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日時:令和7年11月22日(土曜日) 13時30分~15時30分
場所:新潟県立生涯学習推進センター 1階 ホール
参加者:60名(うち講師1名)
演題:「希少鳥類の保全、私達にできること」ートキ・ヤンバルクイナなどー
講師:公益財団法人 山階鳥類研究所 副所長 尾崎 清明 氏
希少鳥類であるトキ、ヤンバルクイナ、アホウドリの保全について詳しくお話しをしていただきました。
尾崎先生は元々は昆虫少年だったそうですが、鳥との関わりは子どものころに鳥を捕まえることから始まったそうです(現在は許可なく野鳥の捕獲をすることは禁止されています)。
トキについて
日本で最も古いトキの記録は日本書紀に書かれている720年の記録だそうですが、世界で種の記載がされたのは1835年だそうです。諸国物産帳に書かれている1735年及びそれ以前の記録では日本の広い範囲にトキが生息していたそうです。
新潟県では人工増殖のため、1981年に佐渡に残った最後のトキの全羽捕獲が行われました。オス1羽、メス5羽という、雌雄比の偏りによって非常に難しい状況で人工増殖がスタートしました。偶然にも同じ年に中国で17年ぶりにトキが再発見されたそうです。
日本産のトキは残念ながら絶滅してしまいましたが、中国から贈られたトキで人工増殖が成功し、2008年に第一回放鳥が行われました。現在は野生下と飼育下で合計700羽程になっています。
佐渡での放鳥と自然下繁殖が順調に進み、来年には本州での放鳥が計画されています。
中国では飼育下で2000羽程、野生下で8000羽程にまで増えているそうです。
トキの減少の理由は、明治時代の乱獲、農薬汚染、営巣木の伐採、水田の乾田化など、いずれも人間の直接、間接的影響によります。
ヤンバルクイナについて
スライドでは、1980年に尾崎先生が初めてヤンバルクイナを見たときのスケッチが映されました。赤いくちばしと足、腹の縞模様などの特徴が記されていました。
1981年11月に新種発見を新聞が先に報じ、論文は12月に発表されました。
小学校の体育館での飛翔実験の映像では、ものすごい速さで走るヤンバルクイナが映されました。換羽中であったとのことでしたが、飛べないであろうということが確認されたそうです。
発見前の記録としては、発見の5年前の1976年に鮮明に写された写真と、1964年に「なぞの鳥」として録音された音声がありました。その音声を聞かせていただきました。
発見から10年、マングースが北上し、ヤンバルクイナの分布域も北に追いやられてしまいました。外来種の駆除が始まり、現在は徐々に個体数が回復してきているそうです。
飼育増殖施設では、放鳥前に外敵に対する訓練を実施し、足環と発信器を付けて放鳥されています。
「ダーウィンが来た」で紹介された映像で、ハブとカラスに対する訓練の様子を見せていただきました。最初は放鳥後の生存率が低かったそうですが、訓練を行うことで改善したそうです。野生復帰個体と野生個体のペアでも繁殖が確認されています。
現在、ヤンバルクイナの生息域は、徐々に戻ってきているそうです。もっと数を回復させるには、環境収容力を増やさないといけないということでした。
車の前を横切ってしまうなどで、ロードキルが毎年20~30羽程起こっているそうです。飛べなくなったことのデメリットでもありますが、進化の中では車の登場など想像もしていないため、対応ができないということでした。人間が気を付けなくてはなりません。
アホウドリについて
1902年までに鳥島で500万羽が羽毛採取のために捕殺されました。1930年に2000羽確認されたものの、1933年に禁猟区に指定される直前に大部分が捕殺されてしまったそうです。
一旦は絶滅したと思われましたが、1951年に再発見されました。昔は島全体が真っ白になるほどいたそうですが、残ったコロニーは燕崎1か所だけでした。急峻な地形のため、安全な場所にコロニーを移すため、デコイを設置して新たなコロニーへの引っ越し作戦が行われました。新しい初寝崎のコロニーには、2005年に最大20羽が着地していましたが、2022年には1025羽の着地が確認されたそうです。
現在では鳥島の個体群は9500羽と推定されています。
尖閣諸島では110~160ペアと推定されています。
近年、アホウドリには鳥島タイプと尖閣タイプの2種いることが判明しました。両種の保全が課題となっています。
希少鳥類全体について
世界、日本ともに14%が希少種となっています。
日本では、保護増殖事業の対象種が16種いますが、その中でもノグチゲラ、オオトラツグミ、アマミヤマシギ、ヤンバルクイナ、アカガシラカラスバト、オガサワラカワラヒワの6種は日本固有種です。日本が増やさなければ守ることができません。
これらの希少鳥類をなぜ保護するのかについては、種の絶滅は重大で取り返すことができない、生物多様性の重要性、かつての人間の行為によって絶滅の危機に瀕している生物の回復には責任があることなどを挙げておられました。
また、どのように守るのかについて、域内保全が基本だが、人工飼育、増殖、再導入技術を早めに蓄積する必要がある、生息状況の異常が認められたら原因を究明し、効果的な対応を実施する必要がある、生息域内外保全の調和が必要であることなどを挙げておられました。
これには多くの人の理解と協力が必要です。
タイトルにもある通り、「私達にできること」を一人一人が考え、行っていくことが重要であるということを、感じさせられる講演でした。

ヤンバルクイナ
新潟県愛鳥センターでは、県民のみなさまに自然の素晴らしさや野生生物保護の大切さを伝えるために、愛鳥講演会を開催しています。
今年度は、「希少種の保護」をテーマに講演を行います。
演題:「希少鳥類の保全、私達にできること」ートキ・ヤンバルクイナなどー
講師:公益財団法人 山階鳥類研究所 副所長 尾崎 清明 氏
日時:令和7年11月22日(土曜日) 13時30分~15時30分
場所:新潟県立生涯学習推進センター 1階 ホール(県立図書館複合施設)
(住所:新潟市中央区女池南3-1-2)
申込み:10月1日より受付開始
住所・氏名・電話番号を明記の上、はがき、電話、ファックス、e-mailまたは下記の電子申請システムで愛鳥センターまでお申込みください。
※電子申請はお1人ずつのお申込みとなります。ご家族など複数名でのお申込みの場合は電子申請以外の方法でお申し込みください。
定員:95名
申込み締切:11月19日または定員に達した時点
参加費:無料
お問い合わせ・申込み先
新潟県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里
〒957-0231 新発田市藤塚浜海老池
Tel:0254-41-4500 Fax:0254-41-4501
E-mail:aicho-center@pref.niigata.lg.jp
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