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新潟県で発生した大規模な地すべり
玉ノ木地すべり
玉ノ木地すべり
位置:新潟県糸魚川市(旧:西頸城郡青海町)玉ノ木
(137゜39’E、36゜59’N)
規模:長さ約110m、幅約70m(最大幅約100m)、面積約0.8ha、斜面勾配約40度、推定移動土塊量4万立法メートル、頭部滑落崖高さ約15m
被災状況:1985年2月15日午後6時25分頃、瞬時に崩壊性地すべりが発生した。集落が斜面に近接していたため、死者10名、重軽傷者4名、全壊住宅5棟、半壊住宅2棟、および非住宅(神社、倉庫など)5棟を数える大災害となった。このほか急傾斜地崩壊防止施設、上水道および農業用水路が埋没や破損するとともに、幹線国道8号に土砂が流出したため翌l6日午後l時まで通行止となった。
地質:基盤岩は安山岩質熔岩、同質凝灰岩および同質凝灰角礫岩からなる。走向は北緯50゜~60゜Eで傾斜は北西40゜~50゜を示し、斜面
に対し流れ盤である。また、破砕帯を伴う断層が多く節理が発達している。
発生機構、形態:基盤岩が全体的に脆弱であり、断層、断裂が多く流れ盤構造であることが地すべり発生の素因であり、地すべり発生前の降雨量と融雪量が豪雨に相当し、これらが地下に浸透して間隙水圧を上昇させたことが誘因と考えられている。粘性土分が比較的少なく、急斜面であったため崩壊性地すべりとなった。
対策工法:保全対象の重要性が極めて高いため、抑止工を基本とした対策工が採られた。滑落崖とその上部斜面は安定勾配に切取りした後現場打法枠工等で保護され、中段部には抑止杭と横孔ボーリング工、下部にはコンクリート枠をアンカーで支持するアンカー枠工が施工された。現在災害跡地の一部は、児童遊園として利用されている。
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