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平成23年12月定例会(提案理由)
平成23年12月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
12月6日 知事説明要旨
平成23年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
はじめに、県内経済の動向と雇用対策等についてです。
我が国経済は、持ち直しの動きがみられますが、欧米をはじめとする海外情勢を巡る不確実性や異常な円高状態にある中、そのテンポも緩やかなものとなっております。
県内経済でも、生産活動に足踏みがみられ、円高を背景として、輸出型産業の電気機器・自動車に関わる下請け中小企業を中心に、受注の先行きが見通せず、企業経営面での不安が高まっています。
最近の円相場は、10月31日に75円32銭の戦後最高値を付けた後、政府による過去最大規模の為替介入がなされましたが、今もなお我が国経済の実力を超える円高水準が続いています。
このまま円高を放置すると、生産拠点が海外にシフトする国内産業の空洞化とともに、地域における働く場が失われることになります。政府には危機感を持って正しいマクロ経済政策により対処していただきたいと考えております。
円高是正とデフレ脱却には、まずはベースマネーの増大と有効需要の創出が必要です。GDPデフレーターをプラスにするインフレターゲットの導入とともに、日銀の国債引受等により短期的に政府支出の拡大を図ることが有効です。現下の経済状況での増税は、一層の需要の停滞からデフレを助長させるものであり、極めて不適切と考えています。
このため、全国知事会の円高是正・デフレ対策プロジェクトチームでの活動など、様々な機会をとらえながら、政府・日銀に的確なマクロ経済政策運営を行うよう働き掛けを行ってきたところです。
県といたしましても、円高・デフレ対策の一つとして、中小企業が設備投資を行う際に、実際の借入額に対する「マイナス金利」を実現することで前向きな設備投資の促進を図ってまいりました。今年度は、9月補正も合わせた13億円の執行で158億円の設備投資の誘発と651名の新規雇用が生み出されたところであります。こうした効果も踏まえ、設備投資促進に向けた支援の枠をさらに拡大するなど、地方政府としてできうる限りの施策を総動員して対処してまいりたいと考えております。
雇用情勢は、企業の経営マインドを反映し、10月の有効求人倍率が0.67倍と依然として1倍を大きく割り込んでいます。また、来春卒業予定の高校生及び大学生等の就職内定率は前年の同時期をやや上回っているものの、高校生の求人倍率等は引き続き低水準にあります。
そうした状況も踏まえ、大学生等への合同企業説明会や、経済4団体に対する求人要請を行ってまいります。加えて、就職から進路変更する高校生が経済的理由で進学を断念することがないよう、昨年度創設した緊急奨学金を継続して実施することといたしました。
さらには、先般、表参道・新潟館ネスパスに設置しているUターン情報センターに、全国初となるハローワーク機能を導入したところであり、首都圏在住の学生の県内就職促進と県内企業の優秀な人材確保にもつなげていきたいと思います。
次に、新潟交通圏におけるタクシー問題についてです。
現在、本県の公共交通は、過疎化の進行やマイカーの普及等により、利用者の減少や路線バスの減便等が見られる状況にあり、地域住民の足としてタクシーの役割は、益々重要性を増しています。
その一方で、新潟交通圏のタクシー事業は、各社の自主的な減車の取組にもかかわらず、未だ供給過剰の状態にあり、事業者が廃業に追い込まれるなど、経営環境は非常に厳しい状況にあります。
このような状況の中、本年3月に新潟交通圏のタクシー事業者が北陸信越運輸局から運賃変更認可を受けたことに関し、公正取引委員会から、去る10月13日付けで、排除措置命令(案)及び課徴金納付命令書(案)の事前通知がありました。
このまま命令が行われれば、事業者の廃業やそれに伴う従業員の失業を始め、労働条件の悪化が懸念され、地域社会全体にも大きな影響を及ぼす恐れがあります。
県といたしましては、新潟交通圏の厳しい経営環境を踏まえると、この度の運賃改定は、社会的に十分妥当性を有すると考えており、公正取引委員会に対し、今後の判断に当たっては、こうした状況を十分斟酌するよう要望したところであります。
次に、新潟・福島豪雨災害等からの復旧・復興についてです。
去る7月27日から降り続いた記録的な集中豪雨に伴う甚大な被害に対応するため、県ではこれまで、市町村及び関係機関と連携を図りながら、破堤箇所の応急仮復旧や河川・道路の応急対策、及び農地への流入土砂等の撤去、用排水機能の確保等に全力で取り組んでまいりました。
また、被災された方々に対して、生活再建や住宅の応急修理への支援を行うなど、できる限りの措置を講じてきたところです。
