけない。大多数の国民が日米安保条約の維持を望むのであれば、それを公平・公正に負担することは当然のことである。これまで沖縄に押しつけてきた基地は「本土」に引き取り、米軍基地問題は公平・公正に日本全体の問題として国民全体で議論し解決していくべきである。私たちが求めるべきは、何よりも、沖縄を犠牲にしない安全保障政策である。
以上のような観点から、喫緊の課題であるため、貴議会において、次の事項を求める意見書を国に提出されたい。
1 沖縄を「捨て石」にした差別的な安全保障政策をやめること
2 辺野古新基地建設を断念すること
3 普天間基地は「本土」に引き取り、日本全体で問題解決すること