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中山間地域などで区画整理を行う場合、傾斜が急で湾曲の大きい地形に対して画一的に区画を設定すると大きな区画段差やつぶれ地が生じてしまい、区画の規模は制限され小規模となる傾向にあり、大規模な区画とするためには高額の工事費を見込む必要があります。
平行畦畔型等高線区画は畦畔を平行に保ちながら、作業の支障にならない程度に地形に沿って区画を折り曲げ、等高線方向に区画拡大を図る工法です。
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(1)耕区の長辺相互が平行条件を維持している。(2)屈折部の内角が一定範囲以内(実験結果では150°~210°)であること。
平行畦畔型等高線区画は区画形状をできるだけ地形に沿った区画とすることができるため、基盤の切り盛りが減少し、移動土工量が少なくなることから工事費縮減、地盤安定につながります。
区画段差が小さいと法面が短くなり、除草作業が軽減され、作業の安全性の確保につながります。
隣り合う田を同じ高さに整備することで、区画拡大のため再区画整理を行う際の費用をできるだけ少なくすることができます。
正方形区画と長方形区画では作業経路における回転作業(ターン)の数に大きな違いがあります。直線部ではいずれの区画も同じ速度で走行しますが、回転時には速度を落とさなければならないため、回転作業の少ない横長の区画の方が相対的に作業効率が高くなります。
平行畦畔型等高線区画では、長方形区画と比べて現況地形に区画を沿わせるため、屈曲部ができます。この屈曲部が農作業にどのような影響を与えるのか実験を行ったところ、内角が150°以上であれば作業の能率・精度ともに直線とほぼ同等となりました。また、地形条件が厳しく屈曲角が150°より小さくなると考えられる場所では、隅切りあるいは屈曲の追加により、作業効率の確保が可能となります。
地域景観を保ちながら時代が求める生産条件に合った農地をつくることが重要です。
里山の景観を代表する「清水の棚田」において、幅約100m、長さ約500mにわたる大きな地すべりが発生し、農地・農道等が被災して美しい景観が失われました。
全国初となる「平行畦畔型等高線区画」の手法により、作業性に優れ、かつ景観にも配慮した復旧を行いました。
被災前の棚田
被災後の棚田
工事中
現在の棚田
田んぼの長辺が長くなり、道路・水路も整備され、大きな機械も入るようになり、農作業がずいぶん楽になりました。
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