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平成21年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002059 更新日:2019年1月17日更新

平成21年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月23日説明要旨

 平成21年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願をいしたいと存じます。

 人類が初めて経験したバブルの崩壊は、17世紀オランダで起こったチューリップの球根バブルでした。これは、借金が残ったまま資産価値が減少するというバランスシート不況により、金融の信用が著しく収縮し実体経済に影響が及んだものです。今回の米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した金融・信用収縮問題は、このチューリップバブルや1929年の世界大恐慌と本質的に同一のものであり、さらに金融派生商品等を通じて全世界に拡がる未曾有の大不況であるという認識を持たなければならないものと考えております。
 特に、輸出産業に依存する我が国は、世界に先駆けて大きな影響を受けております。政府として、原因となっている金融・信用収縮問題に対して、世界と共通の認識に立って適切な対策を講じなければ、この危機的な状況からの脱却は困難だと思っています。しかし、政府の新年度予算では、有効需要創出につながる事業はマイナスシーリングとなっており、加えて、事実上のシーリングとして機能している地方財政計画も対前年度比マイナス1%であるなど、地方が有効需要の創出に向けた積極的な対策を講じていくことに制約がかけられています。
 政府に対し、マクロ金融・経済政策を的確に実施し、本格的な総需要の創出策を講じていくことを強く求めていきたいと考えております。
 また、本県でも、製造業に減産の動きが急速に広がり、雇用面も急速に悪化をしているなど、本県経済はかつてない深刻な状況に置かれており、県としても、現在の枠組の中で精一杯の対策を講じたところです。
 こうした認識のもと、「経済・雇用対策と県民生活の安定」をまず第一に、「若者が将来への可能性を感じることのできる経済・産業構造への転換」そして、「安全・安心で、一人ひとりが大切にされる社会の実現」の3つを、基本姿勢にこの一年、県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 私は、二期目就任に当たり「住んでみたい新潟、行ってみたい新潟」の実現、「誰もが安心して暮らせる新潟県、明日に希望の持てる新潟県」を創っていくことを県民の皆様にお約束をいたしました。
 「明けない夜はない」と言われます。こうした時代だからこそ、本県が持つ可能性や底力を信じ、新潟が飛躍をするための取組を進めてまいります。

 以下、本年の県政の主要課題について、私の考えを述べさせていただきます。
 第一の課題は、深刻化する県内経済への対応と産業の振興についてであります。
現下の経済や県民生活の危機に対して、本来必要である有効需要の創出、信用収縮に対するマクロ経済政策は、現在の地方財政制度の中では、一定の限界があり、地方政府としてはセーフティネットを中心とした対策にならざるを得ません。
 県としましては、新年度予算は平成20年度補正予算と一体の15ヶ月予算との考え方に立ち、現行制度の中で、最大限の経済対策・生活安定対策に取り組むことといたしています。
 まず、不足している有効需要の創出に向け、20年度補正による公共事業の前倒しや早期工事発注などに積極的に取り組み、地域経済にいち早く効果が波及するよう努めることとしております。加えて、今回の不況が金融面から発生していることを踏まえ、資金面のセーフティネット部分の拡充、強化を図ることとしました。さらに、離職を余儀なくされた方々への生活支援や緊急雇用、労働力需給のミスマッチ解消に力を注いでまいります。
 しかし、これらの取組だけでは県経済の危機を根本的に打開することは困難だと思っており、国に対し、秋までに追加経済対策を求めてまいります。さらに、本県としても新エネルギー産業の形成など、次の時代につながる投資に向けた研究とともに、有効需要の創出や地方債などの財源確保のあり方についての調査・研究を進め、国へ提案をしてまいりたいと考えております。
 併せて、農業や医療・福祉、教育などの分野での雇用の場の創出による、都会からのU.Iターンの促進や、新規創業・第2創業の活発化などの仕組みづくりを進め、県経済の基盤強化、産業構造の転換を図ってまいります。

