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平成26年12月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002623 更新日:2019年1月17日更新

平成26年12月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

12月2日 知事説明要旨

 平成26年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 まず、先月22日に発生し、糸魚川地域などにも被害を及ぼした長野県北部を震源とする地震において、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 県内においては、人的被害はなかったものの、地震による土砂崩れによりJR大糸線が長野県内で一部不通となっております。北陸新幹線の開業を間近に控える中で、観光面等への影響が懸念されているため、JRに対して沿線市町村等と連携して早期の復旧を要請したところです。これについては、昨日、早期の復旧の見通しが示されたところですが、今後も、大きな被害のあった長野県への協力を含め、ニーズに応じた対応ができるよう万全を期してまいります。

 次に、10月23日で発生から10年という節目を迎えた中越大震災についてです。
 68人もの尊い命を奪い、12万棟を超える住家に被害を与えた大震災から10年目となる当日、長岡市で行われた合同追悼式に出席してまいりました。この10年間で必要なインフラの復旧はほぼ終了しましたが、この地震で家族を亡くされ、未だにそこで時間が止まってしまった思いの中で過ごされてきた方も多くおられるのが現実です。式典に出席して、改めてこの10年が被災された方々の置かれた環境によって様々な思いの詰まった10年であったと強く感じたところです。同時に、未だ復興を実感することのできない方々への対応や心のケアなど、今後も必要な取組はしっかりと行っていかなくてはならないと痛感したところです。
 県では、現在、これまでの復興の取組について本年度末を目途に復興検証調査会による検証作業を進めており、先般、中間報告をいただいたところです。この報告では、復興に向けた取組で大きな役割を果たしたのが、復興基金であったと指摘されております。より現場に近いところで意思決定できる復興基金の枠組みによることで、「手作り田直し等支援」事業に代表されるように現場のニーズに合わせて、現場の知恵と力を活かす仕組みを作れたことが、きめの細かい柔軟な支援を可能にしたと認識しております。
 また、NPOの方々と行政がうまく協働できたこともスムーズで現場に密着した復興につなげられた大きな要素でありました。
 今後は、この震災の経験を風化させず、しっかりと地域で引き継いでいくとともに、検証作業を通じて明らかにされた知見や教訓を新潟モデルとして広く発信していくことが重要と考えております。そのことが、これまでいただいた多くのご支援に対する恩返しにもなると考えているところです。
 そのため、中越メモリアル回廊を教育に積極的に活用していただけるよう努めるとともに、私自身、中央防災会議委員であり、全国知事会の危機管理・防災特別委員長でもあることも活かし、様々なチャンネルを通じて発信に努め、頻発する災害への対応の円滑化に貢献できるよう取り組んでまいります。

 次に、消費税率引上げによる影響と今後の対応等についてであります。
 去る11月17日、消費税率の10%への引上げの判断材料とされていた本年7月から9月期の実質国内総生産が、速報値で前期比の年率換算で1.6%のマイナスとなりました。安倍首相はこれを受け、翌11月18日、景気の消費税増税後の落ち込みからの回復が遅れていることから引上げを延期することを表明しました。
 実体経済を見ますと、円安基調の中、輸出型の大企業を中心に業績が改善していますが、地方においては、景気回復の実感が乏しいのが現状です。多くの中小企業においては、むしろ原材料等の仕入価格の上昇などから、収益面で弱い動きとなっています。また、建設、運輸、福祉などでは人材不足といった経営課題を抱え、今後の企業活動の阻害要因となることが懸念されています。加えて、GDPの約6割を占める個人消費の回復の弱さも目立ちます。
 こうした状況を踏まえますと、現状においては、増税の経済環境にはなく、このたびの判断は妥当なものと受け止めております。
 一方、政府は、このたびの消費税増税の延期と併せて、改めて増税時期を平成29年4月とするとしています。しかし、まずは、名目での安定した経済成長を実現することが先決であり、増税時期ではなく、増税が可能となる経済状況の条件を明示すべきです。
 このたびの増税延期の判断に先立って、日本銀行が追加金融緩和策を決定しました。これにより、為替相場は一段の円安基調となっており、改めて、中央銀行を持つ国は、自らの意思で為替レートをコントロールできることが確認できたところです。
 この先、為替変動のスピードに配慮することが必要ですが、適切なマクロ金融・財政政策により、物価の上昇が金利を上回り、円安が進むという予測が形成されていくことが重要です。これにより、国内への生産機能の回帰と民間投資の促進が図られ、企業の売上や賃金が増加し、地域経済の回復につなげていくことができると考えております。
 県といたしましては、経営面でのセーフティネット対策に万全を期した上で、設備投資の促進や海外市場開拓等のほか、今後想定されている国の経済対策への積極的な対応をはじめ、県内需要の喚起につなげる施策など、可能な限りの対応に努めてまいります。
 今議会には、本県の地域経済や雇用の維持に重要な役割を果たしている小規模企業の振興のための新たな条例制定をお諮りしているところであり、今後とも中小企業の多い本県の経済構造を踏まえたきめ細かい施策の展開に努めてまいります。

