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平成21年12月定例会(提案理由)
平成21年12月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
12月2日説明要旨
平成21年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
はじめに、トキめき新潟国体、トキめき新潟大会についてであります。
天皇、皇后両陛下をはじめ、多くの皇族方のご臨席を賜り両大会を滞りなく実施することができました。県議会の皆様はじめ、市町村、関係団体や多くの県民の皆様、大会にご尽力頂いたすべての皆様に、心から感謝申し上げます。
トキめき新潟国体では、総合優勝し、天皇杯、皇后杯を獲得することができました。続くトキめき新潟大会でも、本県選手は過去最多となる金メダル52個を獲得しました。選手、関係者の皆様のこれまでのご努力に敬意を表します。これを一過性のものとせず、今後のスポーツ振興や健康づくりにつなげ、新潟県の魅力づくりに活かしていくことが必要です。また、特色ある教育をはじめ、選手育成の仕組みなどの社会環境づくりも重要です。県民の皆様からのご理解を得ながら、こうした環境づくりに努めてまいりたいと考えています。
次に、雇用、景気への対応についてです。
県内経済は、生産の持ち直しの動きに広がりがみられるなど、底入れの動きはみられるものの、厳しい状況が続いています。特に雇用面では、県内の有効求人倍率が、8月には過去最低の0.43倍となり、高卒就職内定者数も、10月末時点で過去10年間で最低となるなど、深刻な状況が続いております。加えて、デフレ経済下で円高基調に一段と拍車がかかるなど、景気の二番底の懸念もあります。
こうした状況を踏まえて、第一優先施策の一つとして、雇用対策の更なる拡充・強化に取り組みます。
まず、緊急雇用創出事業を前倒しで取り組むとともに、年度末をもって雇用が打ち切られることがないよう、年度末から来年度前半における切れ目ない継続的な雇用の創出にも努めてまいります。
加えて、特に高校生の就職が厳しい状況を踏まえて、対応を強化いたします。これまで国に要請してきた緊急雇用創出事業の制度改正がなされました。例えば、介護関係の資格取得のため、新規高卒者が介護施設等に就職した上で養成施設に修学することが可能となりましたので、早速対応いたします。
併せて実習型雇用を活用して、新規高卒者を採用する企業の負担を軽減する支援策を創設いたします。さらに、進学に進路変更する生徒への支援として、看護、介護分野の修学資金の活用に加えて、経済的な理由で進学を断念することがないよう、奨学金の特別枠を創設いたします。一人でも多くの若者が、やりがいのある仕事に就けるよう、また、専門知識が身に付けられるよう支援してまいります。
一方、円高の加速は、輸入品価格や海外旅行費用の下落から、卸小売業や旅行業など歓迎する業界も一部にはありますが、製造業のウエイトが高い県内企業には大きな懸念材料です。円高は、為替差損に加え、受注の減少から企業収益と雇用情勢を一段と悪化させ、家計へもマイナスの波及となってきます。
先日、政府はデフレ宣言を行いました。現下の厳しい状況から抜け出すには、有効需要の創出とデフレ経済への対応が必要です。県としては、行き過ぎた円高の是正、為替相場の安定と早期にデフレ経済から脱却するよう、適切なマクロ経済政策の実施を知事会のプロジェクトチームで提案しており、藤井財務大臣にも直接働き掛けを行ってまいりました。併せて、年末に向けた企業の資金繰りに支障が生じないよう経営支援策を講じてまいります。
こうした直面する課題への対応とともに、成長分野に重点を置いた本県産業の高付加価値化を加速させる取組も将来への投資として重要です。今回、昭和シェル石油株式会社と共同で日本初の商業用大規模太陽光発電に取り組むことといたしました。地球温暖化問題に対処しつつ県内の関連産業の振興を図ってまいります。また、10月に東芝の新型リチウムイオン電池工場の柏崎市への進出が決定しました。リチウムイオン電池は、電気自動車や将来的にはスマートグリッドなどへの活用が見込まれ、市場の拡大が予想されます。今後も、成長が期待できる産業分野への企業誘致を進め、雇用の創出と県内経済の活性化につなげてまいります。
次に、地域医療についてです。
安定的かつ持続性のある地域医療の確保は、最重要課題の一つです。そのためには、医師を始めとする医療関係者や地域住民、行政が主体的な取組を進めそれぞれの立場から、円滑な仕組みづくりをしていくことが重要です。
