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新潟県は全国第2位の生産量を誇る「きのこ王国」。その中でも南魚沼では魚沼産コシヒカリと並んで魚沼きのこをブランドとして押し出しています。
毎年秋になると「魚沼きのこ汁&新米おにぎり祭り」が開催されるほど、地域に愛されている南魚沼のきのこ。
その中で株式会社片山ファームは、魚沼エリアで「ぶなしめじ」の生産を支える農家です。
株式会社片山ファームの代表取締役 片山英晃さんは23歳の時に就農。平成10年には、えのき栽培から、ぶなしめじの栽培へ切り替えて生産量を増やしていきました。
「顧客の要望に応えて、面倒なことでもしっかりやる。」
その言葉に集約される営農力と、片山ファームが作るぶなしめじの魅力を探ります。
「ぶなしめじの栽培へ切り替えて最初が一番大変でしたよ。同じきのことは言っても全く違う品種。同じように作っているつもりでも、品質に大きなムラがあって悩みましたね。」
片山さんがぶなしめじの栽培を始めた時に長野県のきのこ部会に特別に入る機会を得たことが今につながる重要な経験でした。
努力の積み重ねが今をつくっている
「何度も足を運んで、質問攻めにしても嫌な顔せずに教えてくれました。培地の組成の仕方から培養の管理まで、どこまでも突き詰めていきました。」
満足のいく品質を安定的に生産できる技術を得ていくことで、お客さんの要望にも細かく応えていけるようになったと言います。
「ぶなしめじとは言っても、用途や要望に合わせて何種類かの商品を提供しています。主なものは、業務用のカットぶなしめじと特別栽培のぶなしめじですね。それぞれで育て方も大きく変わってきます。」
セットすると自動で袴をカットする
10畳ほどのスペースの個室はガレージを改修して作ったカットぶなしめじの梱包室。国内でも十数台しかない機械を導入したことで、生産効率も上がりました。
小さいぶなしめじは振り分けられる
「カットぶなしめじは、長く伸ばすために光の照射量を少なくしたり、二酸化炭素の量を増やすことで背を伸ばしています。業務用に重宝されていますね。」
この「カットぶなしめじ」の生産過程で出てくるのが選別された小さなぶなしめじ。ここに隠れた需要を片山さんは発見します。
捨てずに商品化する営農の工夫
「このミニしめじ、ちびちびブナって呼んでますけど、働いているお母さんが持ち帰りたいと話したんです。きのこが苦手な子供が、この小ささなら食べられると。それで市場にも出してみたら、凄い人気になってしまって。」
炊き込みご飯やチャーハンに使われ汎用性が高いちびちびブナは、人気で品薄になることも多いそうです。
食べ応えのありそうな特別栽培ぶなしめじ
もう一つの主力商品が「特別栽培のぶなしめじ」。国内でも片山さんだけが作っている太くて大きなぶなしめじです。
「取引している飲食店の方に『もっと特別な物は出せないか』って要望がありました。『例えば、1本1本がもっと太いやつとかさ』なんて。」
片山さんは、そういった要望を受け、試行錯誤を繰り返し、1本1本が太く大きくなる栽培方法を発見したのです。
「この特別栽培は首都圏の高級中華料理店や国外にも出荷しています。片山ファームの特徴である歯ごたえ、食感がよく出てますね。」
通常の商品と比べると大きさは歴然
顧客の要望に応え、面倒なことでもしっかりやることで、信頼と取引につながるのだと話します。
「他ではやらない『面倒なこと』だと言われていることでも、ひと手間を惜しまず、しっかりやります。例えば個食用に50g、100gと小分けにしたぶなしめじのパック販売もしていますね。他の農家に話したら『そんなことまでやるんか』って驚かれました。」
品質向上への努力は、まだまだ突き詰められます。ぶなしめじの品種改良を行う種菌メーカーの研究員に相談し、南魚沼市の環境下で育てやすい品種を開発しているのだそうです。
「歯切れの良いシャキシャキした食感。その特徴を引き出して、生産効率を上げるために、栽培サイクルや培養時の温度帯の反応を見て『ここがこうなったら良いんじゃないか』という所を反映させています。」
味や歯ごたえといった品質を良くするのは当たり前。そこから一歩、お客さん側に踏み込んで要望に応えていくこと。品質向上には惜しみない努力をすること。片山ファームの営農力が垣間見えました。
真剣な眼差しを向ける片山さん
「ぶなしめじが一番売れるのは10月の旬の時期から冬の間。鍋の需要が最も高いですね。非需要期である春・夏も売上を伸ばすためには『加工』をするなどして、新しい商品にして市場に出す必要がありますね。」
冬の農業として始まった南魚沼市の「魚沼きのこ」の農家は需要期である10月~3月以外の季節の販売方法を模索しています。
規模を大きくしていく中で6次産業化など、片山ファームが加工業へ乗り出すということは考えているのでしょうか。
「いろんな所で6次産業化と言われていますけど、やっぱり難しい。我々は農家として品質の高い商品をどれだけの収量出せるかという部分に集中しています。加工商品は加工を専門にする企業にやって欲しい。一昨年まではオーダーもあったんですけど、去年はなかったなぁ。」
あくまでも、農家に徹すると話す片山さん。二足のわらじは履かないと言います。
発芽直後のぶなしめじ
「南魚沼だけではなく、魚沼エリアでぶなしめじを栽培している農家は、片山ファーム1軒だけです。非需要期に向けて、地元の加工業者と手を組めたらいいなとは思っているのですけどね。」
加工をするとしたら、水煮にして販売すると言います。魚沼きのこを中心に出荷額を高めている南魚沼市のきのこ産業。まだまだ可能性がありそうです。
あなたが普段なにげなく購入している「ぶなしめじ」の生産地を気にしたことがあるでしょうか。手にとった時には「魚沼きのこ」のことを思い出してくださいね。
取材日:2020年3月18日
ぶなしめじ
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(株)片山ファーム 住所:新潟県南魚沼市五郎丸504 片山ファームホームページ<外部リンク> ※特別栽培ぶなしめじについては、上記(株)片山ファームへお問い合わせください。 |
四季味わい館(道の駅南魚沼「雪明かり」) 住所:新潟県南魚沼市下一日市855 「四季味わい館」ホームページ<外部リンク> ※特別栽培ぶなしめじの取り扱いはありません。 |
あぐりぱーく八色 住所:新潟県南魚沼市浦佐5147-1 あぐりぱーく八色ホームページ<外部リンク> ※特別栽培ぶなしめじの取り扱いはありません。 |
関連サイト : 「魚沼きのこ」公式HP<外部リンク>