 次に、人口減少問題への対応についてです。
 本県の人口は平成9年をピークに17年連続で減少し続けており、昨年10月からの1年間では、自然動態、社会動態ともに前年より減少幅が拡大している状況にあります。
 全国的にも人口減少問題に対する危機感が強まる中、国でも、先般、「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、先の臨時国会で地方創生に向けた「まち・ひと・しごと創生法」が成立したところです。
 人口減少克服のためには、税や年金、教育等を含む大胆な制度改革が必要ですが、残念ながら地方にはこれらを実行する権限はありません。このため、県としては、これまでも総合的な取組を国に強く要望してまいりました。
 このたびの国の地方創生の動きに対する全国知事会による提言におきましても、企業の地方への移転の促進や、地域の実情に応じて主体的な政策が行える仕組みの構築などの主張を行っているところです。また、好業績をあげている輸出型大企業の利益が取引先企業に還元される制度の構築について、先般、石破地方創生担当大臣に提案したところです。
 国では、今後、「人口減少克服・地方創生」に向けた総合戦略等を策定し、地方自治体にもそれを受けた総合戦略の策定を求めております。しかし、まずは権限を持つ国がこうした地方の意見をしっかりと受け止め、実効性のある戦略を策定し、政策を実施していくことが重要と考えております。
 県といたしましては、人口問題対策会議での議論を更に深め、本県としてできうる限りの対策を来年度当初予算に反映するよう努めてまいります。
 本年度、検討を進めている少子化対策モデル事業については、現在、検討委員会で制度設計の最終の詰めを行っているところであり、年内にとりまとめる最終報告を踏まえ、新年度予算で事業化を図ってまいりたいと考えております。
 一方、社会減への対応については、先般、県外大学生のU.Iターン就職を促進するため、首都圏大学と協定を締結したところです。これにより大学と連携して学生や保護者に対する県内企業の情報提供を強化したいと考えており、今後、協定締結の範囲を更に拡大してまいります。
 また、県内大学の魅力の向上による入学者の増加も必要です。先般認可された、来年4月の県立大学大学院、国際地域学研究科の設置は、学部を含めた大学全体のレベルアップにもつながるものと期待しております。さらに、私立大学においても新学科設置などが予定されております。
 県としては、こうした動きが若者の県外流出の抑制につながるよう、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 次に、エネルギー関連の取組についてであります。
 エネルギーは本県の今後の発展に大きな可能性をもたらす重要な要素です。
 再生可能エネルギーについては、先般、海洋エネルギー導入の第一歩として、粟島沖で「潮流発電装置」の導入実証実験が行われたところです。また、調査を行っていた雪冷熱を活用したデータセンターの立地アセスメント結果をとりまとめたところであり、今後、事業者の立地に向けた取組を進めることとしております。
 全国で整備が進んでいる太陽光発電に関しては、先月、建設を進めていた北新潟太陽光発電所が竣工し、運転を開始したところです。
 そうした中、国は、系統への接続申込みに対する電力各社の回答保留等を踏まえ、現在、固定価格買取制度の見直し等を検討しています。今後、国が力を入れて進めようとしている地方創生の観点からも、再生可能エネルギーの中心となっている太陽光発電の導入が遅れている日本海側地域での導入を進めていくことが重要です。そのためには、導入状況と負担のバランスに配慮した固定価格買取制度や賦課金制度の見直しが必要です。このため、先般、既存計画への配慮等と併せて資源エネルギー庁長官に要請したところです。
 また、安定した電力を供給するという観点で、県が保有する水力発電は貴重な再生可能エネルギーです。その利点を活かし、経営基盤の一層の強化を図るため、固定価格買取制度の活用のほか、電力システム改革への対応を念頭に、買取先を一般競争入札によって決定する手続きを進めております。
 今後とも効率的な運営に努め、県民共有の財産として有効な活用を図ってまいります。
 加えて、風力やバイオマス、バイナリー地熱などの導入促進にも努めているところです。今後もこうした再生可能エネルギーのほか、上越沖に賦存が確認されているメタンハイドレートも含め、多様な地域資源の利活用の可能性を積極的に追求してまいります。また、本県の持っているエネルギーの受入・供給拠点としての優位性を活かし、これらのポテンシャルを地域活性化にしっかりと結びつけられるよう取り組んでまいります。