まず、県央地域の医療体制の整備についてですが、これまで実務者レベルの検討会議で救急搬送等の現状分析や救命救急センター設置の必要性を検討してまいりました。先月下旬には、関係市町村長と病院長などの医療関係者等の合同会議を開催し、県央医療圏の現状を踏まえた上での救命救急センターに必要な診療機能など、具体的な内容について、活発な議論が交わされたところです。
また、医師会・病院等の医療関係者、大学、市町村等からの事業提案を踏まえ、「魚沼医療圏」及び「佐渡医療圏」を対象とした「地域医療再生計画」を策定し、国に提出したところです。この計画は、仮称ですが魚沼基幹病院と地域の医療機関との機能分担、ネットワーク化を図ることによる医療機能の強化や佐渡圏域の救急・周産期医療体制の充実強化、さらには医師確保策等、地域の医療課題を解決するため策定したものです。今議会には、国の地域医療再生臨時特例交付金を財源として基金の創設をお諮りしています。今後、計画の具体化に向け関係者と協議を進め、準備の整ったものから実施してまいりたいと考えています。
一方、新型インフルエンザにつきましては、10月下旬から患者が急増しています。最近になって若干増加ペースが鈍化しつつありますが、依然、警戒が必要な状態です。特に、15歳未満の小児で重症化する事例が多くなっており、基礎疾患をお持ちの方々とも併せて重症化しやすいと言われる方々に確実にワクチンの接種を受けて頂くことが重要と考えています。
県では、専門家のご意見をお聴きし、小児に対する予防接種を前倒しで対応いたします。併せて、医療資源を確保し社会防衛を図る観点から、接種を確実に進めていくため、費用の一部を助成することといたしたいと思います。引き続き、新型インフルエンザの発生状況を監視し、県民の皆様の健康を守るため、万全を期してまいります。
なお、肝炎対策についてでありますが、県では、これまでも何の過失もない患者の皆様が、カルテの有無によって救済に大きな差が生じないよう国等に要望してまいりました。このほど成立した肝炎対策基本法には、「国の責任」や治療費負担の軽減措置などが盛り込まれていることから、一定の評価ができるものと考えています。地方負担については、国の動向を見極めなければなりませんが、今後予定されている国の「肝炎対策基本指針」がより患者に配慮したものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、新政権と県政運営についてです。
鳩山政権発足から2か月が立ちました。補正予算の見直しに始まり概算要求の再提出や行政刷新会議の事業仕分けなど、新たな取組が進められています。民意に基づいた行政・政治が行われるよう、地域主権が早急に実現することを期待しています。今後、県民生活への影響を十分見極め、必要に応じて、国へ要請等も行ってまいります。
農業問題についてですが、農業者が安心して経営に取り組めるしっかりとした所得保障制度を構築する必要があると考えております。所得保障制度の導入により、持続性ある農業経営が可能となり、米粉等の生産拡大を通じて食の選択肢も増え、国産の安全・安心な農産物が消費者へ安定的に供給されることになります。これにより、食料自給率も向上し食料安全保障にも資するなど、消費者利益や国益にもつながるものと考えています。
今回、農林水産省の概算要求で、「戸別所得補償制度」のモデル対策が示されましたが、世界の潮流である所得政策に舵を切ったもので、基本的な方向としては評価しています。
しかしながら、この対策では、主食用米以外へ作付けを誘導するインセンティブが低いという問題があります。耕作放棄地の増加に歯止めがかからず、食料自給率の向上につながらないのではないかと危惧されます。また、平場において大規模効率化を目指す地域と、中山間地において後継者育成を通じて農地を守っていく地域とではニーズが異なります。このため、地方に裁量を持たせ地域の事情に配慮した制度設計とすべきである等の意見を、国のパブリックコメントに提出いたしました。さらに、知事会の活動や個別の関係者への働きかけ等を通じて国に要請を行っており、今後は今年度に本県で実施しているモデル事業の取組の検証も踏まえて、提言の強化を行ってまいります。
