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平成25年9月定例会(提案理由)
平成25年9月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
9月25日 知事説明要旨
平成25年9月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
まず初めに、この度の豪雨災害についてです。
7月下旬から先月にかけて、記録的な猛暑に加え、中国・東北地方を中心に全国各地で豪雨が続き、県内外で甚大な被害が生じました。
県内では、特に7月29日から8月2日にかけて降り続いた豪雨で、長岡市をはじめ県内各地で河川の氾濫、土石流や地すべり等の土砂災害が発生し、死者1名、住宅全半壊41棟、床上・床下浸水1,533棟などのほか、農地・農業用施設にも大きな被害が発生しました。
また、去る9月16日には台風第18号により、県内においても住宅や河川、農地等で被害が発生いたしました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に対し心からお見舞い申し上げます。
県といたしましては、7月の豪雨では大雨警戒本部を設置し、市町村及び関係機関と連携を図りながら、被害状況の迅速な把握に努めるとともに、道路・河川等の復旧に全力で取り組んでまいりました。
また、被災された方々の生活不安を払拭し、速やかな生活再建を図るため、県単独の被災者生活再建支援制度や住宅応急修理制度による支援を実施しているところです。
加えて、農業関係については、流入土砂等の撤去や用排水機能の確保への支援をはじめ、事業資金に対する利子補給、農作物の病害虫防除対策への助成を行う等、できる限りの措置を講じたところであり、所要の補正予算案を今議会にお諮りしているところです。
また、先般の台風第18号では台風対策本部を設置し、河川破堤箇所に応急工事を行うなど迅速な復旧に取り組んでまいりました。引き続き市町村及び関係機関と連携しながら、被災した河川や農地の復旧など必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
次に、柏崎刈羽原子力発電所への対応についてです。
7月2日、東京電力から、柏崎刈羽原子力発電所について、規制基準への適合状況の審査申請を行うことを取締役会で決定した、との唐突な発表があり、また、廣瀬社長から面談の要望がありました。
このため、7月5日、他のスケジュールをキャンセルして、急遽、廣瀬社長とお会いいたしました。この中で、県と東京電力との間の約束である安全協定に基づいた事前了解をとってから、審査申請を行うことの確認を求めましたが、最後まで、「安全協定を守る」という明確な回答が得られませんでした。
その後、東京電力から、再会談の求めがあったことから、トップ同士でかみ合った議論ができるよう、議題を絞り込むための事務調整を行ってまいりました。その結果、先週末になり、東京電力から、「新潟県の了解前に、原子力規制委員会へ申請する考えはない」との発表があったことから、本日、廣瀬社長とお会いすることと致しました。
これまで、東京電力は、うそをつかない、約束を守る、社会的責任を果たす、という三つができていない状況です。福島第一原子力発電所における汚染水漏れに対する対応の遅れも一つの例でありますが、廣瀬社長自身が、「3.11の教訓を学べていない」と述べているとおり、安全をおろそかにして、経営を優先した結果が場当たり的な対応とその後の破綻を招いたものと受け止めています。本当に原子力発電所を運転する資格のある会社なのか、懸念を持たざるを得ません。
汚染水対応そのものについては、先般、政府が前面に出て対応する旨の発表がありましたが、是非、総力を挙げて対応し結果を出していただきたいと思います。
また、原子力規制委員会に対しては、昨年来、数度にわたり、原子力発電所の安全対策や規制基準策定に係る基本的な考え方、住民等の防護対策の強化や規制委員会の説明責任などについて質問を行っていますが、これまで県民の皆様に説明できる回答をいただけておりません。
原子力規制委員会は、その設置法上、「原子力利用における安全の確保に関すること」を所掌事務とし、そのため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し勧告することができる、とされています。しかしながら、これまでの規制委員会の対応を見ると、規制基準を性能基準に矮小化し、その作成とそれに基づく審査が任務であるというように、自らの所掌事務を狭めているのではないかとも感じられます。米国の規制当局などが、原子力発電所の緊急事態に対する準備についても責任を実際持っていることとは対照的です。