 第二は、魅力ある農林水産業の実現についてであります。
 現在、我が国は、食料の6割を海外に依存しながら、耕作放棄地等が農地の1割を超えています。輸入禁止的高関税を設定し価格支持政策をとりながらも、米価が下落するなど稲作経営では将来に希望が持てる十分な所得が得られない状況にあります。そのため、若者の農業離れが加速し、農業者の高齢化が進行するという、農業の厳しい現状がその要因と考えられます。また、中山間地域では立地条件の厳しさから高齢化が特に進み、将来の営農はもとより、地域コミュニティの維持や県土の保全など中山間地域が果たしている機能の喪失も懸念されるところです。
 今後、世界の食糧受給のひっ迫が予測される中で我が国が自国で生産可能な農産物を生産せずに海外から輸入することは、玉突きにより、経済力の弱い国から食料を奪うことにつながるものであります。食料自給を進めることは、世界に対する我が国の責任であると考えております。
 これらの課題解決には、世界的な潮流である所得保障政策に移行し、「いわゆる減反政策」から水田フル活用によって、持続的な経営が成り立つよう、まず、国によるしっかりとした所得保障制度の導入が不可欠と考えます。この所得保障制度が導入されれば、将来的にはミニマム・アクセス米の廃止も含めた国際交渉もなし得るものと考えています。
 そのため、国への具体的な制度提案も視野に、米粉用や加工用米等に誘導することを含め、水田経営全体で一定の所得レベルを保障する制度や中山間地域における、若者の新規就農に対する所得保障の仕組みを、それぞれモデル的に実施をしてまいりたいと思います。
 こうした取組とともに、本県農産物の高付加価値化を進め、所得の向上を図っていくためには、販路の構築とブランドの確立は重要課題であります。
 特に、「新潟米」のブランド力強化のためには、消費者からの絶対の信頼を勝ち得ていくことが重要であります。このため、消費者重視の基本方向に基づき、ブランドに見合う食味・品質が確保された米を確実に消費者にお届けするための区分集荷・販売の仕組みづくりや、消費者の声を生産に反映させる仕組みづくりなど、生産・流通の両面における取組を進めてまいります。

 第三は、地域医療体制の確保についてです。
 県民の皆様が県内のどこに住んでいても等しく十分な医療の提供を受けることができ、健康でいきいきと暮らせる社会をつくるためにも、勤務医不足は依然として重要な課題であります。県では、新潟大学とも連携をし、地域医療に従事する医師育成プログラムの開発等を行う講座を支援するほか、勤務医の負担軽減のため、柔軟な勤務形態の導入等に引き続き重点的に取り組んでまいります。
 また、平成27年の開院を目指す、仮称ですが魚沼基幹病院の整備については、今後、整備協議会から提出いただく地元案をベースに、患者、医師の双方にとって魅力のある病院となるよう、アドバイザーから具体的提案をいただき、早急に基本計画を策定をしてまいります。一方、県央地域の医療体制整備についても、地域の中で合意形成を図りながら、救命救急機能の充実や医療機関の役割分担、連携強化について検討を進めてまいります。
 なお、これらの県独自の取組に加えて、国に対して、医師のへき地勤務の義務化や研修医の都市部への集中の是正、医学部定員の更なる拡大等を引き続き働きかけてまいります。また、この度、臨床修練制度による外国人医師の受入のための予算を措置しており、外国人医師の活用についてその可能性を探ってまいりたいと考えております。

