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一歩先の知見を得るために、一歩先の知見をより高い社会貢献のために~200年後の社会の礎を築く総合建設コンサルタントのAI活用術~1(新潟の未来図鑑withデジタル)
株式会社キタック 代表取締役社長 中山 正子 さん
道路・構造部 次長 門口 健吾 さん
インタビュアー 新潟県 知事政策局 参与(デジタル改革担当) 佐藤 久信
いつもどこかで見かける道路やトンネル、橋やダム、地すべりなどの防災対策の工事。工事前には企画や設計、地質や水質調査、工事完了後にも維持管理のための調査や必要に応じた補修・補強設計が必要だということをご存じでしたか?こういった多様な仕事を、地盤工学、地質工学、環境、土木工学それぞれの技術者が在籍するキタックの皆さんは、その「総合力」で対応しています。その深く、常に最先端の知見と技術のために、どのようにAIを活用しているのか、その活用術をお聞きしました。
1時間かかった地質調査の画像加工が数十秒!【地質調査:撮影編】
佐藤 地質調査にAIを使っていらっしゃるのですね。そもそも地質調査はどのようにやっているのですか?ボーリングで穴を掘って、円柱状の試料をグーッと地上に持ち上げて?
門口 そうですね。その径が6~7cmの試料をボーリングコア(コア)と呼びます。コアを1m単位の長さにして箱に詰めて、それを自然光で上から平行になるように撮影し記録します。自然光での撮影は、天気が良くないとできないですし、撮影にいい時間帯というのもあります。
中山 天気がいいと言っても日なたはダメですよ。美術品を撮るときなどもそうですが、半日影がいいのです。何十m何百m堀った場合は、これを一連のものにするために、写真をトリミングして一番地表に近いところから切り貼りします。地質技術者は、それを報告書に取りまとめ成果にするのですが、労力と時間がかかる作業で大変でした。私は元々 CGソリューションセンターのセンター長で、画像処理が本業ですので、社内で下請けをやっていた時代がありました(笑)。人によって撮影角度が違ったり、絶対同じ撮影条件になっていないのです。この高さで人が垂直に上から撮るのは、不可能です。
門口 コア取扱いの本には、歪ませないように、と書いてあるんですけどね(苦笑)。
中山 まずは同じ写真を撮って歪みの校正と切り貼りから自動化しましょうということで、社内に理解してもらいました。
佐藤 それだけで相当な作業時間が短縮できますよね。
門口 人の場合30分から1時間かかっていましたが、画像を取り込んでしまえば数十秒でできます。今は、影が出ないようにライトをセットして覆いを作って撮影しています。12月から動かしているのですが、今はフル稼働しています。現場からは、いいという話を聞いています。屋内で作業できますし。