子ども手当についても検討が進められています。地方に対しては具体の協議はまだありませんが、国の議論を見極め対応してまいりたいと思います。政策目的が少子化対策であるならば、フランスや北欧のように、子育てが経済的負担とならないような、社会で子育てを支援していく仕組みの構築が望ましいと考えています。本県でも子育て世代への経済的支援として、9月から要望の多い子どもの通院医療費の助成を拡大しました。現在、これからの助成のあり方等について学識経験者、医療関係者などからご意見を伺っているところです。今後、子ども手当等に関する国の議論や制度設計を見極めながら、県の子育て支援策の拡充を進めてまいります。
補正予算の見直しにより、上信越自動車道の4車線化の凍結がなされましたが、これに先立ち関係県で確実な執行に向けた緊急要望をいたしました。また、概算要求や事業仕分けでは公共事業の見直し、削減の議論がなされています。地方には、「命の道路」や「孤立集落の解消」などの安全安心対策をはじめ、災害を未然に防ぐ治山・治水対策や雪対策など、今後とも必要な公共事業が多く存在しています。本来、こうした地域のニーズに、適切に対応できるよう、地方へ権限と財源の移譲が進められるべきと考えています。今後、来年度の予算編成を始めとして、国の動向を見極めながら対応をしてまいります。
事業仕分けでは、地方交付税を「抜本的に見直す」とされました。交付税は地方の固有の財源です。その内容は地方が考え、適否は地方議会がチェックすべきです。国が基準財政需要の中身に口を出すのは本来的に不適切であります。
なお、現在の交付税の決定過程はブラックボックスで、地方は基準財政需要がどのように決められているかわかりません。さらに、交付税総額は本来の制度趣旨から離れ、財務省と総務省の折衝で先に決められてしまいます。まずは、算定方法が透明化され、その内容の決定過程において、地方が主体的に関与できるようにすべきです。将来的には、地方固有の財源として「地方共有税」化し、地方が自らその内容を決定できるよう、抜本的な制度改正を期待したいと思います。
次に、環境問題についてです。
鳩山首相は「チャレンジ25」を掲げ、温室効果ガスを25%削減することを目標に、首相のリーダーシップであらゆる政策を総動員して地球温暖化対策に取り組むとしています。地球環境問題は、国民生活や産業活動に深く関わっており、環境、経済、社会の調和のとれた仕組みづくりを国際的な視点も踏まえてどう作っていくかが重要であると思います。
県では、「新潟県地球温暖化対策地域推進計画」に基づき削減対策を進めています。その一つのカーボン・オフセット事業は、国からの全国初のプログラム認証の取得を目指して、年内に申請予定です。県認証のクレジットを全国の企業から購入してもらい、森林整備等の温暖化対策を推進したいと考えています。今後、国が打ち出す具体の対策を見ながら、県として更なる対応をしてまいります。
なお、暫定税率を廃止する税制の見直し議論については、CO2の排出抑制の観点から、暫定税率廃止と地球環境とが両立する政策を考えていく必要があります。先般、こうした本県の提案を受けて、知事会から仮称ですが「地方環境税」の創設についての提言がなされたところです。今後、地方への権限・財源の移譲ともセットで総合的な議論を期待したいと思います。
さらに、9月には、佐渡のトキの野生復帰を目指して、第2回目の放鳥が行われました。繁殖に結びつく群れの形成につながるよう期待しております。トキの野生復帰が、自然再生のシンボルとして我々の暮らしの中に大きな潤いを与え、トキとの共生を通じた自然に優しい暮らしと農業を進めていくことが地域社会を豊かにしてくれるものと思います。そして次の世代にこの美しい自然を伝えていく大きな力になっていくよう、佐渡市やNPO、県民の皆様と取組を進めてまいります。
次に、拉致問題についてです。
「拉致問題については、考え得るあらゆる方策を使い、一日も早い解決を目指します」と、鳩山首相は所信表明演説で述べています。
昨年の日朝実務者協議で北朝鮮は被害者の再調査を約束していながら、現在まで全く進展がありません。拉致は、国家による犯罪です。それ以上に、残念で許せないのは、国家交渉の駆け引きに拉致問題が使われていることです。人道問題として、なんとしても日本人を、拉致被害者を取り戻すのだという強いメッセージを出して行く必要があると思っています。
新政権に対しては、「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」として、現在の膠着状態を一刻も早く打開する具体的な行動を取ることを要請してまいりたいと考えております。また、来県した城島衆議院拉致問題等特別委員会委員長とは、政府と県の間で情報の共有化を図りながら連携して取り組むことを確認いたしたところです。