是非、委員長に直接お会いし、その基本的な考え方、運営の方針、住民の安全を守る気があるのかお聞きしたいと思い、申入れを続けているところです。
なお、柏崎刈羽原子力発電所の運転停止による立地地域の経済への影響が懸念されることから、県としては、先般、税務データの集計結果を基に、立地地域の企業活動の状況について取りまとめたところです。今後、地元自治体や経済団体などの協力を得ながら、更に情報を収集した上で、必要な対策の制度設計を行ってまいります。
次に、経済状況と消費税の引上げについてです。
いわゆるアベノミクスによる大胆な金融緩和と機動的な財政出動により、為替水準については未だに実力以上のレベルにはありますが、円安が一定程度進み、消費者物価指数は6月、7月と前年同月比で連続してプラスに転じています。雇用面でも7月の完全失業率は3.8%と4年8ヶ月ぶりに3%台になった前月から更に改善しています。また、消費税の引上げとの関連で注目されていた4~6月期の実質国内総生産は年率換算で3.8%となり、3四半期連続で前期比でプラスとなりました。現状は、政府も言っているように「デフレ状況ではなくなりつつある」という段階であり、GDPデフレーターのマイナス幅もようやく縮小しています。
株価の上昇による年金運用の改善も含む資産効果などが、消費者の先行きの不安感を減少させ、消費に踏み切らせた面はあります。しかし、未だ企業収益の改善が雇用の拡大や賃金の上昇につながり、消費の拡大へと至る持続性のあるものになっているとは言えません。特に中小企業や小規模事業者の多い地方では、景気回復の効果が十分及んでいるとは言えない状況にあります。
県内では、未だ景気の好転を実感できない企業も多いのが実態です。加えて、輸入物価の上昇による原材料コストの上昇や、家庭用、企業向け電気料金がそれぞれ、平均で8.94%、15.24%と大幅に引き上げられるなど、企業収益の下振れも懸念される状況にあります。そうした中、11日に発表された法人企業景気予測調査では、今年度の設備投資計画額が前年度から4.0%の減少と見込まれています。
今、必要なことは「円高・デフレからの脱却」を確かなものとすることであり、そのための大胆な金融緩和の継続と更に積極的な財政出動です。
しかしながら、現在、政府は10月の消費税引上げについての最終判断に向け、有識者から意見を聞く集中点検会合を経て、引上げの前提を整えているように思われます。また、先般、策定した中期財政計画においては、財政再建に向けて基礎的財政収支の赤字改善の目標を定め、歳出抑制の方向を強く打ち出しています。こうした経済財政運営は、せっかく明るさの見え始めた景気の腰を折ることになるのではないかと大きな危惧を抱いております。増税によって景気を失速させ、かえって減収となってしまった過去の経験を活かすべきです。
今、必要な政策は、経済規模を拡大することで相対的に債務の比率を下げること、そして、日本経済を支えている地方経済が潤うようにすることです。このたび、2020年のオリンピック、パラリンピックが東京で開催されることになりました。これは経済的にも中期的な観点でわかりやすい目標と一定の効果を与えてくれるものと思います。しかし、当面必要なのは、足下のデフレからの脱却です。政府においては、是非、そのための具体的な対策を地方経済の実情を十分に踏まえて早期に行っていただきたいと考えております。
本県としては、今議会にも補正予算として提案させていただいているとおり、県民の安全安心を守る観点からも必要な施策を積極的に展開してまいります。
マクロ経済財政政策によって「円高・デフレ」を脱却した後に重要なのは、更なる成長に向けた具体的な行動であり、成長戦略です。その中でも国家戦略特区に注目しています。本県としては、先般、新潟市、上越市、聖籠町とともに、当県の豊富な資源の賦存やエネルギー関連施設の立地、更には北東アジアとの近接性などの強みを生かせるエネルギー戦略特区の提案を国に対して行いました。これは、メタンハイドレート等の採掘やLNG等の受入基地の整備、日本海横断パイプライン、関東圏等への広域パイプラインの整備などのプロジェクト実現に向けて、各種の規制緩和や税制上の優遇措置等を求めるものです。大規模災害時の代替機能の確保の観点や我が国のエネルギー安全保障の観点からも有効な提案と考えており、今後、その実現に向けて国への働きかけを精力的に行ってまいりたいと考えております。
次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについてです。
去る7月23日、日本は、マレーシアにおける会合から正式に交渉に参加したところであり、先月、ブルネイで開かれた閣僚会合では、年内の妥結に向けて協議を加速することが確認されました。10月には、その目標に向けた重要な節目となる首脳会合が開催されることとされています。
