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長生橋 (ちょうせいばし) はつくられてから80年以上もたっているんだよ。
しかも今の橋が3代目なんだって。
長生橋について調(しら)べてみよう!
長岡市(ながおかし)は信濃川(しなのがわ)によって川東地域(かわひがしちいき)と川西地域(かわにしちいき)にわかれています。このふたつの地域をつなぐ重要(じゅうよう)な橋が長生橋です。
また、毎年(まいとし)8月2日と3日に行われる大花火大会(おおはなびたいかい)では、「ナイアガラ花火」が架(か)かる橋としても有名(ゆうめい)で、長生橋は、長岡市のシンボルになっています。
現在(げんざい)の長生橋は、1937(昭和12)年に完成(かんせい)し、2017(平成29)年には80歳(さい)になりました。80歳を超(こ)えた長生橋は、修理(しゅうり)をしながら地域のみなさんの生活(せいかつ)を支(ささ)えつづけています。
平成29年 長生橋の魅力(ステキ)再発見写真コンテスト入選作品 正三尺玉とナイアガラ花火2019年(長岡市デジタル写真館)
現在の長生橋は、昭和12年に完成した3代目の橋です。その前には、1代目(だいめ)、2代目の長生橋が架かっていました。長生橋は1876(明治9)年に1代目(初代(しょだい))が完成してから140年以上(いじょう)が経(た)っています。ここでは、その歴史(れきし)を紹介(しょうかい)します。
長生橋ができる前、人々は渡し船を使(つか)って川を渡っていました。しかし、渡し船は不便(ふべん)で危(あぶ)ないものでした。そこで廣江椿在門(ひろえちんざえもん)という人物(じんぶつ)が中州(なかす:川の中に土砂がたまって島になっているところ)をはさんだ2つの木の橋をかけ、1876(明治9)年に完成しました。この2つの橋が初代長生橋です。長生橋は信濃川にかかった最初(さいしょ)の橋でした。
初代長生橋 (長生橋之図(水島爾保布) 長岡市立図書館所蔵)
初代長生橋は信濃川の洪水(こうずい)により何度も壊(こわ)れてしまいます。そして1914(大正3)年8月の大洪水により、ほとんどが流れてしまいました。そこで、県は新しい橋を作り始めます。但馬(たんば)(現在の兵庫県)の杉(すぎ)の木を使って1915年(大正4)年にできあがった橋は、当時(とうじ)日本で一番長い木の橋でした。
二代目長生橋(長岡風景 長生橋 延長四百八十間(新潟県立図書館所蔵))
二代目長生橋も木の橋だったため、洪水により壊されてしまいます。また、昭和の初めになると牛馬車(ぎゅうばしゃ)や人力車(じんりきしゃ)にくわえて重い自動車(じどうしゃ)が走り始めます。これが橋が壊れやすくなる原因(げんいん)になりました。このようなことから、県は1932(昭和7)年、長生橋を鉄でできたじょうぶな橋(鋼橋(こうきょう))にすることに決(き)め、2年後に工事(こうじ)を始めます。こうして1937(昭和12)年に3代目長生橋が完成しました。
完成後の1945年(昭和20)年、長岡は戦争によって空襲(くうしゅう)を受けました。長生橋はこの空襲にもたえぬいて、今も美しい姿を見せてくれています。
そして1972(昭和47)年、橋を渡る自動車が増えたため、人や自転車の安全を守るための歩道橋(ほどうきょう)が新しくつけ加えられました。こうして現在の長生橋の姿になっています。
長生橋は、「ゲルバートラス」というめずらしい橋の形をしています。この橋の形は昭和の初めに多く使われたもので、同じ形の橋は古くなり少なくなってしまいました。そのため、ゲルバートラス橋である長生橋は、貴重な存在(そんざい)となっています。2013年には、「土木学会選奨土木遺産(どぼくがっかいせんしょうどぼくいさん)」に選ばれました。
【ゲルバートラス橋の構造(こうぞう)イメージ】
図の単純(たんじゅん)トラス桁(けた)が、両側の桁につられている構造です。
図のAとBがヒンジという部品でつながれています。
※この吊り桁(つりげた)がある橋を「ゲルバー橋」と言います。長生橋は「ゲルバー橋」でもあり「トラス橋」でもあります。
では長生橋はなぜ「ゲルバートラス」という構造でつくられたのでしょうか。
まず、三代目の長生橋がつくられた時代を考えてみると、昭和の初め頃(80年以上も昔)で現代(げんだい)のような大きなクレーンなどはありません。したがって現代のように大きな部品を工場でつくって運び、大きなクレーンで一気につり上げるということは不可能(ふかのう)でした。
そこで、「トラス」の構造が選(えら)ばれます。「トラス橋」は、三角形の骨組みで桁ができている橋のことを言います。鋼(はがね)の部材(ぶざい)をその場で組み合わせてつくることができるため、今と比べて小さいクレーンでつり上げることが可能でした。
また、「トラス橋」の良い点として、橋脚(きょうきゃく)(橋(はし)の脚(あし)の部分(ぶぶん))の間を長くすることができる、つまり、橋脚を少なくできるところです。橋脚を少なくすることで安い値段(ねだん)で橋を作ることができます。また橋脚が少ない方が川の水の流れを邪魔(じゃま)しないため、洪水(こうずい)の時、川を流れてくる木などがひっかかりにくくなり、橋が壊れることが少なくなります。「ゲルバー橋」も同じように橋脚の間を長くできる構造です。
そして、ゲルバートラスは、他のトラスの仲間よりも少ない材料(ざいりょう)で作ることができます。
また、橋は複雑(ふくざつ)な計算をもとに作られますが、ゲルバートラスはこの計算が他よりも簡単(かんたん)にできるため、コンピューターのない時代に手計算しやすかったのです。
所在地:新潟県長岡市草生津
橋長:850.8m
幅員:7.0m
橋梁形式:下路式ゲルバー鋼ワーレントラス橋