引き続き、国民と政府が一体となって全面解決に向けた国際社会を動かす大きな力となるよう、「知事の会」と全力で取り組んでまいります。
次に、地方分権・地域主権の推進についてです。
現在の中央集権体制では、国の地方に対する縛りから、事業の優先順位付けに民意が十分に反映されない状況にあります。権限・税財源を地方に移譲して、制度変更が必要と考えています。
先月、地方分権改革推進委員会の第4次勧告が出され、内閣府に地域主権戦略会議も設置されました。また、地方分権の突破口と考えております直轄事業負担金制度改革については、維持管理費分の来年度からの廃止が、前原国土交通大臣から表明されたところです。直轄事業負担金の廃止に向けた第一歩と考えています。
今後、建設事業に係る直轄事業負担金の廃止や、国の義務付け・枠付けの見直しと条例による上書き権の創設、国庫補助金の一括交付金化等について、地方の裁量が拡大する方向で見直しが進められることを期待しています。
なお、直轄事業負担金制度の見直しと関連し、県では、地方分権・地域主権を推進し、権限と責任の所在を明らかにしていく観点から、県事業に係る市町村負担金は、原則廃止する方向で検討を深めてきたところであり、今般、この見直し案を作成いたしました。案の作成に当たりましては、県・市町村ともに、事業量の確保や財政面への影響に充分留意して制度設計を行ったところです。今後、市町村への意見照会を行うとともに、今議会でのご議論等も踏まえた上で、最終的な方針を決定し、新年度予算に反映してまいりたいと考えています。
次に、北陸新幹線建設負担金についてです。
新幹線は建設することが目的でなく、県民の生活をより豊かで、便利で、快適にするためのものです。地方にメリットがなければ、かつての東海道新幹線などのように国家プロジェクトとして実施すべきです。しかしながら、現在の新幹線整備には、地方にメリットがあるという理由で地方負担が求められています。このため、県としましては、受益の確保の観点から、少なくとも県内の一つの駅への全列車停車と建設費用の負担割合に見合った新幹線貸付料の地方還元を国に強く要請してまいりました。
一方、本年1月に突然求められた約220億円もの負担金増額については、これまで、十分な理由説明や情報開示がなされていません。こうした中、北陸新幹線のいわゆるその2認可工事については、去る、10月8日に国土交通大臣から他の関係知事と一緒に呼び出しを受け、極めて不当な進め方の面談がなされた上に、翌9日には、突如認可が行われました。県としては、この認可は法律の定める意見聴取手続きに重大明白な瑕疵がある無効な行政処分であることから、国土交通大臣に無効確認の申入れを行いました。
その後も、当県の質問に対して、明確な回答がなく、やむなくその2認可の無効確認等を求めて国地方係争処理員会に申出を行ったところです。そうした中、鉄道・運輸機構から負担金請求がなされました。まさに、既成事実を積み上げ、上意下達で事業を進めようとする強権的な手法であり、信頼関係を破壊する行為です。県としては、従来の負担金支払いルールを一旦白紙に戻し、関連する協定書も破棄することを鉄道・運輸機構に通告したところです。
県としては、まずは、原状を回復すべきと考えています。
次に、地域交通についてです。
県内の多くの公共交通機関は、利用者の減少が止まらず、例えば路線バスは、その維持が地域の大きな課題となっています。「公共交通は黒字でなければならない」ということでは、中山間地域のバスは運行できず、日常の生活に支障を来たすことになります。地域が主体となって政策・事業の優先順位を付けて、必要な公共交通には税金を入れてでも運行させるべきではないでしょうか。バスや鉄道、航空路など本来必要な交通機関をどのように維持していくべきか、基本的な交通政策の再検討が必要と思っています。県では、10月、新潟県公共交通のあり方検討委員会を設置いたしました。地方分権の観点から、ご議論・提言をいただき、今後の政策展開の参考にしてまいりたいと考えています。
また、佐渡―羽田航空路については、航空路の開設に向けた条件について、県議会の皆様との意見交換を行ってまいりました。その結果、佐渡市から、市の負担についての意思の明示と滑走路の2,000m化に向けた、地権者全員の同意の取得の2点について方針を示してもらうことが必要とのご意見を伺ったところです。佐渡市に対応の検討をお願いし、市からは、応分の負担をすること及び速やかに地権者全員の同意を取得する旨の回答がなされました。