 第四に、安全・安心な地域づくりについてです。
 今年は、中越大震災の発生から5年目の節目の年に当たります。今、被災地では、震災を契機とした都市との交流など、ふるさと中越の再生に向けた新たな取組が進められています。県といたしましても、復興が軌道に乗り、何世代にもわたって引き継がれていく持続可能な地域社会が実現するよう、地域の皆様とともに取組を進めてまいります。
 また、防災グリーン・ツーリズムについては、現在、川崎市をはじめ首都圏の自治体や県内の団体との協議を進めています。被災地には、「震災の実体験」や「復興の想い」を伝える「震災の語り部」が多くおられますので、これらの方々との交流を通じて都市住民から防災意識を深めていただくとともに、活発で持続的な地域間交流につながるプログラムの検討を進めてまいります。
 一方、中越沖地震の被災地では、1月末現在、仮設住宅での避難生活を余儀なくされている方々は、497世帯1,222人となっております。今年9月の入居期限を見据え、確実に被災者全員が住宅再建を成し遂げることができるよう取組を進めてまいります。
 今後は、地域社会の復興に力を入れていくとともに、深刻な経済情勢の中、両被災地の復興の歩みに支障が生じないよう、状況を見極め、適宜対応をしてまいります。
 次に、防災立県の推進です。誰もが安全・安心に暮らせる新潟県を築くことは知事の基本的な使命であります。これは、首都圏等から新たな人口、企業の移動を呼び起こすなど、自立的で持続可能な地域づくりにつながるものと考えております。新年度は、危機管理対応の拠点となる危機管理センターの供用開始とともに、これまでの経験を活かして、災害の発生や新型インフルエンザの流行など非常時における県民、地域、企業などあらゆる主体の対応力強化に向けた取組を進めます。
 さらに、安全・安心に暮らせる地域社会づくりには情報通信インフラの整備を進め、情報の地域間格差の是正が不可欠であります。今春からサービス開始が予定されている利用者直接受信型衛星ブロードバンドの導入に対して全国で初となる支援制度を創設し、平成21年度でのブロードバンド空白地域の解消を目指したいと思います。

 第五は、環境との調和についてであります。
 我が県の地球温暖化の現状は、基準年の1990年に比較して温室効果ガス排出量が約12%増加しています。今、私たちには、次の世代を担う子ども達にどういう地球環境、ふるさとを残していくかを真剣に考え、日々の生活の中で環境に優しい社会の形成に向けて行動することが求められています。昨年の佐渡における全国初のカーボン・オフセット事業の導入に続き、本年は、レジ袋削減県民運動の展開や、佐渡と柏崎において環境に優しい電気自動車を率先導入し、両市と連携した普及促進を図るなど、地球温暖化対策を総合的に推進してまいります。そして、これらの取組が、将来、新たなビジネスチャンスにつながり、環境と経済の好循環となるよう、研究・コーディネートを進めてまいります。
 また、トキが試験放鳥されてから5ヶ月が経ちます。現在、8羽のトキの生息が確認をされています。もともとトキは、里地、里山で人間と一緒に暮らしていた鳥であります。再び人とトキとの共生する地域づくりを目指して環境と調和した農業の推進など、野生復帰に取り組むとともに、これを契機とした交流の拡大・定住に向けた取組も佐渡市などとも連携して進めてまいります。
 この項の最後に、新潟水俣病問題についてです。新潟水俣病患者の支援施策については、「新潟水俣病患者支援施策検討会」において施策の方向性について妥当とのご意見をいただき、「福祉手当」についても関係者間で調整し創設することとしたところです。
 公害という高度成長期のひずみを一身に背負ってしまわれた被害者の皆様の負担を社会全体でサポートすべきと考えています。新年度は引き続き地域の再生・融和の推進に取り組むとともに、この不幸な経験や教訓を次の世代に伝えて行くため、若者への教育の推進や環境学習など情報発信を強化してまいります。
 
 第六に、少子化対策などについてです。
 新潟県の人口は平成9年をピークに年々減少を続け、昨年240万人を割り込みました。社会動態における若年層の県外転出が主な原因の一つですが、平成19年10月から平成20年9月までの1年間の転出超過数は前年に比べ減少しました。社会動態はある意味、地域の住みやすさや将来の可能性などへの自治体の取組を反映しているものであり、今後、施策効果との関係を分析し、さらに有効な対策につなげてまいりたいと考えております。
 本県の人口減少は、未婚化・晩婚化などにより合計特殊出生率が低下していることと併せて、進学や就職などを理由とした若年者の流出が大きな問題であり、結婚対策や経済的支援、時間のゆとり対策などの自然減対策とともに、社会減対策としての働く場や教育の場の確保に引き続き取り組んでまいります。
 
