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令和6年6月定例会(請願第4号)
第4号 令和6年6月19日受理 産業経済委員会 付託
令和6年度新潟地方最低賃金改定等についての意見書提出に関する請願
請願者 日本労働組合総連合会新潟県連合会 会長 小林俊夫
紹介議員 大渕健君 重川隆広君 渡辺和光君
(要旨)労働基準法第2条(労働条件の決定)は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものであると定めている。しかし、地域別最低賃金の影響を受ける労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
物価の高騰が続く中、最低賃金や最低賃金近傍で働く者の厳しい生活実態を直視し、生活水準の維持・向上の観点からも、今こそ「労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与する」との最低賃金法1条の目的を果たさなければならない。
政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11月2日閣議決定)」において「2023年度の最低賃金は、全国加重平均が1,004円となり、目標としていた1,000円(経済財政運営と改革の基本方針2023 令和5年6月16日閣議決定)を超えたが、更に着実に引上げを行っていく必要がある。公労使の三者の最低賃金審議会で毎年の最低賃金についてしっかりと議論を行い、その積み重ねによって2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指す。」としている。しかし、現在の新潟県最低賃金は931円で全国平均を73円下回っており、この格差は前年から2円広がっている。依然として都市部との格差が縮まらず、賃金水準の低さは若者の人口流失にも大きく影響しており、これは人手不足が深刻化する中で、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因であり、全国との賃金格差の是正は喫緊の課題である。
ついては、貴議会において、次の事項を求める意見書を関係機関に提出されたい。
1 新潟労働局及び新潟地方最低賃金審議会への要請事項
⑴ 令和6年度の新潟県最低賃金の改定について、最低賃金の地域間格差が都市部や近隣県への働き手流失の一因になっていることから、可能な限り速やかに1,000円へ引き上げ、格差是正をはかること。
⑵ 特定(産業別)最低賃金の改定について、当該産業労使の意見を十分ふまえるとともに、地域別最低賃金より高い水準を確保する必要性を勘案して審議すること。
⑶ 新潟県最低賃金および特定(産業別)最低賃金改定後は、改定内容を広く周知するとともに、県内企業への監督指導を強化するなど、最低賃金制度の履行の確保をはかること。
2 政府への要請事項
最低賃金の引き上げにあたっては、賃上げ原資の確保が必要不可欠であることから、2023年11月29日に公正取引委員会で策定された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を中小・小規模事業者へさらに浸透させ、適正な取引ができる環境の整備をはかること。