 次に、北陸新幹線開業に向けた取組についてです。
 北陸新幹線の運行計画の概要が8月にJRから発表され、速達列車の県内駅への停車が設定されなかったことを受け、去る10月17日、全国新幹線鉄道整備法の趣旨に基づいて地方負担に応じた便益が提供されるよう、沿線三市とともに、太田国土交通大臣に対して要望を行ってまいりました。
 また、先般開催された新潟、群馬、埼玉の三県知事会議においても、北陸・上越新幹線の停車駅等について、地域の振興を図るため三県で共同して行動していくことで合意したところです。
 地域にとっては、停車してこその利便性であることから、法の趣旨が実現され、新幹線の整備が真に地域の振興に資するものとなるよう、今後も国に働きかけてまいります。
 太田大臣には、観光振興に関しても併せて要望してまいりました。より多くの方から県内駅に降りていただくためには、目的地としての本県の魅力を向上させることが必要です。このため、沿線地域の魅力向上、受入体制整備を支援するなど、二つの新幹線を活かした魅力づくりに引き続き取り組んでまいります。
 また、首都圏に加え、関西圏における情報発信を強化しており、先般も大阪市内において、観光・物産イベントやメディア等への働きかけを行い、本県の魅力をPRしてきたところです。今後も関西情報発信拠点も活用しながら、本県の観光地や県産品の認知度向上に積極的に努めてまいります。
 北陸新幹線につきましては、日本海国土軸の形成という観点からも捉えていく必要があると考えております。今後、敦賀延伸時には新幹線と在来線を行き来できるフリーゲージトレインの導入も予定されております。これを活用し、県内の二つの新幹線をつなぐ直行特急として導入することができれば、県内交通の利便性向上だけでなく、日本海国土軸の強化につながるものと考えております。今後、事業の進捗状況を見極めながら、実現に向けて関係者への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 一方、並行在来線に関しましては、10月に、えちごトキめき鉄道株式会社が開業時の運賃をJRの運賃水準に据え置くこととする上限運賃認可申請を行いました。
 現在、来年3月の開業に向け、ダイヤ編成作業が進められており、より利便性を高めるための隣接会社との相互乗り入れやスムーズな接続等について調整が行われているところです。また、沿線の魅力を活かしたリゾート列車の導入を進めるとともに、新駅の設置についても調査検討を進めております。
 今後とも、北陸新幹線開業が本県全体の活性化に資するものとなるよう取り組んでまいります。

