本文
新潟県で発生した大規模な地すべり
松之山地すべり
松之山地すべり
位置:新潟県十日町市松之山区(旧:東頸城郡松之山町)松之山他4地区
(138゜34’E、37゜05’N)
規模:延長3、600m、幅2、400m、面積850ha
地すべり歴:1962年4月地すべり頭部の兎口に亀裂が生じ、地すべりの徴候が現われた。同年秋の霖雨期に入り、隆起、陥没等の現象が全地域に広がるとともに移動が活発となり、人家371戸、学校4棟、県道5,400m、水田349.9haなどに大きな被害を与え、新潟県は災害救助法を適用した。他に古い記録に残る活動としては、500年前の新山部落、270年前の中尾部落に発生した地すべりが知られている。
地質:大松山(736m)を中心とした地域にはドーム状の背斜構造が形成されており、いわゆる「松之山凝灰岩層」といわれる粗粒安山岩質凝灰岩、泥岩、軽石質凝灰岩の互層が広く分布している。
発生機構、形態:地すべりはドーム状の北翼部で発生したもので、水梨地すべり(面積約200ha)と、頭部から兎口・坂の下・松之山・光間・松口の地すべりブロックがつながる一連のいわゆる松之山地すべり(面積約650ha)とに大別される。
1962年発生ブロックは、平均斜度5度の緩斜面に発生したクリープ性のものである。地すべりの移動速度は、中部地域で最大12cm/日、累加移動距離20mが記録されている。
対策工法:この地すべりは、融雪期から霖雨期にかけての地下水の増加が発生誘因と考えられたので、防止工事は杭工と集水井工を主体とし、速効性の杭工を先行させて地すべり運動を緩和し、その後集水井工などの地下水排除工が実施された。現在では地すべりの末端部で局所的な地すべり活動がみとめられるものの、全体としては安定している。
新潟県内のおもな地すべり地帯 |
---|