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2023年県内経済の概況
原材料価格の上昇による影響などがみられたものの、緩やかに持ち直しの動きがみられた1年
2023年の県内経済を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行し、外出機会が増加したことなどを背景に個人消費と、価格転嫁の進捗などから企業の景況感に改善の動きが見られた。また、公共投資や設備投資は前年を上回り、持ち直しの動きがみられた。一方、生産においては、中国経済の減速が長期化し、中国向け輸出の伸び悩みの状態が続いたことなどから、弱含みとなった。全体の基調判断としては、原材料価格の上昇による影響などがみられたものの、緩やかに持ち直しの動きがみられた1年であった。
個別の動きをみてみると、個人消費・物価は、百貨店・スーパー販売額においては、感染症が5類に移行し、外出機会が増加したことや、人件費や原材料価格の高騰により通年で商品単価の上昇が進んだことから、前年を上回った。一方、家電大型専門店販売額やホームセンター販売額においては、猛暑による販売額の増加もあったが、物価高の影響や外出機会の増加によるサービス消費拡大などの消費行動の変化もあり、前年を下回った。また、乗用車新規登録・届出台数については、半導体等の部品供給不足が緩和され受注残の解消が進んだことなどにより、前年を上回った。物価は、生鮮食品を除く食料が上昇したものの、国や県の施策により電気代やガス代が下落し、生鮮食品を除く総合指数は前年と同程度の上昇となった。
住宅投資は、持家、分譲住宅の着工が低調に推移したことなどから、全体で前年を下回った。
公共投資は、県や市町村の発注額の増加などにより前年を上回った。
設備投資は、製造業、非製造業ともに、能力増強投資や更新投資のほか、前年度に先送りした投資計画の実施などから、全産業で前年度を上回る実績となった。
生産は、前年から続く中国経済の減速が長期化し、中国向け輸出が伸び悩んだことなどにより、年間を通じて低下傾向となった。
企業動向は、収益は価格転嫁の進捗や人流の回復などから、前年度を上回った。日銀短観の景況感は、外出機会の増加などにより、6月調査で19年3月調査以降続いていた「悪い」超幅が解消し、価格転嫁の進捗などにより、9月調査では「良い」超に転じた。なお、企業倒産は、ゼロゼロ融資の返済原資の捻出ができず、過剰債務を抱えた企業が事業存続を諦める事例や、原材料価格の高騰が続く中で、価格転嫁が進まず、企業の経営が悪化した事例などが多くみられ、倒産件数、負債総額ともに前年を上回った。
雇用面は、物価高や人手不足などを背景に賃上げの動きがみられる中、有効求職者数は年間を通じて前年を上回ったが、一部の業種で求人数が減少した影響で有効求人倍率は年間を通じて低下した。
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