被災河川については、春先の雪解け時や梅雨期の出水に対応できるよう応急復旧を終え、順次本復旧に着手しているところです。特に、被害の大きかった五十嵐川や塩谷川などの河川については、検討委員会から中間とりまとめとして示された復旧方針に基づき、改良復旧計画を策定し、早期の事業採択を目指し国と協議を進めております。
加えて、情報連絡体制や避難のあり方など、ソフト対策についても課題等を年内にとりまとめた上で、更に効果的な対策が実施できるよう対応してまいります。
なお、道路の被災箇所については、応急復旧により今冬の道路ネットワークを確保したところであります。
また、農地・農業用施設については、今期の収穫作業終了から本格的な復旧作業を進めるとともに、被災された農家の状況把握を継続して行っているところであります。引き続き、個々の農家の意向を踏まえ、営農体制を含め来春の作付け等に向け、きめ細かい対応を鋭意進めてまいります。
県といたしましては、災害からの迅速かつ的確な復旧・復興を着実に進め、被災された方々が、一日も早くこれまでの生活を取り戻して安全・安心な生活を送ることができるよう、今後とも全力で取り組んでまいります。
この度、国の補正予算において、東日本大震災からの復興に向けた、取り崩し型復興基金創設のための財源が措置されました。
県では、中でも大きな被害を受けた、東日本大震災の特定被災区域である十日町市、津南町、上越市に対して、市町がそれぞれの裁量で実情に応じ使途を決定することができるよう、被災規模に応じて総額の1/2を直接交付することとし、今議会に予算をお諮りしたところです。
また、被災地のニーズに応じて柔軟な事業の実施を可能とするため、被災地域が重なっている中越大震災復興基金に事業を委託し、特定被災区域以外の市町村に対する支援や、東日本大震災による風評被害対策にもこの基金を活用してまいりたいと考えております。
県といたしましては、一刻も早い震災からの復興に向けて、引き続き被災者全員が生活再建できるよう支援してまいります。
次に、東日本大震災に伴う原子力災害への対応等についてです。
去る3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された大量の放射性物質が広範囲に拡散し、生活圏の汚染や農林水産物、畜産物の汚染によって、多くの国民が不安にさらされています。
県ではこれまで、県内全域で空間放射線量を測定し公表するとともに、河川水、水道水及び農林水産物などの検査を実施し公表するなど、県民の安全・安心を確保するため、随時的確な情報提供に努めてきたところです。
今後更に、流通食品や米の流通段階における検査を継続して実施するとともに、新たに県内の一般消費者の持ち込む食材の検査を実施できる体制の整備を進め、消費者の「食」に対する不安の払拭に努めてまいりたいと考えております。
一方、食品等に定められている現在の暫定規制値は、事故直後の緊急事態の際の基準です。県では、これまで国に対し、国民の健康と安全、そして日本の信用を守っていくために、国際的にも信頼される基準に戻すよう要望してきたところです。
こうした中、国は、食品から許容できる線量を年間1ミリシーベルトに引き下げることを基本に、新たな規制値を検討しております。
しかしながら、従来、原子炉等規制法などでは、外部被ばくと内部被ばく線量を合わせた一般公衆の被ばく限度を年間1ミリシーベルトとしており、従来の規制値と整合性をもたせるべきです。
また、一律の基準とするのではなく、特に子供への影響について十分に考慮したうえで、子供については別基準を設定すべきです。
今後、新たな規制値の設定について議論していくにあたっては、これらのことに十分配慮し、より安全サイドにたった議論を行うよう、先般、国に対して意見を提出するとともに、政府主催の全国知事会議の場で、小宮山厚生労働大臣に対して意見を申し述べたところです。
また、国は、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8千ベクレル以下の上下水道汚泥、一般廃棄物焼却灰は、管理型最終処分場で埋立処分が可能としています。
しかしながら、原発事故前から、原子力発電所等で発生した放射性廃棄物は、8千ベクレル以下のものであっても発電所内外で厳格に管理されてきたところであり、こうした国の方針では、本県県民の理解を得ることは難しいものと考えています。
放射性物質汚染対処特措法の規定により、今後定める指定廃棄物の基準及び取扱は、従来から原子力発電所内で管理されている放射性廃棄物の基準及び取扱と同じにするよう、先般、国に要望したところであります。今後、全国知事会とも連携し、国に対して、災害廃棄物の広域処理に係る環境整備について、具体的な対応を求めてまいりたいと考えております。
原子力防災計画についてでありますが、去る11月17日に原子力安全委員会において「原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方」が基本的に了解され、「防災指針見直しの中間報告」が今年度内に取りまとめられることとされております。
