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昨年の夏、国道49号沿いにオープンした道の駅あがの。その初日、入口近くに設けられた農産物コーナーでは、補充が追い付かないほど枝豆が飛ぶように売れていました。
越後平野の北東部に位置する新潟県阿賀野市は、ブランド枝豆「えんだま」の栽培地。稜線が美しい五頭山(ごずさん)のふもとに広がる枝豆畑では、小さくて可憐な花が咲き始めています。
おいしいと評判の「えんだま」、そのおいしさの訳を探ってきました。
おいしい枝豆づくりの基本となるのが土づくり。作付け前に、畑にすき込む堆肥はもみ殻に牛ふんと鶏ふんを混ぜて、何度か切り返しをして発酵させて作ります。熟した堆肥は、土をふかふかにするとともに、微生物の力も借りて養分や水、空気を枝豆に供給します。地元のもみ殻や牛ふんなどは「ゆうきセンター」に集められ、そこで作られた堆肥は「ゆうきの子」として栽培農家の畑に施されます。
堆肥を切り返すと発酵熱で蒸気が立ち上がる
そして土の力をさらにパワーアップするのが、有機栽培のお米から作られた米ぬかのペレット(粒)。栄養豊富な米ぬかは土の中の微生物の働きを活発にして、枝豆もますますおいしくなります。
おいしい枝豆つくりに欠かせないものは、計画と管理。種まき、追肥(生育途中で肥料を施す)、防除(病害虫の予防・駆除)、収穫など、品種や生育状況等にあわせていずれも適期に行うことが大切です。
枝豆は花が咲く時期に合わせて追肥をする必要があります。品種と種まき時期に合わせて開花日を予想。花が咲き始めたら追肥をして、開花を勢いづけて、さやを充実させます。
早生茶豆(新潟系14号)の花、品種によっては紫色の花も
栽培農家の努力に加え、綿密な計画つくりとメッセンジャーアプリを使った栽培農家へのお知らせなど、地元農協の営農指導員の支援もおいしい枝豆づくりには欠かせません。
「枝豆は鮮度が命」です。枝豆のおいしさのもとは、糖(甘み)とアミノ酸(旨み)。収穫後、糖やアミノ酸は枝豆自身の呼吸で消費されます。枝豆はこれから大豆(種)になる成熟途上にあるため、呼吸量が他の野菜にくらべて多いと言われています。
呼吸を抑え、おいしさを保持するには冷やすことが有効です。枝豆集出荷選別施設が令和4年夏に稼働し、選別の自動化などを図るとともに、予冷庫を備えており、鮮度を保持します。
枝豆を買い求めたら、持ち運びの時間を短くする、温度の高いところに置かない、早めに調理するなど我々もおいしさを保つ工夫をする余地があります。おいしさの縁はつながるようにしたいものです。