 次に、安全・安心の確保に関連した諸課題についてです。
 まず、原子力防災対策についてです。
 先月、地震との複合災害を想定したブラインド訓練として、原子力防災訓練を実施いたしました。
 当日は、県庁内に国の非常災害現地対策本部が設置され、内閣府の西村副大臣から、地元自治体の対応状況を間近でご覧いただけたことは、有意義であったと考えております。
 今回の訓練を通じ、いくつかの課題が浮き彫りになりました。屋内退避が必要な状況下で民間事業者や自治体職員等が防災業務を行うためには何らかの法的整備が必要なこと、あるいは、屋内退避されている方への安定ヨウ素剤の配付・服用をいかに適切に行えるようにするのかという点、また、複合災害時の混乱を避けるため原子力災害と自然災害の法体系を一元的に見直す必要があること、などです。
 県といたしましては、こうした課題に対応するため、法制度の見直しを含め、改めて国へ要請してまいります。一方で、原子力防災対策がより実効性のあるものとなるよう、引き続き、市町村や関係機関と十分に連携し、具体的に取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、焼山噴火に備えた取組についてです。
 去る9月27日の御嶽山噴火は、死者57名、負傷者69名、行方不明者6名と戦後最悪の人的被害となりました。本県出身の方を含め、犠牲になられた方々に対して、深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々、今なおご家族の安否が判らない皆様に対して心よりお見舞いを申し上げます。
 この甚大な被害を踏まえ、私が委員長を務める全国知事会の危機管理・防災特別委員会において「火山防災体制の充実強化に関する緊急提言」をとりまとめ、全国知事会として、10月、内閣府の西村副大臣に要望いたしました。また、先月の政府主催の全国知事会議においても、安倍首相に火山対策の充実強化についてお願いをいたしました。
 本県の焼山については、昨年設置した火山防災協議会において避難計画を策定し、10月に初めての図上訓練を行ったところです。今後、御嶽山噴火の教訓や図上訓練での課題を踏まえ、より実効性のある計画の見直しや体制整備につなげてまいりたいと考えております。
 また、この度の噴火において課題となった登山者等の把握方法については、登山計画書提出の義務化などについて、条例化も視野に検討しており、現在、関係市村や長野県など関係機関との調整を行っているところです。
 次に、世界的な感染の拡大が懸念されているエボラ出血熱への対応についてです。
 WHOが昨日公表した情報によれば、現在、西アフリカ諸国を中心に感染が広がっているエボラ出血熱の感染者は、1万6千人を超えています。また、日本国内においても、これまで3人の感染の疑い例が報告されました。
 県では、最初の疑い例が報告された後、速やかに警戒本部を立ち上げ、関係部局における情報共有や当面の対策の確認を行ったところです。また、先月、医療従事者等を対象に、防護服の着脱訓練などの研修会を実施し、県内での発生に備える取組を進めているところです。
 これまでの事例では、いずれも感染は確認されなかったものの、医療機関の受診方法や検疫所への報告など、安全対策について課題が生じています。
 県といたしましては、関係機関と協力し、県民の皆様へ適切な情報提供を行い、円滑な対応が取れるよう、準備に万全を期してまいります。
 次に、重大事故や健康被害の発生が大きな社会問題となっている危険ドラッグへの対応についてです。
 この問題については、国においても薬物指定の迅速化や検査命令の実施等の対策を強化していますが、新たな未規制薬物が次々と出てくるなど、規制が追いつかない状況にあります。
 既に複数の自治体で、条例による危険ドラッグに対する独自の規制を設けており、締め出された危険ドラッグが本県に流入するおそれもあります。
 このため、県といたしましても、県民の安全確保のために、販売店の規制も含め、条例による実効性のある規制を行うこととしたところであり、今議会において、条例案をお諮りしているところです。

 次に、地域医療体制の確保についてです。
 魚沼地域の拠点的医療を担う新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院については、来年6月開院に向けて準備作業が着実に進められております。現在、開院時に必要な医師や看護師を概ね確保でき、再編対象病院の間での患者の移送や受入れについて協議を行っている段階となっています。
 また、県央基幹病院については、8月末に整備に向けたアウトラインをお示ししたところであり、病院の設置場所の選定に向けて引き続き関係者との調整を進めているところです。併せて、再編に先駆けて移譲を受けることとした燕労災病院については、移譲に向けた基本合意の締結に向けた準備を進めており、今後、具体的な条件整理を行ってまいります。
 こうした各地域での医療体制確保の取組は着実に進捗している一方で、県内の医師不足は引き続き深刻な状況にあります。先般、来春から臨床研修を始める医学生と研修病院のマッチング結果が発表され、本県では、昨年に比べ14名増という全国的に見ても大きな伸びを示し、93名の研修医を確保することができました。研修医を惹きつける特色ある研修プログラムの開発支援などの取組の強化が成果に結びついたものと受け止めております。しかしながら、募集定員に対する研修医数は依然として低い状況にあることから、さらなる研修医の確保・定着に向け、研修内容の一層の充実及び県内研修病院の魅力アップと発信の強化に取り組んでまいります。
 一方で、国では、消費税率引上げによる増収分を活用して、医療・介護サービス提供体制の改革を進めることとし、そのための「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」が本年6月に成立したところです。この法律に基づき、都道府県は、地域の実情に応じた医療及び介護の総合的な確保を促進するための経費として、基金を設けることができることとなり、今議会に基金造成のための条例案をお諮りしているところです。今後、当該基金を活用して、在宅医療の充実や、医療・介護従事者の確保・養成など、地域において、より適切な医療・介護サービスを提供できる体制の構築を進めてまいります。