 第七に、政策プランの評価と見直しについてです。
 本年度は、現プランの最終評価と見直しの年に当たります。政策プラン評価委員会からは、政策指標の状況や県民アンケート結果を踏まえた評価結果を4月初旬頃までにお示し頂けるものと考えています。
 また、政策プランも私の新マニフェストを踏まえ、プラン評価委員会からもご意見、ご提言をいただきながら、環境の変遷に的確に対応した見直し・改善を進めたいと考えております。なお、その際には、県議会、県民の皆様に見直し素案をお示しし、ご意見を頂戴しながら、策定してまいる所存です。

 以上、申し述べましたように、我が県を取り巻く社会・経済情勢は極めて厳しく、多くの対応すべき重要、喫緊の課題がありますが、「次世代に誇れるにいがた」、「若者が未来に夢を持ち、誰もが安心して暮らせる豊かな新潟県」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いします。

 次に、前議会以降の県政の主な動きについて、ご説明いたします。

 まず、柏崎刈羽原子力発電所を巡る動きですが、
 東京電力が策定した新たな基準地震動や7号機の設備の健全性や耐震安全性については、先週、原子力安全委員会が、「原子力安全・保安院の確認結果は妥当である」と決定し、国での確認作業がすべて終了したところです。
 これを受けて、東京電力から、「7号機の運転再開について地元の了解をいただきたい」との申し入れがありました。
 先日の柏崎市長や刈羽村長との三者会談では、「起動試験は運転再開を意味し、事前に地元の了解が必要である」ことを確認したところであり、本日、2回目の三者会談を開催して、県民の皆様への安全・安心に係る情報提供などに関する意見交換を行ったところです。
 ご承知のとおり、現在、7号機の設備の健全性や耐震安全性については、県の技術委員会で議論を行っているところであり、今は論点を整理して、県民の皆様に分かりやすくお伝えしていくことが重要であると考えています。いずれにいたしましても、予断を持たずに、県民の皆様の安全と安心を第一に対応してまいります。

 次に、新幹線建設負担金への対応についてです。
 先月、北陸新幹線、長野-金沢間の建設費が、建設物価の上昇等で増嵩するため、本県分として約220億円を追加負担して欲しいとの話が、国土交通省及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からありました。
 本県といたしましては、近年、労務単価の下落等により実勢価格が下がっていると考えられる中で、平成18年に認可済みの本県の建設費が突然増嵩することについて、機構に対し説明を求める旨の要請を行ったところであります。現在のところ、県民の皆様からご理解いただける説明がないことから、新年度予算案には今年度と同額を計上してお諮りをしているところであります。
 また、一般に国の直轄事業負担金制度については、法律で負担が規定され、地元の意思がほとんど反映されない中で、負担金のみを請求され、他の経費に優先して予算を措置せざるを得ないなど、問題の多い制度と思っております。全国知事会においても責任と負担のあり方について提起がなされておりますが、考えを同じくする知事と連携を図りながら廃止も視野に入れて訴えてまいります。

 次に、交流拡大の取組についてです。
 NHK大河ドラマ「天地人」の放送が始まり、初回視聴率が、昨年ヒットした「篤姫」を上回るなど好調な滑り出しとなっています。県内各地域においても関連イベントが始まり、兼続公の「義」と「愛」の精神を育んだ本県の魅力がしっかりと伝わるよう、官民を挙げて取組が進められています。
 また、先週17日から20日にわたり、秋篠宮同妃両殿下の御臨席のもと、第64回国民体育大会冬季大会スキー競技会が開催をされました。選手の皆さんの熱戦や18年ぶり2度目の男女総合優勝を果たした本県選手の活躍は大きな感動と希望を呼び起こし、新潟の元気を県外へ発信したものと思っております。また、県民の皆様の温かなおもてなしにより、県外からの参加者へ、本県の魅力をお伝えすることができたものと思っています。
 今年は大観光交流年として、秋にはトキめき新潟国体本大会やトキめき新潟大会、JR東日本の新潟デスティネーションキャンペーンなど大きなイベントや取組が控えています。二度の震災を乗り越え前進する本県の姿や、豊かな食や自然、文化など新潟の魅力を余すところなく知っていただき、「また新潟に行ってみたい」と感じていただける取組を一層進めてまいる所存です。
 また、国内各地との公共交通の確保についても積極的に取り組んでまいります。まず、並行在来線については、開業準備に向け、県として組織体制を強化するとともに、地元及び関係者と連携しながら経営計画の検討を進めてまいります。また、佐渡-羽田線については、先般、多くの地元の皆様の航空路開設を望む署名をいただいたところです。県としましても、運行確保に向けた計画案をとりまとめ、ご議論をいただけるよう鋭意取組を進めてまいります。

