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食卓の身近な食材「ミニトマト」。国内には色や形、大きさの違う品種のミニトマトが数多くあることはご存じでしょうか。一口にミニトマトと言っても奥が深いのです。今、南魚沼では新たな特産品として「ミニトマト」の栽培が始まっています。夏野菜のイメージが強いミニトマト。ここ雪国、南魚沼で一体どのように栽培されているのか、当産地のミニトマトの魅力をご紹介します。
株式会社りふぇるむ代表取締役 神南厚志さん
南魚沼では今、ミニトマトの栽培が広がりを見せています。雪国でも効率的に栽培を行う工夫をしながら、生産量を伸ばしています。
株式会社りふぇるむの代表取締役を務める神南厚志さんに案内されたのは、昨年新設した鉄骨ハウスの中。奥までズラリとミニトマトが並んでいます。
家庭菜園でも気軽に楽しまれているミニトマトですが、より良い品質と安定した収穫量を確保するためには見えない苦労もあるのだとか。苗が成長し、幹が育ち、枝が分かれる際に出てくる脇芽を取り除く「脇芽取り作業」。これだけの数を管理するのは骨が折れる作業です。また、病気になりやすく温度管理も難しいという繊細な野菜でもあり、これらを全て管理するため日々のチェックは欠かせません。
「実は園芸作物には、なかなか手が出せなかったんです。味の良いミニトマトを作るためには、細かい管理が必要で、人手も時間も掛かります。だけど、肥料メーカーが開発した養液土耕栽培システム※1を南魚沼市の農家が10年前に導入し、8年前からミニトマト栽培が始まったことから、先輩のアドバイスを受けながら始めてみようと思いました。」
※1 液肥混入機を使い、コンテナ培地に植えたミニトマトの1株1株に、肥料と水を自動的に供給するシステム。
養液土耕栽培システムで肥料と水の管理が行われている
少人数でのシステム導入による試験栽培から始まったミニトマト栽培ですが、このシステム導入により労力が軽減され、現在の栽培者は15戸まで増えました。
南魚沼の気候風土のもと、品種や培地、肥料条件等を揃え、養液土耕栽培システムを活用して栽培されたミニトマトをJAみなみ魚沼の選果機で選別し、統一品質に仕上げたものを「八色ミニトマト」として出荷しています。
「まだまだ露地栽培でミニトマトを育てている方も大勢います。ただ、大規模になってくると機械を活用して効率化することも必要です。南魚沼の新しいブランドとして八色ミニトマトは推していきたいですね。」
産地拡大し、生産量が増えてきた八色ミニトマト。脇芽や下葉を取ったり、収穫をしたりするのは手作業ですが、システムのサポートと品種や栽培管理を研究し、年々1株あたりの収穫量と食味も良くなっています。
「自分のハウスで育てているミニトマトの品種は2種類あって、それぞれに特徴があります。まだ産地としては駆け出しですからね。試行錯誤しながら育てています。」
ここで育てられているのは、次の2品種。
【エコスイート】
八色ミニトマトの統一品種。ミニトマトの中でも大きめの実がなります。果皮が薄く、やわらかい食感で甘みと酸味のバランスが良い品種です。
【プチぷよ】
認知度が少しずつ上がってきた、地元直売所への出荷用に作っているサクランボのような食感のミニトマトです。赤色と黄色があり、甘みと果皮のやわらかさが特徴的で女性や子どもに人気がある品種です。
神南さんを始めとする、みなみ魚沼養液土耕部会では、個々の生産者がその経営に応じて、様々なスケジュールで栽培し、5月から翌年1月まで時期をずらしながら八色ミニトマトとして出荷しています。
「近年、店頭には色・形状・食味の異なるトマトが数多く並んでいますが、当産地の八色ミニトマトの魅力は何といっても食感と甘み、酸味のバランスだと思いますね。」
「直売所やSNSで見て、直接買いに来てくれる人もいます。また、飲食店の方が、ご自宅用としても買って行かれますね。加工品にも挑戦したいですが、今は手が回らなくて。ジュースにしても美味しいと思いますよ。」
その他にも、八色ミニトマトは熱を加えることで甘みが増し、生食とは違う風味を楽しむことができます。
「ミニトマトとチーズでカプレーゼ風にして、これを焼いても美味しいですよ。生で食べるなら、八色ミニトマトの甘みと酸味を一番感じやすい“常温”がおすすめです。」
自分なりの楽しみ方を発見して欲しいと神南さんは話しました。
八色ミニトマトは食味だけでなく、豊富な栄養素も魅力です。
トマトの赤い色の元となっているリコピンには強力な抗酸化作用が含まれており、ストレスなどで増加する活性酸素の発生を抑え、取り除く作用があります。
さらに、ビタミンCやβカロテンなどの体の働きをサポートする栄養素もたくさん含まれており、体の免疫力強化にもつながります。
また、ドライトマトにするとフラクトオリゴ糖により、甘みが増すだけではなく、腸内の善玉菌を活性化させる効果もあります。
「八色ミニトマトは食味、栄養素、彩り、使い勝手と良い要素を併せ持った食材です。まだ小さい産地ですが、栽培農家も増えてきているので、豪雪地でもあるこの南魚沼で栽培環境を整え、養液土耕栽培を活用した新しい産地づくりに貢献できたらと思っています。」
農家の方々の美味しい農産品を作ろうという思いがこもった八色ミニトマト。一人でも多くの方に食べていただき、その魅力に気付いて欲しいですね。
これからの八色ミニトマトに注目です。
取材日:2020年12月1日
八色ミニトマト 果皮が薄く、やわらかい食感で、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。 5月中旬~1月下旬 |
あぐりぱーく八色 住所:新潟県南魚沼市浦佐5147-1 あぐりぱーく八色ホームページ<外部リンク> |