こうした中、これまでの交渉内容については明らかにされておりません。交渉中の内容については、制約があることは理解しますが、政府においては、国民に対し、できるだけ早く説明を行ってほしいと考えております。TPPへの参加は、その効果や影響が国民生活に直結するものであり、十分な説明がなされた上で、国内措置をどうするかも含めた国民的な議論が必要であると考えております。
また、交渉においては、かねてから申し上げているとおり、少なくとも主食である米は関税撤廃の対象から除外すべきです。その上で、ローカルコンテンツ規制など各国の問題点の改善も含め、我が国の国益にかなうよう戦略的な交渉を行う必要があります。
仮に、国益が実現されない場合には、交渉過程で撤退するべきであり、最終手段としても国会で承認しないとする環境を整えておくべきです。
政府には、こうした点を踏まえ、スケジュールありきでなく、交渉の主導権を確保しながら、断固たる姿勢で対応していただきたいと考えております。
次に、このTPPへの参加交渉とも深い関係をもつ農業問題についてです。
食料安全保障の観点に加えて、地域社会を守る観点からも多面的機能を有する農業の維持・発展は不可欠であり、そのためには、農業者の所得を確保することが重要であると考えております。
その方策としては、かねて申し上げているとおり、所得が一定程度保障されることで、地域農業の担い手が将来展望を持って安心して農業経営に取り組めるよう、地域の実情に即して裁量が発揮でき、効果的な支援が行われる新たな制度の創設が必要です。そうした観点からも、先般、主食用米から非主食用米へ生産誘導し、需要のある加工用米等が安定的・継続的に供給される仕組みを構築するよう改めて国に要望してきたところです。
しかしながら、国の概算要求で示された来年度の「経営所得安定対策」は、暫定的なものとなっていることから、国の動向を見極め、制度の改善について、時機を捉え更なる働きかけを行ってまいります。
次に、人口問題への対応についてです。
先月、本年3月末現在の住民基本台帳に基づく人口動態が公表されました。それによれば本県の人口は、前年より16,309人減少し、16年連続の減少となっております。国全体としても少子高齢化の進行の中で自然減が大きく影響し、26万6千人余りが減少している状況にあります。しかし、だからといってこれを社会全体の傾向と割り切る訳にはいきません。このまま毎年1万人を超えるスピードで人口の減少が続くと、地域の社会機能を維持していくことが困難になるとの危機感をもった取組が必要な状況と受け止めております。
本県においては、少子・高齢化が全国より早く進行していることによる約1万1千人の自然減に加え、社会減も5千人を超えております。この社会減によって県内で結婚し出産する世代が少なくなり、自然減を加速する状況となっていることが大きな問題の一つと考えています。その要因については、多くの若者が首都圏に進学した後、そのまま県外に就職してしまっていることがあげられます。若者にいかに地元にとどまってもらうか、県外進学者にいかに県内に戻ってきてもらうか、地元でいかに結婚し、出産してもらうか、更には県外から本県への移住をいかに促進するかなどの総合的な対策が必要です。
県では、これまで人口問題対策会議において、人口減少の要因の分析に加え、子育て環境や高等教育環境の充実、雇用の場の確保、定住促進に向けた課題等について、有識者から幅広なご意見をいただいているところです。これまでの議論等を踏まえ、今議会において、対策検討に必要な調査経費、及び若者の流出防止に資する看護職員養成などの高等教育環境の整備に向けた取組経費について、補正予算案としてお諮りしているところです。
県といたしましては、引き続き人口問題対策会議において、的確な状況分析と効果的な施策の検討を進め、その成果を順次施策に反映させてまいります。
次に、地域医療体制の確保についてです。
まず、魚沼地域については、新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院の平成27年6月の開院に向け、医療スタッフの確保等を含め、着実に取組を進めております。また、県立十日町病院については、魚沼基幹病院との連携のもと、地域の中核病院のモデルとなる病院を目指して、平成27年12月の部分開院に向けて、現在実施設計中であり、年度内に着工するよう準備を進めております。
県央地域については、県央基幹病院基本構想策定委員会をこれまで2回開催し、基本理念や具体的な機能、規模の検討を行ってまいりました。今後、周辺病院との役割分担・連携などを検討し、年内を目標に基本構想を策定することとしております。
併せて、県立加茂病院についても現在地での建て替えに向けて取組を進めているところです。先般、全面改築等検討委員会において、現行の規模や機能は維持しながら、緩和ケア病床の新設や療養病床の増床を行うことなどを内容とする整備基本計画案を作成し、現在パブリックコメントを実施しているところです。
