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令和4年9月定例会(陳情第30号)
第30号 令和4年9月6日受理 産業経済委員会 付託
架空配電線及び通信線を仮支持する新型車両の開発を求める意見書提出に関する陳情
陳情者
(要旨)
1 仮電柱車
架空配電線及び通信線を仮支持する新型車両とは、要は、普段なら電柱によって支持してある架空配電線や通信線(電話線など)を新型車両から伸びるクレーンやロボットアームによって、それらを仮支持をできる新型車両のことでここでは、その新型車両のことを「仮電柱車」と呼ぶことにする。付け加えると特殊絶縁アームで高低圧電線や通信ケーブルをがっちりホールドし仮支持する新型ハイテク車両である。
2 仮電柱車に期待すること
仮電柱車は配電工事作業の中で、さまざまな用途で活躍する車両になることが期待できる。自動車事故での電柱衝突時の電柱折損時のような場合で緊急的に支持物を支えることで停電による波及事故感電事故の危険や通信障害を防止するのに役立つことが考えられるが、特にこの仮電柱車に期待を寄せるのが老朽化した電柱を建て替える作業である。
3 老朽化電柱の建て替え作業の現状
現在、配電工事各社では、日本中で、老朽化した電柱の建て替え作業に追われていることはご存知だろうか。建て替え作業は、屋外で非情な重労働を強いられるために人手不足も深刻で労働環境の改善が急務である。
特に我が国の狭い土地事情から、全く同じ位置に電柱を建て替えなければならない現場がほとんどを占める。そのために、1本の電柱を建て替えるためには近くに仮設の電柱を建てて、その仮設電柱に架空配電線及び通信ケーブルそして、変圧器とその付属機器を一旦その仮設電柱に支持させておき古い電柱の装柱を外し、古い電柱を撤去し、そして新しい電柱を元建っていた位置に建てて装柱し、最終的に仮設電柱の装柱を、外し仮設電柱を撤去するという。1本の電柱を建て替えるのに、つまりは2回の電柱建て替え工事を行っており、大変作業効率が悪い。
4 仮電柱車の電柱建て替え時の活躍
いままでは仮設電柱を建柱して高低圧配電線や通信線などを一旦支持して建て替え作業を行っていたものを仮電柱車によって支持しておきその間に新品の電柱を建て替えることができれば画期的な配電工事車両としての活躍が期待できる。
5 仮電柱車に変圧器を搭載
仮電柱車内に変圧器が搭載できる様にすれば無停電作業が実施できる。現在でも配電工事車両の中に変圧器交換時などに無停電作業を可能にする変電車と呼ばれるものもあることから技術的にも可能であるし、変圧器を搭載することによって車体重量が増して仮支持しているときの安定度が増す。
6 自動電柱撤去ロボット
古くなった電柱も自動で撤去できるロボットも仮電柱車が支持物を支持している間に作業できると尚、人手不足の問題と作業環境の改善が期待できる。
電柱自体は、特に中部電力管内を例にするとやむをえない事情がある場所以外は、通称、コン柱と呼ばれている鉄筋コンクリート柱であり同じ仕様のほぼ同じ電柱が建てられているため、ロボット作業に向いているし杉の枝打ちロボットやヤシの木登るマシンのようにタイヤで挟んで上下に移動し高速カッターで切断し、適当な大きさに電柱を輪切りにして下ろしてくれるロボットも現代の技術で開発可能と考えられる。
撤去作業も自動化することで、長くて重量のある撤去電柱に振り回される事なく、基本的に周囲に立ち入り禁止のバリケードをして警備しておけば抜柱機で引き抜くのにちょうどよい大きさにまで撤去してくれるので作業環境も改善されて撤去電柱の運送費用も軽減が期待できる。それに自動電柱撤去ロボットの動力源も仮電柱車の変圧器を利用して商用電源から供給が可能であれば石油を使うより経済的で小型・軽量化もできメンテナンス費用の面においても有利であると考えられる。
7 費用対効果の試算
開発に費やす費用は大きいだろうが、それにも増して、建て替え作業費用軽減によって生み出される利益は大きいと考えられる。
その根拠としては、日本全国で電柱の数は約3千万本あること。現在、建て替え作業が間に合っておらず50年近い電柱も沢山あるが電柱の寿命約40年と計算する。電柱1本に対して仮電柱車が有効に活躍したとすると利益を大雑把に試算すると20万円程度である。(自動電柱撤去ロボット無い場合)
作業現場の状況で近隣の土地の利用状況・道路・装柱が複雑であったりすることも考えられるために仮電柱車を2台以上使って工事したり、やむをえず従来の工法に頼らなければならない現場もあると考えられることから、1本の電柱に平均10万円程度の費用節約になったとして計算すると、単純に電柱の寿命の40年間で3千万本を全て建て替えたとすると約3兆円の節約になる試算になり1年で750億円と膨大な利益が見込まれ昭和40~50年代に一斉に建てられた電柱が建て替え時期に入ってきていることからも現代のこの仮電柱車が生み出す利益は大きいと期待できる。
ある地方の平均的な営業所で1日に5~6本の電柱建て替えをおこなっていたと想定すると、1日のコストが50~60万円節減になり工事費用のコスト面と作業員の労働環境の改善面、及び作業工程短縮成功によって人手不足解消の多方向の側面から仮電柱車の有効性・有用性が実感できる新型工事車両となることが期待できる。
作業現場自体の経費節減が電気料金低減に繋がる期待もできる。
8 根拠法令
電気事業法の目的
同法第1条で、使用者の利益の保護が規定されている。
電気は、国民生活および国民生活上不可欠なエネルギーであることからこれを安い価格で豊富かつ安定的に供給することが重要である。
ロボットアームの活用により高低圧電線・高所作業の危険から職人を守り労働環境改善にも期待できるため。
労働安全衛生法
労働者の安全・衛生に関する事業主の責務
事業主は、労働安全衛生法で定める労働災害防止のための措置を徹底するとともに、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保しなければならない。
労働安全衛生法に基づく措置
事業主や発注者等は、労働者の危険または健康障害を防止するための措置を講じる必要がある。
機械、危険物や有害物等の製造や取扱いに当たっては、危険防止のための基準を守る必要がある。
事業主は、快適な職場環境の形成に努めなければならない。
ついては、貴議会において、電力会社への行政指導を行い、架空配電線及び通信線を仮支持する新型車両の開発を求める意見書を採択し、国に提出されたい。