 次に、仮称ですが県立野球場についてです。
 ネーミングライツの募集を3月上旬から行うことといたしました。これにより、運営費の県民負担の軽減を図りつつ、新たな新潟のシンボルとして県民に親しまれる県立野球場を目指してまいります。

 次に、拉致問題への取組についてです。
 北朝鮮は拉致問題の解決に向けた誠意ある態度を示さず、外交交渉はその糸口さえ見出せない状況が続いています。こうした膠着状態を打破するために、昨年11月に「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」を立ち上げ、47都道府県の全ての知事から賛同をいただいたところであります。
 そして、先月には、「知事の会」として日本外国特派員協会における共同記者会見や北朝鮮に対して再調査を直ちに実施することなどの申し入れを行ったほか、アメリカのオバマ大統領にも拉致問題の解決に向けて理解と協力を要請する文書を送りました。
 拉致はあってはならない国家犯罪です。世界が一つになって拉致問題を一日も早く解決し、拉致被害者の皆さんとご家族の皆さんの笑顔が取り戻せるよう、今後とも他の知事さん達と力を合わせ解決に向け全力を尽くしていきたいと思っていおります。

 最後に、不適正経理問題への対応についてです。
 会計検査院の他県での国庫補助事業の検査で明らかになった「不適正な経理」に鑑み、県では自主調査を実施をしてきました。予備調査で判明した預け金3百万円のほか、「不適正な経理」などが約1億5,500万円に及ぶ結果となりました。
 私としましては、今回の問題を、地方分権・地域主権が進展するなかで、問題があれば制度・仕組みを自らの判断で変えていくという対応が求められていることの現れと受け止めております。これまでのように、中央政府が決めた事柄を前例踏襲で実施する出先機関的な立場を改め、県民から信頼される地方政府を実現してまいりたいと考えています。
 このため、県自ら出来る再発防止策を早急に講じることとしました。併せて、小熊副知事を筆頭とするワーキンググループを庁内に設置し、再発防止策を講じる中で、県で対応できない制度上の問題点がないか、国への提言も視野に精査してまいります。
 加えて、今回の調査結果を踏まえ、私については給料を1ヶ月間、10%を減額することとし、関係条例を本議会にお諮りをする予定です。また、副知事に対して訓戒を行ったほか、一般職員に対しても処分を行ったところです。

 次に、平成21年度当初予算編成の考え方と今後の財政運営の方向性についてご説明を申し上げます。
 平成21年度予算案は歳入面では、県税収入が、景気動向や、税制改正等の影響により対前年度比16.6%の大幅減となり、地方交付税や地方法人特別譲与税等の増分を加えても税収減分に届かない見通しの中で編成する予算となりました。
 歳出予算の編成に当たっては、既にご説明したとおり、現下の危機的な経済情勢を踏まえ、平成20年度予算の補正も含め可能な限りの対策を講じるとともに、若者が将来へ可能性を感じることができる経済・産業構造への転換や安全・安心で一人ひとりが大切にされる社会の実現に取り組み、対前年度比3%の伸びの積極型の予算編成としたところです。
 なお、県税収入の減少を補うはずの地方交付税については、交付税の代替である臨時財政対策債の割当の大幅増により措置される見込みです。臨時財政対策債は、その元利償還金の全額が交付税が措置されるとはいえ、県の裁量が働かない中で多額の県債発行を余儀なくされていることは問題です。
 また、県債残高については、この交付税代替の臨時財政対策債を除くと、災害等の不測の事態が発生しない限り21年度以降減少に転じる見込みです。さらに、基金残高は19年度末と同程度の額を20年度末に確保できる見通しとなっております。
 先般、財政運営計画の改訂を公表いたしましたが、引き続き、産業・観光振興などによる税源かん養や資産の流動化、歳出面での「選択と集中」を図り、持続可能な財政運営に努めてまいります。