県といたしましては、本県における原子力防災対策重点地域や過酷事故を想定した対策について議論を進めているところであり、先日、県としての考え方の素案を取りまとめたところです。今後、市町村等との調整や県防災会議原子力防災部会での議論を進め、「防災指針見直しの中間報告」に向けて、実効性のある防災対策を進めることができるよう、国に対して要望してまいりたいと考えております。
東日本大震災から8ヶ月が経過した今なお、本県には7千人余の方々が避難生活を送っています。9月以降は、放射能に対する不安を抱えた小さなお子さん連れの新たな避難者が増える傾向にあります。
県では、これまで避難者のプライバシーに十分に配慮しながら、避難環境の改善や被災地の情報提供等、避難されている方々お一人おひとりの気持ちに寄り添った支援を行ってきたところです。
今後とも、避難の長期化を見据え、被災者が孤立しないよう見守り支援を強化するとともに、増加しているお子さん連れの世帯にも安心して避難生活を送っていただけるよう、引き続き市町村、NPO、団体等と協力しながら、支援の充実を図ってまいります。
次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについてです。
我が国は、世界で最も自由貿易によって恩恵を受けている国の一つであり、基本的には経済連携に取り組むことが必要と考えております。
しかしながら、その前提として、増加する世界人口と、地球全体の食料生産力を考慮すれば、国内の食料供給力を落とすような農業政策はとってはならず、各国固有の権利である食料安全保障については絶対に譲るべきではありません。
日本は瑞穂の国であり、米の生産は我が国の形を司るものであります。主食である米は関税撤廃の対象から除外を求め、除外が認められない場合には、交渉から撤退する、または批准しないなどの対応をとり、同時にEPAやFTAといった二国間協定を模索するべきです。
一方、我が国の農業の現状を踏まえれば、経済連携の有無にかかわらず、国内の農業対策の充実が不可欠です。今後の経済連携への対応を考慮すれば、特に、しっかりとした所得保障制度を早急に確立する必要があります。
このため、まずは現行の戸別所得補償制度について、地域の多様な担い手の経営努力に応じた支援など地域で裁量が発揮できる制度に改善する必要があります。また、過剰基調にある主食用米から非主食用米等へ生産誘導する支援の充実を図り、安定財源の確保やその効果的な活用により、安定的・継続的な制度とすることが必要と考えております。
先般、こうした考えの下、経済連携への対応と国内農業の振興について、国の関係各省庁に改めて要望を行ったところであり、TPPについては、メリットとデメリットを明らかにし、国民的な議論を行った上で、国益にかなう結論を出すよう強く求めたところです。
加えて、東日本大震災以降に生じた日本製品のブランド力の低下や円高の進行による貿易環境の悪化についても考慮すべきです。
こうした中、先月、野田首相は、事実上のTPPへの交渉参加と世界から受け止められた表明をしました。農業をはじめとし、医療や金融など個々の分野について国から情報が十分提供されず、国民的合意が十分なされない中で表明がなされたことは、極めて遺憾であり、拙速な判断と言わざるを得ません。事実上の参加表明をした以上、政府においては、各分野における課題について冷静に分析した上で、国益にかなうようルールメイキングに参加し、戦略的な交渉を行ってほしいと思います。
次に、地域医療についてです。
本県は、現在勤務している医師数の約22%に当たる591人もの医師が不足しており、自治医科大学の医師配置総合評価では、全国で最も医師不足が深刻な県とされています。医療環境の整備を図る上で、勤務医不足対策は最重要課題です。
こうした中、来春から臨床研修に入る医学生と病院のマッチング状況が過日公表されました。本県の病院で研修を希望する医学生は81人であり、新たな臨床研修制度導入以後、70人前後に低迷していた時期に比べ若干持ち直したものの、依然として厳しい状況にあります。
県では、これまでも研修環境の整備・充実に対する支援を強化してまいりましたが、こうした県レベルの取組だけでは医師の絶対数の確保に限界があることから、引き続き国に対し、医師のへき地勤務の義務化や医学部の新設等に関する規制緩和を強く働きかけてまいります。
一方、仮称ですが魚沼基幹病院については、今般実施設計を終え、平成27年6月の開院に向けて、予定どおり取組を進めてまいります。同時に、基幹病院が医師を惹きつけるマグネットホスピタルとなるよう、ソフト面での取組も進めているところです。
基幹病院に併設する魚沼臨床研究センターで行われる予定のコホート研究については、今月中に新潟大学と協定を締結し、来年1月にも研究が先行して開始されます。併せて、東京大学とも、研究の実施に向けた具体的な協議を進めているところです。
