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令和7年3月20日時点
平成7年3月20日、日本中に衝撃を与えた大事件「地下鉄サリン事件」から30年が経過します。当時、オウム真理教の話題が連日報道され、様々な凶悪事件を引き起こした団体であることが世間に広く知れ渡り、多くの人がオウム真理教について知っていましたが、今はどうでしょうか?
地下鉄サリン事件から30年という長い年月が経過した今、事件後に生まれた世代が多くなる一方、オウム真理教は名前を変えて今もなお、活動しています。今一度、オウム真理教がどのような団体なのか振り返ってみたいと思います。
オウム真理教とは、麻原彰晃こと松本智津夫(以下「松本」という)が設立した宗教団体です。過去には、松本の殺人を肯定する教義により、弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件等の凶悪事件を引き起こしています。
現在は、松本への絶対的帰依を強調する「Aleph(アレフ)」をはじめとする主流派と、松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名乗る上祐派が活動しています。
オウム真理教は、令和7年1月現在、15都道府県に30か所の拠点施設を有しており、信者数は、その活動状況等から、合計で約1,600人(出家約250人、在家信者約1,350人)とみられます。
教団では、かつて、教団からの脱会を表明した信者や教団施設から信者を連れ出そうとした元信者をリンチにより殺害したり、信者に薬物を投与し、イニシエーションと称する宗教的儀式を実施したりするなどして、信者の獲得や脱会防止、信者の結束を図っていました。
また、活動資金を得るため、多額の財産を有している在家信者等を強引に出家させ、その財産を教団に寄附させていました。こうした中で公証役場事務長逮捕・監禁致死事件をはじめとする数々の逮捕・監禁致死事件、営利略取事件等を引き起こしました。
これと並行して、教団は、教団活動に対する障害を取り除こうとして、対立していた弁護士等を殺害し、また、武装化した上、警察の捜査活動に打撃を与えることを企図して、有毒ガスにより多数の人を無差別に殺傷する事件を引き起こすなど、社会に対する攻撃活動を展開しました。
教団は、平成7年2月28日、公証役場事務長を逮捕・監禁して死亡させる事件を引き起こしました。この事件は、犯行直後に発覚し、警察が捜査を開始する中、同事件が教団による犯行であるとの報道もなされ、松本は、大規模な強制捜査が実施されるとの危機感を抱きました。
このため、教団は、捜査をかく乱させる目的で松本サリン事件により効果を実証済みであったサリンを警視庁等の官庁が付近に集中する霞ヶ関駅を通る地下鉄車両内で散布することを計画しました。そして、同年3月20日午前8時頃、教団信者5人が現東京メトロ千代田線、日比谷線、丸ノ内線の3路線を通る計5本の列車内でサリンの入ったナイロン袋を傘で突き破り、サリンを発散させ「地下鉄サリン事件」を引き起こしました。
この事件により、13人が死亡、5,800人以上が傷害を負う(※)など、大きな被害が発生しました。地下鉄サリン事件は、化学兵器用のサリンを使用した世界にも類をみない残虐な無差別テロとして国内外に大きな衝撃を与えました。
※ オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律に基づき給付金の支給を受けた被害者数。
なお、令和2年3月にさらに1人が死亡。
日本中を震かんさせた地下鉄サリン事件から30年が経過し、教団に対する国民の関心が薄れ、一連の凶悪事件に対する記憶が風化することなどにより、教団の本質が正しく理解されないことが懸念されます。
警察では、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、引き続き、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、教団による組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進していきます。