 続いて、平成21年度予算の概要について、既に申し述べた以外の取組についてご説明申し上げます。

 まず、第一に「経済・雇用対策と県民生活の安定」についてであります。公共事業については、地域経済へいち早く効果が波及するよう、県単公共の維持補修系事業を拡大するとともに、2月補正予算での対応や発注期間の短縮などにより前倒しに努めることとしました。また、協力企業を抱える地域の中核企業の販路拡大を支援する経費も措置したところです。加えて、生活資金の貸付のほか、多重債務等の問題に対応する相談体制の強化などにも新たに取り組み、県民生活を支援してまいります。

 第二に、「県経済の展望を切り開き自立させる取組」についてです。
 まず、「成長分野や本県の強みを活かした産業の振興」として、外部人材による新ビジネス展開では、これまでの成果を踏まえて、新たに支援先を公募いたします。また、産業人材の育成に向け、若者向け職業訓練事業を大幅に拡大・拡充したほか、産業界と学校現場の連携などの取組を進めてまいります。
 次に、「地場産業の振興と地域産業の自立・活性化」では、新分野進出、販路開拓への支援や県内企業の高付加価値化に向けた研究開発の支援のほか、中心市街地のにぎわいづくりに向けた意欲的な取組に対する支援など地域に根ざした企業等の経営の安定・発展に向けた取組を進めてまいります。
 次に、「魅力ある農林水産業の実現」として、新潟版所得保障制度のモデル実証や新潟米のブランド力の向上の取組のほか、販売員の活用や農商工連携による農産物の有利販売等の取組、越後杉の需要拡大の取組を支援してまいります。
 次に、「北東アジア交流圏の表玄関化」として、ロシア、中国東北部など、経済発展著しい対岸諸国との人的、経済的な交流の強化、促進に努めます。
 また、新潟港東港区マイナス12m岸壁の整備に着手するほか、新潟空港を利用した海外修学旅行等の促進や低価格航空会社の誘致、更にはロシア線・ハルビン線など新潟空港の独自路線のPRなどに新たに取り組んでまいります。
 次に「スポーツ・文化・観光等を通じた交流の拡大」として、大観光交流年の官民一体となった取組の展開に加え、本県観光地の新たな魅力づくりに向け満足度調査を試行するなど、「観光立県」を目指した取組を総合的に進めてまいります。また、大規模スポーツイベントの誘致や佐渡金銀山世界遺産登録に向けた取組を更に推進するとともに、芸術文化に親しむ機会の充実も図ってまいります。
 次に「ブランド化戦略」として、新潟米をはじめとした県産品の「高品質」「安全・安心」イメージを首都圏はもとより全国へ積極的に情報発信してまいります。
 最後に「農山漁村の多面的機能の発揮」として、農と教育の連携によるグリーン・ツーリズムの拡大や、バイオマスなどを生かした新たなビジネス展開を支援するとともに、新たに、耕作放棄地の再生利用のモデル的な取組への支援策も講じたところです。