また、地域の救急医療体制の確保の観点で大きな機能を果たしているドクターヘリについて、更にその体制強化を図るため、山形県、福島県の両県と広域連携を行っていくこととし、先般開催された3県の知事会議において合意を得たところです。併せて、冬季運航を確保するために必要なランデブーポイントの融雪設備設置を更に進めるための予算を今議会にお諮りしております。
県といたしましては、これらの施策と併せ、本県の重要課題である医師、看護職員の確保に向けた多様な取組を進めながら、各地域の実態に沿った地域医療の確保に向けて取り組んでまいります。
次に、水俣病への対応についてです。
今年4月の最高裁判決は、有機水銀中毒の影響を受けて病気になった方々は水俣病であるという基本原則に立ち返ったものであり、半世紀にわたり解決できなかったこの問題に終止符を打つ手掛かりを与えた判決であると受け止めています。
国においても、この判決の趣旨を踏まえ、早急に患者救済の枠組み全体を見直し、救済制度を一元化し、症状に応じて段階的に補償を行う等の抜本的な解決策を打ち出すべきと考えております。先月、そうした趣旨から国に対して改めて要望を行ったところであり、今後とも国において制度改正が図られるよう働きかけてまいりたいと考えております。
また、特措法にかかる異議申し立てについては、行政不服審査法に基づき公正に審理を進めることとしており、審理手続きについて申し立て側の理解を得るべく行ってきた協議が、おおむね整ったため、このたび審理を開始したところです。
いずれにいたしましても、新潟水俣病が確認されてから、まもなく50年が経過しようとしているにもかかわらず、解決に至らないことは文明社会の汚点です。県としては、早期にこの問題の終局解決が図られ、すべての水俣病患者が救済されるよう、国への要請を含め、取り組んでまいります。
次に、自殺予防対策についてです。
本県の自殺者数は、関係者の努力もあって、ここ数年減少傾向にありますが、依然として年間600人を超え、平成24年の自殺率は全国最悪のレベルであり、憂うべき状況にあります。
この危機的な状況に当たり、県民運動として自殺対策を強力に進めるため、6月には新潟県自殺予防対策推進県民会議を開催し、7月下旬からは、県民の自殺予防意識の醸成を図るため、テレビ・ラジオ・新聞等による全県的なメディアミックスキャンペーンを展開しております。
自殺を予防するには、悩みを抱えている方が、孤立せず、相談機関にたどり着き、様々な問題を解決することができる社会にしていくことが重要です。
県では、県民一人ひとりへ、「悩みがあれば相談する」こと、「悩みを抱えている人に気づいたら、声をかけ相談につなげる」ことを促してまいります。また、わかりやすい相談窓口として開設した「こころの相談ダイヤル」を、商店街などでの横断幕掲示や地域FM放送など様々なメディアを活用し、更に周知してまいります。
併せて、地域において、様々なネットワークを活用し、周囲の気づきにより、悩みを抱えている人を早期に相談につなげる仕組みの構築を進めてまいります。また、悩みを抱えている人の同意を得ながら、その情報を共有し、様々な分野の専門家に着実につないで問題解決に当たる仕組みの構築にも取り組んでまいります。
これらの自殺対策の一層の強化を図るために、必要経費を今議会に補正予算としてお諮りしているところです。
次に、県立学校生徒の自殺に係る対応についてですが、平成22年に県立高等学校の生徒が自殺した件については、これまで6回の調査委員会が開催され、高等学校の調査報告や弁護士会の勧告書の内容調査、ご遺族からの意見陳述などが行われております。
今後、引き続き、公平・中立な立場から十分な調査・検証が行われ、事実関係が明らかになることを期待しております。
また、平成24年に自殺した県立高等学校の生徒に関する案件については、現在、ご遺族と調整しているところです。
重要なことは真実を究明することであり、最も適切な体制をできるだけ早期に立ち上げられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地方分権改革についてです。
先般、地方制度調査会から県と政令市の二重行政の解消など、大都市制度の見直しに関する答申がなされました。本県では、これに先行する形で新潟州構想検討推進会議において議論を進めており、先般の会議において公営住宅の管理の一元化などに合意したところです。県と政令市の役割分担を整理する中で、住民メリットが生まれ、行政の効率化にもつながるよう、新たなテーマにも取り組みながら引き続き二重行政の解消に向けた具体例を積み重ねてまいります。
