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10年かけていた漏水調査が3年に短縮~長岡市水道局が導入したAIを活用した漏水調査~1(新潟の未来図鑑withデジタル)
長岡市水道局 次長(工務課長事務取扱) 髙野 亮一 さん
インタビュアー 新潟県 知事政策局 参与(デジタル改革担当) 佐藤 久信
様々な場面で活用されるようになったAI。皆さんに身近な水道事業でもAIが使われています。どのようにAIが活用されているのでしょうか?大正15年から給水を開始している長岡市水道局さんの新たな取組です。
2,400kmを歩いて10年→AIの活用で3年に短縮
佐藤 さっそくですが、AIを活用した漏水調査とはどういうものなのですか?
髙野 人工衛星から電磁波を照射し、その反射波をAIで解析することで地下の水を水道水か、それ以外の水かを判別するというものです。天候や昼夜に左右されず、一度に広範囲を調査できることや、漏水の可能性のある区域を半径100mの範囲に絞り込むことができるという特徴があります。
佐藤 いままではどのように漏水調査をしていたのですか?
髙野 長岡市内の水道管の総延長2,400kmを歩いて、人の耳で聴き分けて調査していました。まず、水道メーター付近の水道管などに音聴棒(おんちょうぼう)を当てて、水が漏れている振動を聞き、漏水の有無を判断します。また、道路部分については路面音聴用漏水探知機という機器で調べます。漏水があると判断した区間については、相関式漏水探知機で水道管に直接触れるようなところ2か所に機器を当てて振動を読み取り、漏水音の到達する時間差から漏水の場所を特定します。これまでは長岡市内を10年かけて調査していました。
佐藤 AIを活用した場合は、どのくらいの期間で調査できるのですか?
髙野 漏水箇所を現場で特定するためには従来の音聴調査を行います。AIを活用することで漏水の可能性のある区域を抽出し、その区域にある水道管路図と照らし合わせることで、漏水の調査対象管路を事前に絞り込むことができます。その結果、約2億円かかっていた委託経費が約6割節減される見込みであり、調査期間も大幅に短縮することができます。予算の関係もありますが3年計画で行う予定です。