 第三に、選ばれる新潟県づくりの推進と、人口の自然減・社会減への対応についてです。
 まず「安心して子どもを生み育てる環境整備」として、子ども通院医療費助成への支援の拡充や妊婦健康診査費助成に対する支援のほか、新たに事業所内託児所のモデル設置への支援などワーク・ライフ・バランスの取組も推進してまいります。
 また、子育て、教育環境の整備では、放課後の子ども達の居場所づくりへの支援の拡充のほか、新たに児童虐待防止の啓発やいじめ対策としてネットいじめの防止、解消に向けた取組を展開してまいります。
 次に「住みやすいふるさとづくりと暮らしやすさの発信」として、若者のU.Iターン就職の取組などや「防災グリーン・ツーリズム」を推進してまいります。
 次に「個を伸ばす人づくりの推進」として、キャリア教育の推進や、特色ある県立高校づくりを推進するとともに、今春開学する県立大学をはじめ、県内大学全体の魅力アップに取り組みます。
 最後に「安定をした雇用の場の創出・確保」として、ふるさと雇用再生特別基金等を活用した雇用機会の創出のほか、外資系企業も含めた企業誘致やUターン就職の推進など、若者の県内就職への支援にも積極的に取り組んでまいります。

 第四に、「誰もが健康でいきいきと暮らせる福祉・医療サービスの充実」についてであります。
 まず「医療サービスの充実」では、勤務医確保のの取組のほか、健康寿命の延伸を目指した生活習慣病の予防やがん予防・がん対策に向けた取組に加え、がんセンター新潟病院のPET整備など質の高いがん医療の提供に努めてまいります。
 次に、「福祉サービスの充実」として、団塊の世代の方々等の社会参加を促す取組や地域で支える高齢者介護の課題に引き続き取り組むとともに、現下の経済・雇用情勢を踏まえ、工賃アップの支援や新たに職場実習の奨励金を措置するなど、障害者の方々をサポートする取組の拡充に努めてまいります。
 第五は、安全・安心で魅力ある新潟県づくりであります。
 まず、「中越沖地震及び中越大震災など災害からの『復旧』・『復興』」として、住宅の補修・改築や企業経営のための貸付、心のケアなど生活・生業再建等を支援する経費や7.13水害、2.24冬季風浪被害への対応も含めて公共施設の復旧、耐震補強等に要する経費を措置しております。
 次に、「防災立県の推進」として、住宅の耐震診断・改修の充実や、新たに私立学校の耐震診断調査への支援を実施するほか、住宅の部分耐震化と地震保険等の加入促進を図る補助制度をモデル的に実施することといたしております。
 次に、「安全・安心で快適な県民生活の確保」として、県北地域の「命をつなぐみち」である日本海沿岸東北自動車道の整備促進などのほか、新型インフルエンザの発生に備え、治療薬の追加備蓄も進めてまいります。
 次に「食の安全・安心の推進」として、危機事案発生時における特別監視チームの設置など即応体制の強化に努めるほか、環境と調和した農業生産の実践や安全・安心な「新潟ブランド」の確立に向け着実に取り組んでまいります。
 次に「地球環境保全対策の積極的な推進」として、新たに越後杉の地産地消の促進に向けたウッドマイルズの認証や不法投棄防止のための監視の強化などを進めてまいります。
 第六として、「選択と集中」の推進についてであります。まず、事務の効率化や住民ニーズに対応した職員の適正配置により、職員給与費等を圧縮したところです。また、パスポート発給が全市町村で可能となるなど、県民の利便性向上につながる県独自の事務・権限の移譲を進めてまいります。さらに、地球温暖化対策など部局横断的な施策を、事業計画の立案から実績の評価まで一体的に行う仕組を導入するなど県庁の効率化を進めることといたしました。

 以上、申し上げてまいりました、平成21年度一般会計予算は、総額1兆2,184億7,000万円となり、平成20年度予算に比べ、総額で3.0%増となったところであります。
 主要財源といたしましては、
 県税 2,374億円
 地方交付税 2,848億円
 国庫支出金 1,418億円
 県債 2,511億円
などを見積もっております。