また、運営主体となる財団については、先般準備委員会において、名称を始めとした財団法人の基本フレームや医療スタッフ数、収支の考え方を含む事業フレームなどについて検討がなされたところです。年度内には、財団法人の組織・役員体制や事業収支などについて詳細を詰め、来年4月の財団設立を目指してまいります。
県央地域の救命救急センター及び併設病院については、医療関係者等から構成されるワーキングチームを設置して、県央医療圏が担う診療機能、それに応じた医療機関の役割分担の再構築の方向性などについて検討を進めているところであります。本年度中を目標に、具体的な医療提供体制について、医療関係者や行政の合意形成が図られるよう取組を進めてまいります。
なお、地域住民の皆様には、これまでの検討内容や安全・安心な医療提供体制について考えていただくため、シンポジウムの開催を始めとして、積極的な情報提供を図ってまいります。
また、地域医療の喫緊の課題に対応するため、国の交付金を活用して基金を造成し、救急医療ネットワークの構築、がん医療の均てん化のためのPET/CT検査体制の整備等に集中して取り組むこととし、今議会に予算をお諮りしたところです。
県といたしましては、県民が安心して暮らせる地域医療を守っていくため、引き続き全力で取り組んでまいります。
次に、日本海側拠点港についてです。
先般、国において新潟港が「総合的拠点港」に、直江津港が「機能別拠点港」に選定されました。
新潟港は、本州日本海側最大のコンテナ取扱量や航路数などの実績や将来性が、また、直江津港については、LNG供給基地としての拠点性や災害時の太平洋側エネルギー供給施設の代替機能の役割が、それぞれ評価されたものと受け止めております。
しかしながら、国が拠点港に選定したから新たに航路が開設されるという訳ではありません。いかに荷主・船社にとって使い勝手が良く、経済的なメリットを提供できるかが重要です。
県といたしましては、荷主・船社に選ばれる競争力のある港に向けた機能強化とサービスの向上に努め、中国・韓国・ロシアなど対岸諸国の経済発展を我が国の成長に取り入れるとともに、東日本大震災を踏まえ、災害に強い物流ネットワークの構築にも資するよう、その役割を果たしてまいりたいと考えております。
次に、北陸新幹線及び並行在来線についてです。
北陸新幹線に係る諸課題につきましては、本県の提案に対して、国として具体的な対応策を検討していると聞いています。本県としては、前原元大臣と約束した期限を大幅に超過していることから、解決につながる話し合いができることを期待しているところです。
一方、北陸新幹線開通に伴い経営分離される並行在来線については、運営会社において運行の範囲や車両数の適正化など、運行の基本的な方向性について、引き続き、沿線住民との対話集会等を開催しました。同社としては、いただいた要望を十分に受け止め、優等列車の存続など、更に検討を進めていくものと承知しております。
また、同社と県及び沿線市で組織する開業準備協議会では、沿線市においてセミナーやワークショップを開催し、並行在来線の利活用の促進に向けた取組も併せて進めているところです。県としては、国の対応如何にかかわらず、沿線地域の皆様の生活に不可欠な交通手段が将来にわたって存続できるよう、運営会社への必要な資金手当等の支援に責任をもって取り組んでまいります。
次に、中国江蘇省との交流についてです。
去る、11月10日から12日にかけて、中国江蘇省との交流の拡大を図るため、地元新聞社、テレビ局の関係者とともに、南京市、蘇州市を訪問してまいりました。
江蘇省李省長等との会談では、経済・文化・観光・教育などの幅広い分野において、本県との交流を推進していくことを確認いたしました。また、福島第一原子力発電所の事故後の本県の状況について、放射線量等の情報を具体的に示し、本県の安全性について理解を求めたところであります。
来年は、日中国交正常化40周年の節目の年に当たります。これまで長年に渡り交流を重ねてきた黒龍江省を始めとする中国東北三省に加え、国交正常化に尽力された田中角栄元総理、周恩来元総理のそれぞれの出身地である本県と江蘇省が、各分野で交流を拡大することは大変意義深いものがあります。
県といたしましては、今後、メディア交流を後押しすることにより相互理解を図るとともに、江蘇省との相互交流を進め、成長著しい中国と本県双方が利益を享受できる関係を築いてまいりたいと考えております。
次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
平成20年8月の日朝実務者協議以降、拉致問題に何ら進展は見られず、その間、総理大臣が毎年のように代わり、拉致問題担当大臣も政権交代以降既に5人目となっている状況から交渉以前の問題となっています。拉致問題は現在進行形の事件であり、拉致問題の解決について政府内での優先順位を上げる必要があります。
先月15日に、県民の皆様から拉致問題への関心を持ち続けていただけるよう、「忘れるな拉致11.15県民集会」を開催いたしました。「私たちはただ、子供を返して欲しいだけ」と訴える横田めぐみさんのご両親や、曽我ひとみさん、特定失踪者の大澤孝司さんや中村三奈子さんのご家族などの一日も早く母や娘、兄弟に会いたいという言葉を聞くたびに、本当に心が痛みます。
