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頂上から見た棚田と山
三条市旧下田村の北五百川の棚田では、今年もカタクリの花が咲きました。今年は雪消えが遅かったため、カタクリとサクラが同時に満開となり、平日から多くの人が訪れていました。棚田の所有者の一人である佐野誠五さんは、観光に来る人たちのガイドと、その間をぬって田んぼ作業を行い大忙しです。
佐野さんに案内していただき、棚田の頂上まで行きました。そこからはいくつもの山が稜線まではっきり見ることができます。写真左から、鳥越山、鞍掛峠、烏帽子岳、守門岳の順だそうです。佐野さんは山を見ながらこのような話をしてくれました。
幕末時代、長岡藩の家老だった河井継之助は、小藩である長岡藩をひきいて強大な新政府軍を相手に善戦しましたが、敗北し長岡城も奪われてしまいました。その後一度は城を取り返しますが、その際に敵の銃弾を足に受けてしまいました。奪い返した城も再び陥落し、越後を追われて会津へ逃げる際に、最後に鞍掛峠を通りました。麓の吉ヶ平集落で1泊し、山中でもさらに1泊し、その後は長く険しい峠を下り、現在の福島県只見町で破傷風により亡くなりました。
峠道を含む街道は八十里越と呼ばれ、八里の道が八十里に感じるほど険しいことから名付けられました。現在では往来する人もなく、廃道となってしまいましたが、それらの山を縫って国道を建設中で、近い将来会津と下田の行き来が可能になります。道の駅が整備されたり、八十里越バスツアーが開催され工事見学も行われており、少しずつですが、下田にかつての賑わいが戻りつつあります。佐野さんは道路の開通によって、棚田に少しでも多くの人が訪れてくれればと期待しています。