 次に、本議会に平成21年度当初予算と併せて上程されました平成20年度補正予算に関する議案等についてご説明申し上げます。
 第47号議案は一般会計補正予算でありまして、総額250億6千995万2千円の追加補正についてお諮りいたしました。今回の補正は、既にご説明したとおり、現下の経済情勢に対応して新年度予算と一体の15ヶ月予算の考えで編成しております。また、緊急雇用対策など国からの交付金を財源に基金設置に要する経費も措置しておりますが、基金の設置条例の制定等について第49号から第54号までの各議案としてお諮りしております。
 なお、補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、平成21年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を115億3千95万円計上しております。

 以上、補正についてご説明を申し上げましたが、その結果、補正後の財政規模は、1兆2千233億8千487万2千円となります。
 なお、第48号議案は特別会計に係る補正予算であり、国の補正予算に係る公共事業の経費を計上するものであります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第26号議案は、薬事法など法令の改正に伴い、関係手数料の新設・改定を行うほか所要の改正のため、第27号議案は、これまでの知事部局の定員適正化の取組の実績に合わせるため、また児童・生徒数の増減に対応するため、さらには警察活動の強化を図るためそれぞれ定数を改正するものです。

 次に、第28号議案は、公立大学法人新潟県立大学へ職員の派遣を行うため、第29号議案は、人事委員会の報告を踏まえ、職員の勤務時間を1日8時間から7時間45分に短縮するため、第31号議案は、平成21年度税制改正に伴い、不動産取得税の標準税率の軽減措置の延長など所要の改正のため、第32号議案は、新潟県佐渡スポーツハウスを佐渡市に移管をするため、また、第33号から第36号までの各議案並びに第38号議案及び第39号議案は、関係法令の改正に伴い、または、原価計算の見直し等により手数料等の額を改定するものであります。
 次に、第40号議案は、これまでの組織改正等の実績を踏まえ企業局職員定数を改正するため、また、第41号議案は、道路交通法等の改正による運転免許関係に係る手数料の新設・改定を行うため、それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。

 次に、第42号議案は財産の処分について、第43号議案は、包括外部監査契約の締結について、最後に、第46号議案は、公立大学法人新潟県立大学の中期目標を定めることについて、お諮りをするものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述ました。何とぞ慎重ご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

3月9日説明要旨

 ただいま上程されました議案31件について、ご説明申し上げます。

 第55号議案は、平成20年度一般会計補正予算でありまして、総額26億7,119万円の増額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、中小企業金融対策資金について、年度末までの資金需要増に対応するため、新規融資枠を拡充し、債務負担行為を設定するとともに補助事業等の内定見込み、事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。
 この結果、補正後の財政規模は、1兆2,260億5,606万2千円となった次第であります。

 また、第56号議案から第73号議案までは、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、お諮りしておりますその他の案件について、ご説明申し上げます。
 まず、第74号議案は、財産の処分について、第75号から第82号の各議案は、契約の締結及び変更について、また、第83号議案は、新潟東港3号ガントリークレーン倒壊事故で県が受けた損害の負担等に関し、事故当時のクレーン使用者と和解することについて、第84号議案は、指定管理者の指定について、それぞれお諮りするものであります。

 最後に、別冊の議案書となっております、第85号議案は、条例案件でありまして、不適正な経理処理を行ったことに対し、県としての責任を明らかにするため、本年4月の1月分、私の給料について10%を減額するため、所要の改正についてお諮りするものであります。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月18日説明要旨

 ただいま上程されました議案4件について、ご説明申し上げます。

 第86号議案から第89号議案までの各議案は、平成20年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たりましては、早期発注に心がけ、年度内に完了するよう鋭意努めているところですが、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては385億1,179万円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、既に歳出予算と同時に議決をいただいております現下の経済情勢に対応して措置いたしました公共事業予算に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、455億5,745万円となった次第であります。

 今後とも、これら繰越事業の早期完了に努める所存でありますので、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月26日説明要旨

 ただいま上程されました議案2件は、いずれも人事に関する案件であります。

 第90号議案は、教育委員会委員を任命するため、第91号議案は、監査委員を選任するため、それぞれお諮りいたしました。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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