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一歩先の知見を得るために、一歩先の知見をより高い社会貢献のために~200年後の社会の礎を築く総合建設コンサルタントのAI活用術~3(新潟の未来図鑑withデジタル)
総合建設コンサルタントの「総合」の深み
中山 キタックは総合建設コンサルタントなので、地質調査のほかに、自社で試験機を保有し土質・水質試験や環境分析等から土木設計までと、建設業者さんが工事をする前段階までの全部を担っています。こんなにいろいろ一社でできる会社は日本海側では他にありません。我々の調査・設計したデータをもとに、建設工事が行われるのです。
門口 社会的使命みたいなものが強い社員が多いので、災害時の対応も素早いです。
佐藤 AIを活用した交通量調査もやっているのですよね。
中山 道路計画と道路設計の一環です。
門口 交通事故の多い交差点などの事故を減らすための改良を検討する中で、必要な交通量調査を動画からできないか、ということで始まりました。これまでは5人くらい並んで、大型車担当、バイク担当と手分けして、通過した大型車の台数や右折した台数などを数えていました。
中山 画像処理に強い株式会社ガゾウさんと一緒にAIでの台数計測に取り組むことにしました。
門口 AIで大型車かどうかなどを自動で判別し、人と同等の精度で調査することができました。
中山 直接工事はしないのですが、施工後の経年劣化の点検や調査や、補修・補強の設計などの維持管理分野も担っています。AIを使った経年劣化の調査などはこれからですね。
門口 社内で、画像やAIを使ってどんなことをやっていきたいか、いま困ってることをまずは出してみようということになっています。例えば、山や川の現地調査で撮影した画像から石の大きさを自動で測定できないかといったアイディアや、土石流の危険個所で道路の通行止め解除の判断を人の目視でなく監視カメラ画像の解析からできないかといったアイディアを集めて、順番に解決していこうという方向で動いています。コア写真の加工が数十秒でできるとわかることで、新しいアイディアが現場サイドから自分事として出てきています。先週、学生と会う機会があって、AIを研究しているというのですが、「御社はAIの技術者はいらないですよね」と言われて、「いやいや、そんなことはないです、今一生懸命やってますよ」と(笑)。そういう人材が欲しいのだけれど、学生に知られていないのです。今は、土木の者と他分野の勉強をしてきた者が混ざり合い情報系の仕事をやっていますが、「今の土木ってこういう世界なんだよ」ということを分野を超えて広く学生に発信していかないと、と思っています。
中山 総合建設コンサルタントは、肉体労働ではないのです。元々キタックの成果品は、報告書ですからね。現場に行くのは情報収集であり、本来のコンサルタントとしては知的労働なんですよ。
佐藤 頭脳労働ですね!
中山 手間隙がかかる作業は自動化したいですね。でも作業を単純にAI化すればいいのではなくて、社会に対してどういう使命を我々が持っているかというところを大事に考えています。よりレベルの高い技術で貢献できるように。作業に追われてしまうと、もう一歩先の勉強や、知見を積んだり広げたりする時間が業務時間内で確保できなくなってしまいます。社員の知見を広げてレベルを上げていき、世界中どこに出しても恥ずかしくない社員を育てたいと思っています。
佐藤 「総合」の意味がとても深いということが、本当によくわかりました。本日は、ありがとうございました。
令和6年1月24日インタビュー
※所属等はインタビュー時現在です。
企画・制作:新潟県知事政策局ICT推進課
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