これを受け、議会の皆様のご意見もお聞きしながら、羽田空港の拡張に合わせた佐渡-羽田線の就航を目指してまいりたいと思います。
この項の最後に、並行在来線については、10月に、地域活性化・交流委員会及び経営委員会を並行在来線開業準備協議会の中に設置いたしました。
2014年度末にJRから経営分離が見込まれる並行在来線の利用促進のため効果的な施策の検討や、経営計画を策定し、経営主体の設立準備を着実に行ってまいります。
次に、新潟県「夢おこし」政策プランの見直し案についてです。
本プランは、私の二期目の公約「セカンドステージ創・新潟宣言」を適切に反映し、社会経済環境の変遷や評価委員会からのご意見・ご提言を踏まえ、また、9月県議会でのご議論・ご意見や県民の皆様や市町村からいただいたご意見等をもとに、見直しを進めてまいりました。今後、本議会でのご議論を踏まえ、速やかに成案としてまいりたいと考えています。また、新年度予算は、この新たな政策プランに基づき編成を進めてまいりたいと考えています。
次に、震災からの復興の取り組みについてです。
去る10月23日で中越大震災から5年が経過しました。公共インフラについては、概ね復旧が終了し、被災された方々も、大変なご苦労の中で、何とか新しい生活をスタートすることができた、という状況にあるものと思っています。
この震災は、大変不幸な災害ではありましたが、これを乗り越えて新たな取組も進められています。
その一つである「防災グリーンツーリズム」は、この1年間で、いくつかの首都圏の自治体と理念の共有を図る中で、実際に被災地での体験交流も始まっています。被災経験を活かしながら都会の方々から第2のふるさととして、復興した姿を見ていただけるような取組を、更に拡大していきたいと思います。
また、県では、「復興評価・支援会議」において災害復興等を研究している大学の専門家や有識者の方々から、復興状況の客観的な評価を頂いているところであり、復興を軌道に乗せていくための今後の取組に反映させてまいります。
被災地も厳しい経済不況下にありますが、こうした影響により復興の歩みが止まることのないよう、引き続き最大限の努力をして行きたいと思います。
また、中越大震災後から整備を進めてきた、危機管理センターの「新潟県総合防災情報システム」を運用開始いたしました。市町村・関係機関と防災情報が共有され、スムーズな防災対応が可能となるものと期待しております。災害は一度として同じ顔のものはありません。これまでの経験を踏まえながら、このシステムが十分に機能する体制を整備し、訓練を重ねる中で、県の防災力をさらに強化していきたいと思います。
さらに、地震で被災した個人住宅の再建支援の一つとして、この度、住宅の部分補強と地震保険への加入を促進するモデル事業を開始いたしました。「命を守る」仕組みと、「守った命で円滑に生活再建できる」仕組みとのセットで、地震保険の加入促進につながるよう、取り組んでいきたいと考えています。
一方、中越沖地震被災地では、復旧工事や被災者の方々への当面の生活支援など応急対策に一定の目処がついたことから、地元市町村に次いで10月15日には県の災害対策本部を解散しました。被災者の方々や商店街が従前の姿を取り戻す、又はそれ以上の姿となるためには、今後の取組こそが重要です。復旧・復興会議で総合調整しながら、被災地の方々と一緒に全力で取り組んでまいります。
この項の最後に、柏崎刈羽原子力発電所についてです。
先般発生した3号機での火災を始め、労災事故等の相次ぐ発生は、多くの県民を不安にさせるものであり、誠に遺憾であります。
個々の事象やトラブル自体は軽微なものであるとしても、それらが繰り返し発生することは、組織運営の管理品質の問題であると認識しております。
東京電力においては、再発防止に向けて、協力企業等も含め、組織一体となってより一層の取組を進めていくよう、強く求めているところです。
いずれにいたしましても、引き続き県民の皆様の安全・安心を第一に対応してまいります。
最後に、北東アジア地域との交流の拡大についてです。
先月10日には、「2009日露エネルギー・環境対話イン新潟」を開催しました。ロシア東部のエネルギー資源をめぐり、日本とロシアの専門家対話を行い、二国間協力を推進するものです。ロシアからのエネルギー調達は日ロ双方に利益をもたらすものと期待しています。本県が、エネルギーに関連する経済・交流の拠点となり、企業進出にもつながるよう取組を進めてまいります。