 この項目の最後に来年で公式確認から50年という節目の年を迎える新潟水俣病についてです。
 新潟水俣病は、社会全体でサポートしていくべき公害病であるにもかかわらず、50年という時間を費やしても最終決着に至らないのは誠に残念なことです。県としては、早急に水俣病の被害を受けたすべての方々が等しく患者と認められ救済を受けるための恒久的な制度の確立を引き続き国に対し強く求めてまいります。
 また、公式確認50年の行事については、去る10月に実行委員会を設置して準備を進めているところです。今後、関係者の皆様方のご協力をいただきながら、新潟水俣病の歴史と教訓をしっかりと後世に伝えるとともに、終局的解決に向けた一つのステップとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 本年5月の日朝合意を受けて、北朝鮮は特別調査委員会を設置しました。先般、日本政府の代表団が平壌を訪問し、北朝鮮側から説明を受けたわけですが、最初の報告時期が遅れており、今後の協議の行方を懸念しております。
 北朝鮮には誠実に調査を進め、情報を速やかに提供するよう強く求めたいと思います。また、政府においては、北朝鮮側のペースに乗ることなく、様々な外交手段を通じて調査の確実な進展を図り、政府認定の有無に関わらず、拉致被害者等の帰国を一刻も早く実現していただきたいと考えております。
 こうした状況の中、先月15日に新潟市内において県民集会を開催いたしました。毎年来ていただいていた横田さんご夫妻は、体調がすぐれないということでお越しになれませんでした。拉致被害者ご本人も、そのご家族も高齢化が進んでいます。一刻の猶予もありません。一日も早く失われた時間を取り戻して、家族一緒の時間をあらためて刻み始めて欲しいという思いでいっぱいです。
 当日は、山谷拉致問題担当大臣にご出席をいただきました。「同胞が帰ってくるまで、決して諦めない。」という日本国民の一致団結した強いメッセージが北朝鮮に届くことが、政府の交渉を後押しする大きな力になると考えています。
 県といたしましても、再会を心待ちにしているご家族の思いをしっかりと受け止めながら、市町村や支援団体はもとより様々な団体にも働きかけ、県民運動として一人でも多くの皆様の関心と理解が深まるよう、引き続き取組を進めてまいります。

 次に、佐渡金銀山の世界遺産登録についてです。
 佐渡金銀山は、400年以上にわたる金生産社会の営みを物語り、鉱石の採掘から金貨製造までを行っていた、世界でも他に類例を見ない遺産群であります。
 これまでも、この世界的価値をユネスコ関係者等に強くアピールする一方、現地ツアーや講座等により県民の皆様にお伝えしながら登録への気運を育んでまいりました。
 また、先月には、推薦書原案を今年度内に国へ提出する見通しがつき、下村文部科学大臣に対し、世界遺産登録の実現に向けた早期の推薦について要望したところです。
 登録の実現は、佐渡はもちろん、本県の発信力や魅力を飛躍的に向上させるものと考えております。
 今後とも、県民運動として多くの皆様の関心と理解が深まるよう、気運醸成の取組にさらに力を入れてまいります。