今、拉致問題は時間との戦いです。拉致被害者の帰国を待ち望むご家族も高齢化が進み、一刻も早い解決が不可欠です。
蓮池さん、曽我さんが帰国して来年で10年を迎える中で、政府の取組の強化を求めるとともに、県といたしましては、一日も早く拉致被害者がご家族の元に戻り、失われた時間をやり直していただくためにも、今後ともご家族とともに精一杯取り組んでまいります。
次に、新潟州構想についてです。
先の指定都市市長会選挙や、大阪知事・市長選挙において、大都市制度が大きな争点となりました。
特に大阪の選挙結果は、我が国、とりわけ地方の閉塞感を何とかしてほしいという民意の表れであり、国は、こうした声をしっかりと受け止め、大都市制度の見直し、地方分権・地域主権改革を加速していただきたいと考えております。
県都に集積しているインフラをさらに活用し、迅速な意思決定の下で競争力ある自治体をつくっていくためには、広域・専門行政のあり方をはじめとして、柔軟に自己変革できる仕組みに変えていかなければなりません。
また、大都市制度の問題だけでなく、国との役割分担についても、住民自治の観点から再構築し、県と市が一丸となって権限移譲の受け皿づくりを進めていく必要があると考えています。
11月の第3回新潟州構想検討委員会では、私や篠田新潟市長も出席し、こうした観点で議論を行いました。委員からは「具体的なメリットが示されるとわかりやすい」とのご意見をいただきました。
県民・市民の皆様への理解を深めていくために、身近な事例を基に、制度的な課題を追求していきたいと考えていますが、県と市の連携により具体例を積み重ねていくことも必要だと考えています。
次の世代のために明日の新潟がより良くなるよう、自己決定力を高め、世界のスピードに負けない競争力を備える中で、より良い住民サービスが提供できる体制の構築に向け、引き続き新潟州構想の検討を進めてまいります。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第135号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額298億7,877万1千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、新潟・福島豪雨災害等からの早期復興や東日本大震災の被災者支援等に必要な経費のほか、現下の経済・雇用情勢を踏まえた円高対策や雇用の創出に資する経費を計上いたしました。また、職員給与費等について過不足額を計上するとともに、当初予算編成後の事由による重要かつ緊急性のある経費等について計上するものであります。
以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
まず、国の第3次補正予算への対応として、災害廃棄物の処理を行う市町への支援経費や雇用・就業機会の創出に係る経費のほか、地すべり対策や道路等の防災対策に要する経費等を計上いたしました。
また、放射性物質により汚染された堆肥等の一時保管等に対する助成経費を措置いたしました。
加えて、平成24年度事業に係る発注の平準化や起工準備期間の確保に加え、不測の災害等に対応するため、いわゆる「ゼロ県債」を設定したところです。
以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の予算規模は、
1兆3,540億6,260万4千円となります。
次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
第136号から第140号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、職員給与費の過不足調整等に伴いそれぞれ補正するものであります。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第141号議案は、県知事及び教育委員会の権限に属する事務の一部を市町村に移譲するため、
第143号議案は、一般職の職員の給与について人事委員会勧告等に基づき改正を行うため、
第144号、第150号及び第152号から第154号までの各議案は、地価水準を勘案した道路法施行令の改正を踏まえ、道路占用料ほか県の行政財産の占用・使用料について改定するため、
第145号、第146号、第149号及び第151号の各議案は、既設の基金の実施期限を延長するため、
それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。
次に、第155号議案は、当せん金付証票の発売について、
最後に、第156号議案及び第157号議案は、市の境界変更について、お諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。