一方、大都市制度と表裏一体の関係にある広域自治体のあり方については、次の臨時国会において与党から道州制に向けた法案を提出する動きがあります。先般の全国知事会議では、公表されている与党の法案について、道州制の理念や国の府省の解体再編が示されていないなど、問題点を指摘せざるを得ないとする提言をとりまとめたところです。
我が国が閉塞感を打破し、活力を取り戻していくためには、国からの権限・財源移譲を抜本的に推し進め、地域の総意・工夫を反映できるよう我が国の統治機構を変えていく必要があります。単なる都道府県合併や、国の出先機関を中心とした中央集権型の道州制では、住民から行政が遠ざかり、地方分権に逆行したものとなってしまいます。
本県としては、今後の道州制議論の進展を踏まえ、地方分権改革を推進する本来あるべき道州制の実現を全国知事会等とも連携しながら引き続き国に働きかけてまいります。
併せて、本県にとって望ましい道州制についての検討も行っていく必要があると考えております。
なお、地方自治の観点から問題がある職員の給与削減要請への対応については、本県が過去二度の震災時に独自削減をした経緯や、削減効果が被災地に直接還元されないことに加え、職員の給与は民間準拠を基本とした人事委員会勧告を踏まえて決定するものであることなど、様々な要素を考慮し、引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。
次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
北朝鮮は、本年2月の核実験により冷え込んだ中朝関係の修復を求めるとともに、開城工業団地の再開に応じるなど、対話への動きを示しています。
このような状況の中、先月7日に県民集会を救う会新潟などとともに開催いたしました。集会で曽我ひとみさんが、35年間離れ離れになったままの母ミヨシさんの救出を切実に訴えている姿に、一日も早く再会していただきたいという思いを一段と強くいたしました。
また、先月23日には、古屋拉致問題担当大臣が、担当大臣として初めて佐渡市の曽我さん親子の拉致現場を視察し、大澤孝司さんが最後に目撃された場所にも立ち寄られました。午後の横田めぐみさんの拉致現場視察には私も同行しましたが、視察後「現場を歩いて拉致された時のイメージを確認できた。すべての被害者を取り戻すため、あらゆる手段を講じる。」と強い決意を述べられていました。
今月16日には、日比谷公会堂で国民大集会が開催されました。集会には、安倍総理や古屋大臣をはじめ、「知事の会」や大勢の国会議員・地方議員の方々も参加し、拉致問題解決に向けて国を挙げて取り組む決意を改めて示したところです。
政府には、北朝鮮に対話の動きが出ているこの機会を逃すことなく、一日も早く目に見える具体的な成果を出していただくことを強く望みます。
県といたしましても、政府の取組を後押しするため、市町村や支援団体の皆様と連携をしながら、解決に向けて県民世論の大きなうねりを作っていくよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
次に、新年度予算編成の方針についてです。
予算編成過程の透明性を確保し、県民の皆様への説明責任を果たす観点から、先般、国の概算要求等を踏まえ、県の新年度予算編成方針を策定し、公表したところです。
新年度予算の編成に当たっては、将来の人口や就業機会の増加、個を伸ばす人づくりの推進などに向けた取組を強化するなど、未来への投資を積極的に推進してまいります。加えて、安心・安全で、県民一人ひとりが希望を抱き、未来を描くことのできる地域社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
また、7年後のオリンピック、パラリンピックのような、世界の舞台での活躍に向けて頑張る若者たちをしっかりと支える体制を整えるとともに、その成果が大会後にも残り、地域社会の活力を生み出すことにつながるよう努めてまいりたいと考えております。
併せて、今後の県債残高の減少を踏まえ、明日の新潟の飛躍につながる新たな取組について検討してまいります。
今後、経済情勢や国の制度変更、地方財政対策等を見極めながら、適切に予算編成作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、海外訪問についてです。
去る7月16日から22日にかけて、「ニューヨーク新潟県人会創立25周年記念式典」及び「ブラジル日本戦後移住60周年祭」への出席等のため、ニューヨークとブラジル・サンパウロを訪問してまいりました。
現地では、それぞれ、県人会の大勢の会員の方々と触れ合うことができ、皆さんがふるさと新潟をこよなく愛し、県人会を介して強い絆で結ばれていることを改めて感じました。また、会員の方々が様々な分野で活躍されており、大きなネットワークを築いておられることを大変心強く思ったところです。