 最後に、知事就任10年を迎えたことを振り返って一言述べさせていただきたいと思います。
 この10年は、知事として最も重要な仕事の一つである県民の皆様の生命、安全、財産を守るという職務に対して緊張感の中で向き合ってきた10年であったと考えております。
 特に中越大震災、中越沖地震、新潟福島豪雨、そして東日本大震災など、度重なる災害への対応と復興への柔軟な取組が経験・教訓となり、継続的に防災体制の強化につながっている点を中越大震災復興検証の中間報告でも評価していただいているところです。
 産業面では、災害による産業基盤への影響も懸念される中で、県内の生産基盤の維持に努めたほか、長引くデフレ経済の中で、マイナス金利制度など、思い切った支援策を講じ、本県産業の活性化を図ってまいりました。さらに、健康産業の振興や全国に先駆けて県自身でメガソーラー発電に取り組むなど、将来を見据えて本県産業に新たな発展の方向性を見い出すことに努めてまいりました。
 また、新潟水俣病への対応を始め、できる限り社会的に弱い立場に置かれた方々に寄り添う政策を進めてまいりました。
 こうした取組の結果、県民意識調査では、政策プラン策定時の平成18年と比較して、県民の暮らしやすさに関する満足度が全ての項目で増加し、不満足度が減少するという評価をいただきました。県組織全体としての取組への評価として大変嬉しく思っているところです。
 今後は、喫緊の国家的な課題でもある人口減少問題への対応について、取組の実効性をあげるため、地方への抜本的な権限移譲の実現を含め、スピード感を持って取り組んでいく必要があると考えております。
 様々な議論の中で建設にこぎ着けたハードオフエコスタジアムが低迷していた本県高校野球の甲子園での活躍にも繋がっているように、本県は、未来に向かって環境を整えることで大きく可能性を花開かせる潜在力を持った県であると考えております。今後は、それを現実のものとするべく、県庁組織の創造力を一層高め、地域経営力を強化する中で、私自身先頭に立ち、若者が夢を持ち誰もが安心して暮らせる豊かな新潟県の実現にこれまで以上の決意を持って取り組んでまいります。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第184号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額35億9,199万円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、先ほどご説明した消費税増収分を活用した医療・介護サービスの提供体制改革の推進に資する経費のほか、職員給与費等について過不足額及び給与改定に伴う所要額を計上するとともに、当初予算編成後の事由による緊急性のある経費等について計上するものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明申し上げます。
 まず、危険ドラッグ等の薬物の濫用の防止を図るため、条例に基づく取組等を実施するための経費を計上いたしました。
 また、県立武道館へのPFI導導入可能性を調査するため、調査費に係る債務負担行為を設定いたしました。
 加えて、平成27年度事業に係る発注の平準化や起工準備期間の確保に加え、不測の災害等に対応するため、いわゆる「ゼロ県債」を設定したところです。
 以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の予算規模は、
 1兆5,890億509万8千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第185号から第189号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、職員給与費の過不足調整等に伴い、それぞれ補正するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第190号議案は、県知事の権限に属する事務の一部を市町村に移譲するため、
 第191号議案は、第4次一括法の施行に伴い、法定移譲される事務に係る関係規定を整理するため、
 第193号議案は、特別職の職員の給与について特別職報酬等審議会の答申等に基づき改正を行うため、
 第194号議案は、一般職の給与について人事委員会勧告等に基づき改正を行うため、
 第195号、第202号から第204号までの各議案及び第206号議案は、地価水準等を勘案した道路法施行令の改正を踏まえ、道路占用料等を改定するため、
 第205号議案は、宅地建物取引業法等の改正に伴い、宅地建物取引士証の再交付申請に係る手数料を新設するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第207号議案及び第208号議案は、財産の取得について、
 第209号議案及び第210号議案は、契約の締結について、お諮りするものです。

 次に、第211号議案は、最高裁判所裁判官国民審査及び衆議院議員総選挙に必要な経費について、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。

 第212号議案は、当せん金付証票の発売について、
 第213号議案は、回収の見込みがなくなった農業改良資金貸付金債権の不能欠損処分を行うための権利放棄について、
 最後に、第214号議案及び第215号議案は、公立大学法人新潟県立大学の定款の改正及び第2期中期目標を定めることについて、お諮りするものです。

 以上、主な議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

12月18日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案は、人事に関する案件であります。

 第216号議案は、監査委員を選任するため、お諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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