さらに、先般、群馬、埼玉の知事と行った会談では、上越新幹線や関越自動車道でつながる三県が、新潟港の活用等、本県を結節点として、ロシア、中国との経済交流を活発化するなどの、新たな広域連携の実現に向けて、今後、協議・交流を進めていくこととしました。
引き続き、こうした様々な分野での経済・交流の拡大や国内外各地域との連携をより強固なものにしながら、北東アジア地域へのゲートウエイ機能を新潟県全体で果たしていけるよう取り組んでまいります。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第173号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額60億9,777万5千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、先にご説明した現下の経済・雇用情勢を踏まえた重要かつ緊急的な事業や新型インフルエンザ対策に要する経費、職員給与費等について、過不足額を計上するとともに、当初予算編成後の事由による、重要性・緊急性のある経費等について計上するものであります。
以下、これまで述べたもの以外についてご説明申し上げます。
まず、雪国型メガソーラー発電所の整備に要する経費を措置するとともに、新型インフルエンザ対策として、入院患者を受け入れる医療機関の機能強化、外来診療体制の整備等に助成する経費も計上しております。
また、佐渡市加茂湖で養殖カキに深刻な被害が発生したことから、養殖業者への経営支援に要する経費を措置したところです。
その他の経費としては、自然科学館のプラネタリウムの補修に要する経費を措置したほか、がんセンター新潟病院の駐車場不足に対応するための経費を計上いたしました。
さらに、平成22年度事業に係る発注の平準化や起工準備期間の確保に加え、不測の災害等に対応するため、いわゆる「ゼロ県債」を設定したところです。
以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の予算規模は、
1兆3,605億5,457万6千円となります。
第174号から第178号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、職員給与費の過不足調整等に伴いそれぞれ補正を行うものです。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第179号議案は、県知事の権限に属する事務の一部を市町村長に移譲するため、
第180号議案は、政治資金規正法の改正に伴い手数料を新たに設けるため、
第181号議案は、収用委員会、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会委員に対する報酬の支払いを月額から日額に改めるため、
第183号議案は、県立月ヶ岡養護学校ふなおか分校を本校化し、「県立五泉特別支援学校」を設置するため、
第188号議案は、農村地域工業等導入促進法に基づく地方税の減収補てん措置が今年限りで終了するため、農村地域の工業等導入地区における県税の課税免除等を定める条例を廃止するものです。
また、第189号議案は、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正に伴い、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録申請手数料を新たに設ける等のため、
それぞれ条例の制定及び所要の改正、廃止を行うものであります。
次に、第190号から第192号の各議案は、契約の締結・変更について、お諮りするものです。
また、第193号議案は、損害賠償額の決定について、
第194号議案は当せん金付証票の発売について、
第195号議案は、北魚沼郡川口町を廃し、その区域を長岡市に編入するため、
第196号議案は、市の境界変更について、
最後に、第197号から第199号の各議案は、指定管理者の指定について、お諮りいたしました。
以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
12月18日説明要旨
ただいま上程されました第200号議案は、人事に関する案件でありまして、収用委員会委員を任命するため、お諮りしたものであります。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。