加えて、訪問した現地の経済団体や企業からは、現地における日本の食の魅力や情報発信等についての助言もいただきました。
今後、県人会の力もお借りしながら、それぞれの国・地域との交流を更に深めるとともに、本県の魅力の情報発信等を積極的に行ってまいりたいと考えております。
続いて、8月21日から23日にかけて、県議会議長、及び県内の経済団体・企業等の関係者とともに、中国黒龍江省を訪問し、友好提携30周年記念事業に参加してまいりました。
黒龍江省・孫副省長との会談では、観光やスポーツ、次世代を担う若者の交流を一層進めることに加え、県内大学と黒龍江省の大学との交流や、新エネルギー分野などでの協力の可能性を探っていくことを確認いたしました。
また、記念事業として実施した「ビジネスマッチング」では、日本側、中国側双方から参加した企業による個別商談が行われたほか、県産品や食文化を紹介する新潟フェアを開催したところです。
現在、我が国と中国とは国同士としては厳しい状況が続いておりますが、そうした中にあればこそ、こうした長い交流の歴史に支えられた地方政府レベルでの交流は非常に重要だと考えております。本県としては、黒龍江省との交流が30周年を契機に一層活発化するよう取り組んでまいりたいと考えております。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第101号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額260億3,833万3千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、豪雨災害からの早期復旧・復興に要する経費を計上するほか、当初予算編成後の事由による重要性、緊急性のある経費を計上するとともに、国の補助事業等の内定又は内定見込みなどに伴う所要の措置を講じることとしたものであります。
以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
まず、豪雨災害への対応として、被災した県立学校の復旧や土砂災害等の発生・拡大の防止に要する経費のほか、被災住宅の再建資金の借入に対する利子補給のための経費等を計上いたしました。
また、越後杉を使用した住宅建設に対する支援を拡大するほか、消防防災ヘリコプターの更新に要する経費や、農業水利施設等の耐震性の点検・調査及びハザードマップ作成支援に要する経費等を計上したところであります。
その結果、補正後の予算規模は、
1兆2,857億2,189万円となります。
次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
第102号から第111号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、事業実施上必要とするものについて、それぞれ補正するものであります。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第117号議案は、障害児が介護保険法に基づく小規模多機能型居宅介護事業の通いサービスを利用できるようになったことに伴い、関係条例の所要の改正を行うものであります。
次に、第119号議案は、道路法の改正に伴い、法律で免除される道路占用料を条例の減免対象から除外するため、
第120号議案は、河川法の改正に伴い、流水占用の登録を受けた者から流水占用料等を徴収するため、
第121号議案は、暴力団排除特別強化区域や法人格のない団体に係る両罰規定を条例で定めるため、
それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。
次に、第122号から第124号まで各議案は、財産の取得について、
第125号議案は、契約の締結について、
第126号議案は、損害賠償額の決定について、
最後に、第127号から第134号までの各議案は、企業会計に係る決算の認定並びに利益剰余金及び資本剰余金の処分について、お諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
10月10日 知事説明要旨
ただいま上程されました第135号議案は、平成24年度一般会計及び特別会計の決算の認定について、お諮りするものであります。
よろしくご審議のうえ認定を賜りますようお願い申し上げます。
10月11日 知事説明要旨
ただいま上程されました議案2件は、いずれも人事に関する案件であります。
第136号議案は、教育委員会委員を任命するため、
第137号議案は、公安委員会委員を任命するため、
それぞれお諮りいたしました。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。